| [見て聴いて] タンポポ「ラストキッス」 |
毎日新聞
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「タンポポ」ってだれ?という声を、あちこちで聞いた。シャ乱Qのつんくがプロデュースしてブレイクした「モーニング娘。」の中から選抜された飯田圭織、石黒彩、矢口真里によるユニットである。 「モーニング娘。」の方は、その曲からつんくの姿が容易に想像でき、彼の華やかさ、それでもってネバッとした湿気とか暗さが、どうも見えてくるものだった。タンポポは女の子的要素よりも艶(つや)やかさが感じられる。この曲を、もっと大人が歌えばリアルになりすぎて野暮ったくなりそうだし、恋愛に手の届かない年ごろだと空々しくなる。微妙でかつ現実的なところが、すんなり入ってくるのだろう。それなりに恋愛をしたことがあれば、切なさが充分に伝わるし、心地よい痛みに触れられる。この歌ってだれの?と、曲からも興味を引き付けてしまうのだ。 デビュー曲の「ラストキッス」(ゼティマ)は「パパラッチ」(日本テレビ系水曜深夜0・50)のエンディングで、PVも流れる。個人的にではあるが、プロデューサーのカラーが出過ぎるものには飽きている。ということで(完成度の高い曲があることを前提に)この3人がちゃんと自分の歌にしようとしているところに花丸をつけたくなった次第なのである。
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掲載日:98/12/15 |
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