投稿日:2006年12月01日 (金) 00時11分
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本日(もう昨日ですね)下記コンサートを聴きました。
11月30日 東京フィルハーモニー交響楽団 第26回東京オペラシティ定期シリーズ 東京オペラシティコンサートホール 指揮:チョン・ミョンフン
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調 K.551 「ジュピター」 モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626 ソプラノ:高橋薫子、アルト:菅有実子、テノール:吉田浩之、バス:久保田真澄、合唱:東京オペラシンガーズ(合唱指揮:船橋洋介)
一言で申し上げれば、チョン・ミョンフンの音楽作りの妥当性・説得力を感じたコンサートでした。
ジュピターの第2楽章はアンダンテ・カンタービレですが、そのカンタービレをこれほど強く感じられた演奏は初めてだったかもしれません。東フィルのメンバーの基礎的実力、例えば、きれいな音を出す能力であるとか、音の線をくっきりと浮き上がらせる能力はすれほど優れているとは思えません。
一寸気を抜くと、音がへなへなになります。しかし、チョン・ミョンフンに鼓舞されると音に生命が吹き込まれる。音が一寸位乱れても、音楽の推進力が優ってしまえば、十分魅力的です。
もっと軽い音ですっきりと演奏されるモーツァルトが好みですが、この劇的で、推進力のあるジュピターは十分説得力があります。満足しました。
「レクイエム」もチョンの音楽作りがほぼ全てでしょう。基本的に劇的な表現で音のダイナミクスの広さを感じさせられた演奏でした。この演奏も完成度という見方でいえば、それほどレベルの高い演奏ではなかったと思います。はっきり申し上げれば穴だらけです。しかし、全部を聴いたとき、モツレクのもつ独特のやるせなさ、しみじみとした感動が湧き出てくるのです。
合唱の東京オペラシンガーズは、合わせようという意識が希薄な感じがしました。てんでんばらばらで、合唱の均質性が示されない。だから、ひどいところはひどい。にもかかわらず期せずしてハーモニーが重なったときの凄さはやはり只者ではありません。例えば「ラクリモーザ」。良かったです。
ソリストもそれぞれ課題が残ったと思います。正直にノーミスの方はどなたもいらっしゃらなかった。バスやアルトは低音が不安定でしたし、ソプラノは息継ぎの失敗があり、テノールも声のざらつきがありました。
にもかかわらず、全体としては良い音楽だった、と申し上げましょう。観客の拍手で、一度舞台裏に引っ込んだソリスト、合唱団、オーケストラメンバーが再度舞台に登場したのを私ははじめて見ました。
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