投稿日:2010年06月26日 (土) 08時12分
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Music Tomorrow 2010を聴いてきました。 毎年、尾高賞受賞作品を演奏するというこのコンサートですが、今年は該当作品がなかったということでした。だからかどうかは解りませんが、今年は目新しい感じのものはなく、全体に非常に美しいという印象が残りました。 まずは、N響委嘱作品 山根明季子さんの「水玉コレクションNo.06」でした。プログラムノーツにある「音を形にした」、ということは私には良く解りませんが、聴くと、非常にくっきりかっちりした感じの曲です。同じ音型が続くので、ミニマル音楽の一種かと思いますが、それは次第に変化して行きます。そして最後のほうになると、くっきりとした雰囲気が消え、ちょっと恐怖を覚えるような悪魔的な感じにもなっていくのでした。終わって指揮者のパスカル・ロフェさんに、客席から呼び出され、ひょっこりとお辞儀をなさった山根さんはまだとてもお若い女性でした。 次は、2000年に尾高賞を受賞した藤家溪子さんの「ギター協奏曲第2番「恋すてふ」という曲、ソリストは山下和仁さんで、柔らかい静かな雰囲気の和音が重なっていくような大変美しいギターでした。オーケストラもとても美しく、心地よく聴きました。よく現代音楽というと耳障りが悪いといような第一印象があるのと、180度違うものでした。 後半は外国の方の作品、まずはアウリス・サリネンさんの室内楽第8番「木々はみな緑」という曲で、これはチェロ協奏曲なのですが、ソリストはピーター・ウィスペルウェイさん、プラットフォームを一段高くして演奏されました。前のギターと比して、驚くほど大きな音でしたが、静かに深い歌を奏でるようでした。少ない人数のN響の弦も非常に繊細で美音でした。この曲はこの世のものとも思えないほどの美しい響きで、このようにいつまでも青い地球であってほしい、とそんな風に思わせました。 最後は、マルク・アンドレ・ダルバヴィさんの「まなざしの根源」は、様々な色合いのある壮大な感じの曲でした。 全体に、これまでMusic Tomorrowで体験した変わった楽器や編成のものはない聴きやすいコンサートでしたが、もう少し珍しいものを期待していたので、私にとってはちょっと新鮮味が足りなかったことも否めません。 |
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