「モーニング娘。」が止まらない。
　
本体のモー娘。はメンバーの脱退、加入を繰り返しながら、現在十三人で活動中。加えてタンポポやプッチモニなど、メンバーのさまざまな組み合わせによるユニットが次々と新譜を発表、ヒットチャートは彼女たちに乗っ取られる寸前だ。それだけではない。映画にドラマ、写真集に雑誌と、メディアへの露出度は半端ではない。小学生の女の子たちの多くは、モー娘。に入ることを夢みている。

　なぜだ。
　
　ごく普通の女の子たちなのに、なぜこんなに受けるのか。一人ひとりの区別もつかないオジサンたちは、困惑するばかりだ。そこで、安倍なつみである。北海道出身、二十歳。初期メンバー五人のうち、今も残る二人のうちの一人。”なっち”の愛称で親しまれ、ファンによる人気投票では常に一、二位を争う。
　
　二冊目となるこのソロ写真集では、日だまりで猫と戯れたり、シーツにくるまって物憂げな表情をみせたりと、ファンにはたまらない魅力が全開、のようだ。確かにかわいい。かわいがっていた親せきの子がそのまま大きくなったような（あるいは年下にとっては近所のお姉さんのような）、そんなかわいさだ。そういう目で見ると、表紙写真のティアラ（髪飾り）がちょっとゆがんでいるのすら、かわいく見えてきたりする。
　
　モー娘。は、手の届きそうな知り合いの子であると同時に、巨大ビジネスのコマでもある。”なっち”もいつ脱退するか分からない。ファンもそれを承知しているからこそ、今を熱くなれるのかもしれない。出版社によると、発売十日で十万部超。「一人」が新鮮に見えるのが、売れる理由のひとつだという。