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モノクロモーニング。の魅力




自分の歌が作られる過程を知らないでもう歌えない。歌い手として欲張りに 読売新聞

◆いつも背水の陣で歌う

 歌にCMにバラエティー番組――。彼女たちの歌声を聴かない日はない。今年は映画にも進出。音楽の多様化、細分化が進み、アイドルといっても特定の世代だけのものになって久しい時代に、老若男女に親しまれる久々の国民的アイドルといえる。
 
テレビ番組のオーディションを契機に結成され、デビューしたのが二年前。「サマーナイトタウン」などヒットを飛ばし、一躍人気者になる。が、反面で「すぐ消える」という厳しい見方もつきまとった。
 
そんな見方を吹き飛ばしたのが、昨秋の「ラヴマシーン」の大ヒット。軽快なディスコ・サウンドと一見さえない振り付けが受け、百七十万枚も売れた。個性的な作風と吹っ切れたような歌いっぷりは音楽的にも高い評価を得た。
 
「曲がテンポがあるので、かっこいい振りがつくかと思ったら、違った。つんくさんいわく、いかにも連想できるものはつまんない。その通り。だれもやらないことをやるのがモーニング娘。ですから」
 
今年に入っても、「恋のダンスサイト」、「ハッピーサマーウェディング」と相次いで大ヒットを飛ばし、快進撃は続く。
 
「それでも厳しい見方をされているのは知ってます。でも頭にきたりはしないですよ。こういう仕事は先は見えないでしょ。ずっと不安、いまも不安ですよ。でも、そういう危機感をつねに持っているのが大事」
 
デビュー当時は五人だったが、増員、脱退を繰り返し、今は十人。つんくの的確なプロデュースに加え、相次ぐメンバー交代が話題を呼び、人気維持に一役買う。結果的に最初のメンバーは中沢を含め三人だけ。四月に加わった四人のうち最年少は十二歳。二十七歳のこの人より一回り以上若い。
 
「もう話も通じませんよね。でも、まとまりが必要な時は年齢に関係なくビシッと言いますよ。これだけメンバーが変わると、ついていけないと思う時もある。振り付けもコーラスも一からやり直さないといけないから。ただ、振り付けも実は、歌っている途中にどんどん変わっている。変わり続けることで新鮮でいられるのかもしれない」
 
◆1人では初のポップス、作曲にもいつか挑戦を

 グループ内でさらにユニットを作って別個に活動しているが、この人だけは「中沢ゆうこ」の名でソロで活動する。これまでは演歌を歌ってきたが、十二日に出した新曲「上海の風」(ゼティマ)は、初めてつんくが、この人に対して作詞、作曲を手がけたポップス。上海を傷心旅行で訪れた女性の切ない心情が、中国風の旋律にのって描かれる。
 
「最初、なぜ私が演歌なの、と思ったのは事実。今回もソロシングルは演歌だと思っていたら、つんくさんがポップスを書いてくれ、意外で驚いた」「意外」と「驚き」はこのグループに付き物だ。増員、別ユニット結成と今まで何度も驚かされてきた。
 
「明日何が起こるかが分からない。例えば歌番組でもこのステージが終われば、ひょっとしたら後がないかもしれない。そんな覚悟でいつも歌っています」
 
言葉には実感がこもる。しかし、表情は明るい。京都府出身。高校卒業後、大阪で会社員をしていたが、歌手の夢をあきらめきれずにオーディションに応募。夢をかなえたいま、充実感は明日がみえない不安感さえも上回る。
 
「自分以外に代わりのいない存在になりたかった。最初はただ、歌えるだけで満足していましたが、最近は曲が出来る過程を近くで見てよく知りたいし、自分でも曲を作りたいと思う。歌手としても、聴き手の胸にもっと届くように歌えるようになりたい」
掲載日:00/07/18


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