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図解法による国調地域における地積測量図 |
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tama
(159)投稿日:2010年12月28日 (火) 14時45分
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はじめまして。 今年度より某役所において、嘱託登記を担当している者です。
法務局で公開されている地図の右上と左下に「座標値種別:図上測定」と記載されている地域=図解法による国土調査地域ということでしょうか、そういう地域で、用地買収による分筆登記のため地積測量図を作成する機会が多いのですが、事業担当課においては、まず市役所の国土調査課において公開されている読み取り座標により現地で筆界を復元しています。
事業担当課では、 筆界を復元した結果、現況と公差の範囲内であれば一致したとし、運用しておりますが、「国土調査は公共座標であり、座標値は変える事は出来ない。変えると地図訂正や地積更正が必要」とし、図解法による地域であっても国土調査成果を絶対視しているようです。 また、杜撰な職員になると、国土調査で立会済みだとし、現場での筆界点の復元自体していないこともあるようです。
よって、分筆の地積測量図においても、実際に測量することなく、市国土調査課で公開の読み取り座標により土地を図示し、分筆による新たな筆界線の新設点のみ現場で実際に測量した上で、記載してるようです。 (読み取り座標による筆界線との新たな実測した筆界線との交点の座標値は、机上の計算により図面上に記載)
私もこのホームページを拝見するまで、この部署に異動したばかりでよく分からず、このやり方に特に異論もなかったのですが、今は大変ショックを受けています。 今のやり方だと、今後、この測量図により現地を復元した場合、新たな筆界線は現場と合致するけど、それ以外は誤差が残ったままで合致しないという現象になりますよね。 (この段階での誤差は、国調法施行令で認められている誤差とは別次元の話であるとHPで拝見しました。) 買収に応じてくれた地権者の方に、後々迷惑をかけることがあるのではと、とても不安になります。
土地家屋調査士さんが、作成した地積測量図に責任を持つという姿勢で業務されていることに比べ、役所の意識の低さが恥ずかしいです。 当然、役所でも地積測量図に作成者として記載した以上は法的責任が発生するのでしょうが、あまりにも意識が低いと感じています。
ここで、教えていただきたいのですが、 ■以前、法務局の担当者が、「分筆登記後に14条地図に「手入れ」するとき、座標値入力によりPC上で行っている」と聞いたことがあります。 今後、読み取り座標の現地復元後、現況との位置誤差が公差の範囲内であってたとしても、分筆申請地の筆界をすべて現況で測量し、実際の測量値を地積測量図に記載した場合、座標値が変わるため、14条地図上の土地の筆界線の位置も変わることになりそうですが、隣接地の形状や接続との関係を考えると、座標値入力によるPC上での14条地図の「手入れ」など不可能ではないでしょうか? 関係する範囲の土地での地図訂正が必要なのではないでしょうか? それとも、図解法による地図地域は、あくまで地図は土地の概要図で、詳細は地積測量図での記載となり、公差内での座標値変更は地図上は変化がなく、地図訂正不要なのでしょうか?
■一度地積測量図が作成された土地は、今後の分筆において筆界点復元時に、その測量図で記載された筆界点座標値に拘束されるのでしょうか? (測量図により復元した結果、当時の分筆時の新設点にあたる座標だけが一致し、それ以外の周囲の座標は一致しなかった場合、どんな手続きが必要でしょうか?)
以上、本来は法務局職員に聞けばよさそうなのですが、やぶへびになって、当方役所の信用問題になると怖いので聞けずにいました。 長文になり大変大変恐縮ですが、ご教示いただきたくお願い申し上げます。
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□/老眼おっさん
(160)投稿日 : 2010年12月29日 (水) 13時32分
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tama様
一番大事な事は何でしょうか。 役所の職員であろうと土地家屋調査士であろうと、他人の大切な財産、境界(筆界)を扱っているという事を忘れてはいけないと思います。
筆界は決まっています。その筆界を表示するものの一つとして座標値があるということです。
座標値が相違するということが、そのまま筆界位置が相違しているのであれば地図訂正等が必要でしょう。
しかし、筆界点が相違せず、座標値だけが相違している場合についてのご質問の意図だと思います。
役所の嘱託登記で新設境界線(用地買収線)のみを実測し、それを読み取り座標の1筆地の形状に重ねる。
筆界と読み取り座標値が公差の範囲であれば読み取り座標値を使用する。新設の境界線の官民境界線は実測されたものだから大丈夫という発想と思われますが、用地買収線の新設境界線上にも民・民境界線があります。
この位置について、先ほどの公差の範囲であれば、読み取り座標を使用するということになれば、その位置は公差までの誤差をもっていますが、実測値では無く読み取り値との交点座標を使用しましたということになると思います。
役所の管理する読み取り座標値は公共座標値なのでしょうか。図解法による地籍調査であれば地籍図の1筆地の形状を市役所の管理上の問題で改めて読み取ったものだと思います。 仮に地籍調査時に面積測定の為にブラ二メーター等で読み取った値をそのまま使用されているとしても、それは公共座標では無いと思います。読み取り値は、読み取った時点で既に誤差を含んでいま。それをそのまま境界点の座標値で変更出来ないとするのは、いささか問題があるのではないでしょうか。市役所の地図を管理する為の座標であれば市役所内部の問題であり、第三者に公示する登記に使用するのは、他人の財産に土足で踏み込むような行為だと思います。 数値法によるものであれば、当然境界点を実測した座標値がありますので、その境界点を観測した図根多角点が残っていて、異動の無いものであれば、その図根多角点から境界の座標値を使用して復元が出来ます。しかし、この場合でも、単純に公差を使用して、範囲内にあるとしてしまうことは問題だと思います。
