☆安倍なつみさん、えなりかずきさん　家族あっての私たち☆　

　今年の日本テレビ系、二十四時間テレビのテーマは「家族って何？」。今月十日に二十歳の誕生日を迎えたばかりの安倍。顔にあどけなさが残る十六歳のえなり。二人に問いかけてみた。
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　安倍は、三年前のデビューを機に、北海道室蘭市の家族を離れて単身、上京した。「一番の支えであり、大好きな人たち。安倍家はすっごく仲が良くて、友だちの誘いを断ってでも家族でキャンプに行ったり、クリスマスも一緒に過ごしたり」照れることなく、「離れてみて初めて、父母の愛の深さが分かりました」と語る姿を見て、本当に幸せな家庭に育ったんだなあ、と思う。なのに、室蘭から電話がかかってくると、「分かってるよ、もぉー」と、ついおざなりの返事をして切ってしまう。「しばらくすると、必ず後悔する」。心の底から甘えられる存在。それが家族だ。
　

　えなりは、父が所属事務所の社長、母はマネジャー、弟もタレントという芸能一家。「家族はチームですね。幼いころから発声練習を手ほどきしてくれた父母がコーチ兼キャプテン。僕は、チームを引っ張る一選手であれたらいいな」自分は一家の大黒柱と言うより、えなり家というチームの一員に過ぎない。これが、彼の持論だ。
　
　「ドラマでは、現場に行く前にやるべきことが多いんです。台本を覚えたり、練習したり。家での監督は両親ですから、今でもよく怒られます」両親とは、一日三時間以上の会話を欠かさない。「人生経験が短い分、親とのコミュニケーションでいろんなことを吸収してます」
　　　　　　　　　　　　　　
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　安倍とえなりには、アイドルと子役という違いはあるが、共通点もある。「その時に思ったことや感じたことを、詩に書き留めています。今という時間は今しか過ごせないから」。安倍は多忙であっても、詩を書くことで、二十歳のあかしを残すのだという。「自分の詩を歌にして、皆に伝えるのが夢。いつか歌になればいいなと思いながら、いっぱい書きためています」

　一方のえなり。「子役は大成しないと、昔からよく言われますよね。でも、大人だって競争が激しいのは同じはず。ちょっとでも努力を怠れば、駄目になることは分かっています」父親には、三年周期で新しいことに挑戦するよう助言されている。現在は、バラエティー番組に積極的に出演。二十四時間テレビでは和太鼓の演奏に挑むなど、次々と新境地を切り開いている。
　
　「モーニング娘。」、そして子役にも、必ず終わりがある。二人は今の栄光を享受しながらも、次の手を打つことを忘れていない。
　　　　　　　　　　　　　　　
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　二人とも、絵にかいたような「いい子」に見える。他人を不快にさせる毒もなさそうだ。もちろん、年相応の悩みはあるだろうが、無毒さこそ、多くの人に愛されるゆえんでもある。　二人をここまで育てた家族の存在は大きい。と同時に、家庭の荒廃が指摘される時代にあって、家族を「大好きな人たち」と言い切り、「一つのチーム」と表現する姿が、何やら珍しく見える。
　
　「家族って何？」と、改めて問いかけざるを得ない現代。二人の笑顔は、そんな寒々しい光景を一変させるパワーにあふれている。　
　
　
　　　　　　　　　　　　　　〈聞かせて〉

　Ｑ　安倍さん、二十歳の誕生日おめでとうございます。
　Ａ　以前に想像していた二十歳の女性像って、お姉さんで、パーマをかけて、どこから見ても大人、というイメージがあったのに、実際の私を見ると全然違う。うーん、大人になったような、子供のままのような、何とも複雑な気持ちですね。

　Ｑ　えなりさんは、ゴルフにアマチュア無線と、とても十六歳とは思えない趣味が多いようで……。
　Ａ　どちらも父親の影響で始めたんです。やらない人には分からないでしょうが、始めてみると楽しいものですよ。よく「オヤジ趣味」と、からかわれますが、「オヤジと言いたければ言え。自分はこれでいいのだ」と、声を大にして言いたいですね。

　Ｑ　安倍さんが今、望んでいることは何ですか。
　Ａ　故郷の室蘭に帰省したい！　おばあちゃんに会いたいし、畑の具合も見たい。犬にも会いたいな。

　Ｑ　えなりさん、自分の子供も子役にしたいですか。
　Ａ　うーん、微妙だなあ……。つらいこともあったし、させないかもしれないなあ。いや、させるかな……。これは迷いますねえ。

☆８月１６日東京読売新聞朝刊第２部［ＺｉｐＺａｐ］☆