投稿日:2010年01月02日 (土) 14時32分
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ウィーンフィルニューイヤーコンサート2010 正月の例年の本命です。
プログラムは、次の通り。
ヨハン・シュトラウス二世「喜歌劇“こうもり”序曲」 ヨーゼフ・シュトラウス「ポルカ・マズルカ“女心”作品166」 ヨハン・シュトラウス二世「ポルカ“クラップフェンの森で”作品336」 ヨハン・シュトラウス二世「ポルカ“愛と踊りに熱狂”作品393」 ヨハン・シュトラウス二世「ワルツ“酒、女、歌”作品333」 ヨハン・シュトラウス二世「常動曲」 休憩 ニコライ「歌劇“ウィンザーの陽気な女房たち”序曲」 ヨハン・シュトラウス二世「ワルツ“ウィーンのボンボン”作品307」 ヨハン・シュトラウス二世「シャンペン・ポルカ」 ヨハン・シュトラウス二世「ポルカ・マズルカ“心と魂”作品323」 ヨハン・シュトラウス一世「ギャロップ“パリの謝肉祭”作品100」 オッフェンバック「喜歌劇“ラインの妖精”序曲」 エドゥアルト・シュトラウス「美しいエレーヌのカドリーユ 作品14」 ヨハン・シュトラウス二世「ワルツ“朝の新聞”作品279」 ハンス・クリスチャン・ルンビー「シャンペン・ギャロップ 作品14」 アンコール ヨハン・シュトラウス二世「ポルカ”狩り”作品373」 ヨハン・シュトラウス二世「ワルツ"美しき青きドナウ”作品314」 ヨハン・シュトラウス一世「行進曲”ラデツキー行進曲”作品228」 (管弦楽)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 (指揮)ジョルジュ・プレートル (番組司会)中條誠子アナウンサー
今年の指揮者プレートルは、2008年以来2度目の登場ですが、今年85歳で、自ら持っていたニューイヤーコンサートを振った最高齢指揮者の記録を更新したそうです。 一昨年のプレートルの演奏は、基本的にウィーンフィルに任せて、というスタイルのように感じましたが、本年も表面的には全く同じ、あまり指揮棒を振らず、体をゆするだけで音楽に身を任せている雰囲気でした。しかし、テンポのとり方やリタルダンドのかけ方は、プレートル独自のものがあって、その辺は事前にきっちり打ち合わせされているということなのでしょう。
テンポは基本的に遅め、アッチェラランドは余りかけず、リタルダンドの多用が目立った演奏会でした。一つ間違うと下品な演奏になりそうなところですが、歯切れの悪くない演奏で、あまり重い感じはしませんでした。そこがフラン人指揮者の感性なのか、ウィーンフィルの実力なのかですね。
私自身の好みはもっとテンポのいい演奏ですが、これがプレートルのスタイルなのでしょう。
プログラムの前半は、通常の「ニューイヤー・コンサート」的組み合わせで、ゆったりとした演奏が主でした。
後半は、プレートルがフランス人、ということが関係あると思いますが、オッフェンバックとシュトラウス・ファミリーという観点あるいはフランスとシュトラウス・ファミリーという観点でのプログラム構成でした。
まずは、シュトラウス父の「パリの謝肉祭」でフランスを印象付けた後は、オッフェンバックが後に「ホフマン物語」で舟歌に変えたという「ラインの妖精」序曲が続きます。「美しいエレーヌ」のカドリーユは、当然ながらオッフェンバックの喜歌劇「美しいエレーヌ」パロディ。後半のメインである「朝刊」は、シュトラウスとオッフェンバックが同じ舞踏会のために競作したという作品(ちなみにオッフェンバックの作品は「夕刊」です)。そして「シャンパン・ギャロップ」でフランスの高級発泡酒をイメージする、という構成ですね。
さすがに洒落ていて、気が利いていると思いました。
後半の演奏も基本もゆったりとしたものでしたが、その遅さは前半ほどは気になりませんでした。
恒例のパフォーマンスは、「シャンパン・ポルカ」において、栓を抜く音で最後のポンを本物のシャンパンを開けて見せたところ、打楽器奏者がそのシャンパンで乾杯をし、指揮者のプレートルが「僕にはないの」、という風な顔をして見せるというのがありました。
ゆったりとしているけれどもフランス的洒落っ気も感じられる2010年のニューイヤーコンサートでした。
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