投稿日:2006年09月29日 (金) 17時55分
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サントリーホール20周年記念フェスティバル公演・タン・ドゥン:ホール・オペラ「TEA」〜茶は魂の鏡〜を見て参りました。2002年の時も見たのですが。 オペラといっても、それほどのストーリーはなく、薬ともなるお茶とそのことについての書物『茶経』を世界へ伝播することと、日本の皇子の中国での若い頃の思い出との絡みのようなことですが、音楽、照明、衣装、などが実に幻想的で美しく、副題の〜茶は魂の鏡〜という心のありようを表現しているようでした。ホール・オペラにとてもふさわしいものだと思いました。 まず、3人の打楽器奏者が、最初客席後方から弓で弾きながら出てくる楽器の音色が非常に心に響きます。水が中に入っている金属のつぼに長さが違う棒がささっているようなものなのです。3人組は水を使った楽器や紙楽器の奏者でもあると同時に舞踊家でもあるみたいで、ステージ上でも様々な身体を使った演奏をすると、なんともいえず幻想的な感じを受けました。 音楽は、独特なリズム、不安定なような旋律、時にロマンティックなメロディも少し。なんだか心底深く響くようで、その時空を共有していることが嬉しく感じました。 もし重複を避けた歌詞を書き出したら、そういくらもありません。お話の部分は単純だけれど、聴き手がいくらでも、想像を発展させられるような感じです。バリトン、ソプラノ、テノール、バス、コントラルトのソロもかなり素晴らしいのですが、没個性的な9人のバス・バリトン合唱団がとてもユニーク。 舞台は、P席からステージへ幅広い帯のような床を斜め十字のように掛け、見慣れたサントリーホールの様子がどんなだったか忘れるようです。第2幕の終わりと、第3幕の終わりに薄い水の滴りが広がっていく照明が前回あったかどうか忘れました。照明と衣装、装置が見事に融合していると思いました。特に中国の皇女が登場してくる時に片手に持ったくるくると回るボールのようなものが、とても純粋で可愛らしい性格を表しているようですし、悲しむ時はそれをつぶしていかにも悲しい赴きでした。 オーケストラは、N響の方がた、譜面めくりの音や声も出します。バス・フルートとハープが活躍します。仕切られた舞台の反対側に後ろ向いたパーカッション―ガムランや珍しいシンバルなども面白かったと思います。 指揮はタン・ドゥンさん。 |
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