| <あ、そのコピー!>モーニング娘。 |
北海道新聞
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地下鉄駅のホームで、「うしギャル」という単語を会話の中に連発している高校生たちがいました。「うしギャルは、いいよな」「うん、うしギャルは…」−−聞いていると、どうも彼らは人気の女性グループ「モーニング娘。」を、そう呼んでいるようです。 なぜ「うしギャル」なのでしょう? 考えてみました。「モーニング娘。」は「モー娘」と、よく省略形で言われます。「モー」→「牛」、「娘」→「ギャル」だから、「うしギャル」なんですね、きっと。これはもう、ナゾナゾの世界に入っています。まあ、そんな言い方をすることで、彼らは仲間意識を確かめ合っているのかもしれません。 「モーニング娘。」のネーミングについては、いろんな話を聞きます。知人は、彼女たちを「モーニングっこ」と呼んでいました。「あのね、それはモーニングムスメと普通に言うんだよ」と話したら、彼はギョッとした顔になりました。そして突然怒り出しました。「だって『札幌っ娘』で『さっぽろっこ』と読むじゃないか。いまごろ間違いと言われても困る!」と不機嫌になるのですね。そう怒られても、僕も困るのですよ。明るく笑ってくれればよかったのに。 あるおじいさんは、律儀にも句点をきちんと読んで「モーニングムスメマル」と言っていたとか。この姿勢に、頭が下がるなあ。 「モーニング娘。」の名前には、最近の広告コピーや商品のネーミングの創(つく)り方が反映されていると感じています。たとえば缶入り茶の「りらく茶」、金融の「トマト銀行」などに共通する、英語(っぽい響き)プラス日本語の組み合わせ方。そして広告のキャッチフレーズに、句点の「。」は、とてもよく使われます。話題を呼んだ北海道の「試される大地。」にも、きちんと句点がついていました。 広告は、思わぬところで私たちの暮らしと関わっています。「モーニング娘。」と広告表現の接点を考えていた、ある秋の宵でした。(臼井栄三・コピーライター)
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掲載日:00/09/01 |
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