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[1761]東京オペラプロデュース「ブリーカー街の聖女」を聴いてまいりました。 投稿者:どくたーT@管理人

投稿日:2011年07月09日 (土) 23時49分

2011年7月9日
B席6000円 2F2列29番

平成23年度文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)
主催:東京オペラ・プロデュース
協力:(財)新国立劇場運営財団

東京オペラ・プロデュース 第88回定期公演

メノッティ生誕100年記念

オペラ3幕 字幕付原語(英語)上演
メノッティ作曲「ブリーカー街の聖女」“The Saint of Bleecker Street”
台本:ジャン・カルロ・メノッティ

原語歌唱による日本初演

会場:新国立劇場中劇場

スタッフ
指揮:飯坂 純
オーケストラ:東京オペラ・フィルハーモニック管弦楽団
合唱:東京オペラ・プロデュース合唱団
合唱指揮:伊佐治 邦治/中橋 健太郎左衛門

演出:八木 清市
美術:土屋 茂昭
衣装:清水 崇子
照明:稲垣 良治
ヘア・メイク:星野 安子
舞台監督:佐川 明紀
プロデューサー:竹中 史子

キャスト
アンニーナ:橋爪 ゆか
ミケーレ:羽山 晃生
ドン・マルコ:工藤 博
デジデーリア:田辺いずみ
マリア・コローナ:小野さおり
カルメーラ:鈴木 彩
サルヴァトーレ:藤山 仁志
アッスンタ:丸山奈津美
若い男/修道僧:藤原 海考
若い女/修道女:前坂 美希
バリトン歌手/修道僧:秋本 健
ゲスト:西垣 俊紘
バーテンダー:麻野 玄蔵
コンチェッティーナ:小口 あずさ
マリア・コローナの息子:家入 嘉数馬
スピリッツ:石居 佑月

感想−感情移入のやり方− 東京オペラ・プロデュース「ブリーカー街の聖女」を聴く

恥ずかしながら、メノッティのオペラをこれまで一度も実演で聴いたことがありません。「アマールと夜の訪問者」や「電話」は小さいオペラ団体が時々取り上げるので、それほど珍しいものではないのですが、大掛かりにやられることがないので、なかなか上演の情報を見つけにくいということがあります。また、私のオペラの趣味がいわゆる「ベルカントオペラ」に偏っていて、そんな室内オペラを見に行くぐらいなら、ロッシーニやヴェルディを聴きに行けばいいや、と思っている部分がある。そんなわけで、メノッティとは縁が薄い。

でも、メノッティと縁の薄い日本人オペラ好きは私だけではないようです。

ちなみに、メノッティは生涯26曲のオペラを作曲しているそうですが、そのうち、日本で紹介されているのは、1950年以前に作曲された作品がほとんどで、それ以降に作曲された作品では、「助けて、助けて、宇宙人がやってきた」(1968)ぐらいです。ちなみに、メノッティは1951年以降に19曲のオペラを作曲し、最後のオペラ作品は1993年の「歌う子供」という作品なのだそうですが、私は全く知りませんでした。

今回上演された「ブリーカー街の聖女」は、メノッティの8作目1954年12月に初演されたオペラ作品で、米国では、彼の代表作と目されているそうです。ちなみに、そのことも私は知りませんでした。こういう隠れた名作を上演するのが、東京オペラプロデュースの真骨頂で、大変ありがたいことです。

ちなみに「ブリーカー街」はニューヨークのイタリア人移民街のようです。メノッティ自身がイタリア生まれの移民で、1928年に米国に移住したということが、この作品を作曲した背景にあることは疑いないことです。貧しい移民街で奇跡を期待する貧民たちに対し、期せずして奇跡のようなことを起こしてしまう聖女アンニーナと、その兄で、妹の信心を全否定する唯物論者のミケーレが、対立軸となって動きます。これは、日本とは違って、宗教心の厚い米国では、近代の相克として抜き差しならぬ問題だったことがあると思われます。

導かれる音は、ブロードウェイ・ミュージカルのようなサウンドもありますが、そこまでアメリカっぽくはなく、プッチーニ風のイタリアオペラっぽいところもありますが、そこも徹底していない。そういうどっちつかずのようなところが、メノッティらしいということかも知れません。

メノッティは、最終的には宗教心に思いを寄せて、アンニーナは死によって神のそばに向かうことを許したのに対し、神を否定したミケーレに対して孤独を当てるという形で解決策を示しています。そういう宗教性の強い作品だけあって、賛美歌の合唱がまず魅力的です。合唱は、東京オペラ・プロデュース合唱団の23人の男女および一部のソリストが参画していましたが、アカペラの合唱の美しさ、特に倍音の響きが素晴らしかったと思います。

歌手陣では、まず主役の「アンニーナ」を歌った橋爪ゆかが素晴らしい。ほとんど出ずっぱりの役柄ですが、最後まできっちりした歌唱が魅力的でした。特に第一幕の長大なアリア「ああ、イエス様、この苦痛から私を救いたまえ」が秀逸。一幕二場のカルメーラとの二重唱や一幕ラストのミケーレとの二重唱もよかったです。役柄をよく考えた歌唱で、全体に落ち着いた密度のある歌唱でした。高音の伸びも低音の広がりも素敵で、大変感心いたしました。

ミケーレの羽山晃生も立派。美声テノールではない方ですが、それだけに表現が多彩で魅力的です。声の持つ基本的な力量が高い方で、その点に関しては、今回の出演者随一と申し上げてよいでしょう。演技の基本的な緊迫感もよかったと思います。ただ、惜しむらくは、演出の指示だったのか、妙なオーバーアクションがいくつも見られて、そこは、そんな演技をする場所じゃないだろうと申し上げたくなる部分がいくつもありました。

ドン・マルコの工藤博。さすがにベテランの魅力です。ただ、前半は声のつやが今ひとつ乏しい感じでした。後半はかなり持ち直していました。

デジデーリアの田辺いずみ。よかったです。今回の上演の歌唱・演技を総合して、私は田辺に一番共感を覚えました。第二幕のミケーレに殺されるまでの緊迫した歌唱は、大変立派だったと思います。

そのほかの歌手では、アンスッタ役の丸山奈津美がよく、カルメーラ役の鈴木彩もがんばっていました。

ひとつ難を申し上げれば、英語がよく聞こえなかった方が多かったこと。メノッティは英語のイントネーションにあわせて作曲していると思うのですが、語尾が聞こえなかったり、アクセントのつけ方がおかしくて何を言っているのか理解できなかったりした部分がいくつもありました。

オーケストラの演奏は、金管にミスが目立った感じでしたが、指揮の飯坂純はがんばっていたと思います。

八木清一の演出は、回り舞台をうまく使って、合唱などの群集の取り扱いも見事で、スタイリッシュなもの。ただ、惜しむらくは、ミケーレにやらせた妙なオーバーアクション。そこをもう少し抑制して見せれば、本当に素敵な舞台になったと思います。



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