tama様が不安に思っておられる協力していただいた地権者について その後、地権者が残地の分筆を行う為に、嘱託により提出された地積測量図を基に、用地買収線(官地部分)を復元すると、分筆境界線の新設境界線のうち官地と民民境界の三者境界のみが公差分ズレて特定されることになります。この三者境界のみが相違しています。そして残地の形状は全体に相違しています。 この残地を分筆する場合どのような処理になるのかご存じでしょうか。
この処理を行おうとして土地家屋調査士が嘱託官庁に交渉しても、分筆錯誤等の処理は行わない。地権者が納得して印鑑を押印しており誤りではない。費用負担はしない。市役所は間違ってはいない。地権者側が費用負担をして登記ができるような処理をしなさいという事例が多いようです。
公差を使用するとしても、同一の精度区分でも図解法による公差と数値法による公差は相違します。地図の精度区分に合すとしても、数値法で測量された地積測量図の結果は同一の精度区分だとして扱っても、図解法では無く数値法によるものとしての扱いをするべきでしょう。
当然、嘱託登記は数値測量で行われているはずですから図解法の地図からの公差、数値法による地積測量図からの公差は同一では無く、数値法によるものの方が厳しい制限になっていますので、制限を超える可能性もあります。そうなると、どのような処理が必要になるのでしょうか。そしてその原因は誰にあるのでしょうか。
読み取り座標値は公共座標ではありません。あくまでも平板で図化された位置を読み取った値であり、境界位置を表す代表値を便宜的に数値で表したものなのです。数値法のように境界を直接測り得られた値ではありません。
私は土地所在図(地図)データと地積測量図のデータは別者として考えています。土地所在図データは地図手入れ用のデータとして全体を考慮して分筆線を入れます。地積測量図は詳細を表現するデータとして考えています。地図手入れ用としてはいますが、誤差の範囲を修正して現在の地図と合致した形状とするもので、地図訂正の必要ではない状態での作成です。 地図への手入れは地図管理座標としての入力であり、現在tama様の市役所で管理している国土調査座標と同様の感覚になるのではないかと思います。
地図訂正を必要とするか否かは、読み取り座標値を地積測量図にそのまま使用するか否かという問題と同様の性質です。その性質を見極めて行う必要があります。
嘱託登記で誤った処理をした訳ですから、分筆錯誤で分筆を取り消し、改めて正しい分筆を行う処理が原則ではないかと思います。登記官にご相談ください。
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□/tama
(161)投稿日 : 2011年01月06日 (木) 13時12分
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管理人様
お返事が遅くなりました。 丁寧なご回答ありがとうございました。
今、管理人さんがこのホームページで公開されている資料を読んで勉強中です。 読みごたえがあり、大変助かっています。
「読み取り座標をそのまま使った分筆=復元しても現地で合致しない誤った地積測量図」 ですので、こういった場合は管理人様のおっしゃるとおり分筆を取り消し、実際に測量した図面で正しい分筆をすべきだと思います。
管理人様がホームページで公開されている文書(http://www.geocities.jp/toppobanasi/page363.html)の中で 「●二つの契機・二つ目 その頃、県の巨大プロジェクト事業があり、関連事業として国道から事業地まで南北に走る県道区間を約300メートルにわたり拡幅することとなり、県が県道拡幅部分を分筆・買収をしました。その分筆・買収された後の宅地の再分筆を知人から依頼されました。 」
というエピソードがありますよね。 このエピソードでは、買収部分は恐らく所有権が「県」に移転してしまっていると思います。 こういう場合は、やはり所有権移転登記を抹消して一度元の所有者に名義を戻さないと、分筆登記の抹消はできないような気がします。(もしかして、名義を戻しても、所有権移転が一度されたら分筆登記抹消はできないのでしょうか?)
それとも分筆登記の抹消ができないのであれば、役所にはもはや代位権がないので、大変迷惑をかけますが、個人申請という形で 1 現地で実際に測量した正しい地積測量図を作成して地積更正 2 〃 地図訂正+地積更正 3 現地で「ずれた分」だけ細かい分筆を行い隣地と所有権のやりとりをする方法
のどれかの方法になるのでしょうか? この最終的な結末が、今とてもとても知りたいです。 というのは、登記業務をするようになって9ヶ月ですが、まさに、こんなことが私の周りでも私は知らないだけで実際は多くありそうな気がするのです。
本来、法務局に聞くべきことですが、すみません。 |
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□/老眼おっさん
(162)投稿日 : 2011年01月06日 (木) 17時11分
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tama様 大変悩まれている事と思います。 一昔前には,このような事例はたくさんありましたが・・・。
所有権移転登記で一度,元の地主に所有権をもどさないと,分筆抹消登記は出来ませんが,土地所有者の協力があれば問題ないと思います。
1,2,3の方法については,「個人申請という形で」これはやむを得ないと思いますが,調査士法違反になりかねませんので,ご注意ください。 1,2の方法については,法務局の登記官の裁量の問題になろうかと思います。通常であれば難しいと思います。地積更正や地図訂正の本来の意味から相違すると思います。
3については,可能だと思います。分筆後,真正な土地名義人の回復という事になるのでしょうか。でも,税金問題が発生する恐れがあります。
以上から,元の地主に所有権移転した後,分筆抹消登記をして,再度正しい分筆登記・所有権移転の手続きを行う事が本当だと思います。
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