投稿日:2015年04月19日 (日) 19時06分
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プログラム
ショスタコーヴィチ「祝典序曲」 橋本国彦「交響曲第二番ヘ長調」 ショスタコーヴィチ 交響曲第10番 ホ短調
私が新交響楽団を聴いたのは二度目のことである。1回目は多分1977年。今から38年前、新交響楽団が鳥井音楽賞を受賞した時の記念演奏会のことだったと思う。 東京文化会館で。指揮者は芥川也寸志。プログラムは覚えていないが、日本の曲がメインだったように記憶している。
その当時、サントリーホールも、オペラシティも、東京芸術劇場も未だなく、東京文化会館が、東京のオーケストラの聖地だった時代である。私は、当時仙台に住んでいて、夏休みに東京に来たついでに聴いた。
まず、東京文化会館の威容に圧倒された。それまでせいぜい1800席の宮城県民会館しか知らなかったのだから。また、プロがいつも演奏している舞台にアマチュアオケが乗るのだから、余程上手なのだろうと思ったけれども、確かに、田舎の少年にはまばゆいばかりの演奏だった。
その時、私は19歳。それまでまともなオーケストラを生で聴いたのは2,3回だったと思う。そういう未経験の少年にとって、新響サウンドは驚き以外の何物でもなかった。それから38年。その間オーケストラの演奏を生で随分聞いた。NHK交響楽団を中心に東京のプロのオーケストラは全て一度は聞いている。市民オーケストラも何度も聴いている。
オケピットに入ったものまで含めれば合計1000回は超えている。おかげで耳年増になった。オーケストラの演奏の好き嫌いも随分はっきりしてきたと思う。しかし、その間、新交響楽団には縁がなかった。今回楽団員の方に誘って頂き、新響を聴かせて頂いた。その席は、1階の真ん中の、S席としても最高のところ。
私は東京芸術劇場にもたまに出かけるけれども、聴くのはいつも三階後方の席である。そこから舞台はずいぶん遠いが、今日の場所は流石に最高だった。何といっても音が近い。音が一つ一つ粒だってはっきり聴こえる。それが最高に良かった。
プログラムに関して言えば、橋本国彦の交響曲は初めて耳にするものである。ブラームスの交響曲第2番を彷彿とさせる作品だった。これが聴けたのが収穫。
演奏に関して言えば、基礎的な演奏技術、音の自身の美しさとか、音の合い方に関しては、プロが素晴らしい演奏をした時のレベルに達していないことは間違いない。ヴァイオリンや、ヴィオラはボーイングの動きが、前方と後方とで微妙にずれている。
コンマスのヴァイオリンソロにしても、一昨日N響「シェエラザード」で演奏した篠崎さんのヴィオリンソロとは比較にならない水準であることは否めない。
それでも今回の演奏は、とても良かった。アマチュアの良さがとても出ていたと思う。みんな楽しそうに一所懸命に演奏していたのが良い。今回の選曲は、管楽器のソロが多かったわけだが、管楽のソロを吹いていたメンバーがみな楽しげに、「ドウダ」という感じ演奏していたのが良い。全然ルーティンではなかった。
その気持ちが湯浅卓雄のタクトの元、生き生きと表出されていた。細かいミスはあったと思うけど、それを上回る音楽する喜びが溢れていた。楽団員の熱が会場にも伝わっていた。それが気持ち良かった。
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