投稿日:2006年03月07日 (火) 16時50分
|
パリでの屋根裏部屋について私は詳しくは知りません。子供のころ「小公女」という少女小説を読み、その中で大金持ちの娘が父親の死で、学校の寄宿舎からいっぺんに屋根裏部屋に追いやられる話で、可哀そうで泣いたことを覚えています。 ともかく普通の人より一段低い階層の人が住む場所とされていたようです。 日本なら天井裏に当たるというべきかもしれませんが、通常は斜めになった壁に、やや上向きに窓が明いていて、下の景色が見えない。また階段も一般のと区別され別につけられることもあったと聞いたことがあります。 ボヘミアンもミミも、そうした屋根裏部屋に住む最低生活者ですが、日本のホームレスなどと違うのは、貧乏で自由な生活だが、同時に夢と希望があり、誇りを持っていることです。一見破天荒な行動もそのためで、ミュルジェもプッチーニもボヘミアン生活を経験したので、このオペラはそうしたボヘミアン生活を描いているのです。 ボヘミアンの最もよい仲間であるお針子のミミが、家賃の高い下の部屋に住んだり、通常のお嬢さんであってはいけないのです。 よくミミが純情可憐の乙女のように書いたものも見ますが、これも誤り。世の中のことは良く知っていて、しかもある意味の純粋さを保っている、これがプッチーニの「理想の女性」だったのです。 オペラの舞台の部屋は、ボヘミアンたちの部屋と書かれていますが、四人が全部ここに寝泊りしているのではなく、恐らく借主はマルチェロ、そこにロドルフォが転がり込んできている状態だと思います。後の二人は、それぞれ別の場所の別の部屋に住んでいて、生活だけを、ここで共にしているのではないでしょうか。 原作では四人の住まいは全く別で、日日の生活だけを一緒にしています。そしてロドルフォだけが、マルチェロの部屋に転がりこみ共同生活をしたときがあるのです。 オペラではこの部屋にベッドが一つと指定されています。べノアが来たとき、真っ先に「家主だ」と叫び、また積極的に彼と応対するのは常にマルチェロです。「三か月分は払ったよ」とどなるのもマルチェロです。借主はマルチェロと考えて間違いないと思います。 |
|