投稿日:2005年08月08日 (月) 23時46分
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本日、ミューザ川崎で東京交響楽団の「カルミナ・ブラーナ」を聴いてまいりました。東響は6日にサントリーホールでカルミナ+魔弾の射手ハイライトでコンサートを行っておりますが、川崎は「カルミナ」のみ。そのかわり、入場料は2000円と格安(でもないか)でした。
「フェスタサマーミューザ川崎」という2週間強に及ぶイベントの最後を飾るコンサートでした。
ミューザ川崎シンフォニーホールははじめて伺いましたが、なかなか良いホールですね。サントリーホールに似たブドウ畑型というのでしょうか舞台の周囲を客席が取り囲むタイプ。なかなか柔らかい音も結構です。川崎駅直近というのも魅力ですね。
演奏の記録をまず。 指揮:飯森範親 オーケストラ:東京交響楽団、コンサートマスター:大谷康子 ソプラノ:高橋薫子、テノール:高橋淳、バリトン:成田博之 合唱:東響コーラス(合唱指導:宇野徹哉) 児童合唱:横浜芸術劇場合唱団少年少女合唱隊(合唱指導:武田雅博) 演目: オルフ作曲「カルミナ・ブラーナ」
演奏は、端的に申し上げれば「普通の」演奏でした。魅力のあるところはいくつもあるのですが、反面粗も目立つ演奏だったと思います。それを相殺すれば「普通」と言うべきでしょう。
まず前半は総じて詰まらない演奏でした。飯森自身はローカル色の充実した演奏を目指したいようでしたが、特別に洗練もされていませんでしたし、だからと言ってローカル色も感じられない中途半端な演奏だったと思います。勿論東京交響楽団の演奏技術もあります。管楽器のミスは随分目立ちましたし、アインザッツの揃いも今ひとつでぼけた感じが強くしました。
「カルミナ」自体は庶民歌ですから、細かいミスをあげつらっても仕方がない作品だと思いますが、演奏に庶民の図太さのようなものが感じられなくて、ただミスが目立つだけではどうにもなりません。
また前半の唯一のソロ、バリトンの成田博之の歌が全く魅力のないのも困りました。声量がない、音程が狂う、度胸に欠けていて堂々としていない、というのではどうしようもありません。合唱も前半は今ひとつ芯のない演奏で納得行きませんでした。
この演奏が明らかに変化したのは、高橋淳の登場からでしょう。高橋は燕尾服で登場しましたが、蝶ネクタイを半分ぶら下げ、シャツのボタンを外し、けれん味たっぷりの歌で結構でした。高橋淳のカルミナはかつて読売交響楽団の演奏会でも聴きましたが、エキセントリックな表現は読響の時以上でしたし、それでも要所を締め綺麗なテノールの喉を示したところなど、高く評価したいと思います。
高橋淳の声を聴くと周囲もまた乗るようで、指揮もオーケストラも合唱もベクトルが合致し演奏に魅力が表れてきました。前半は飯森のパフォーマンスにあまり反応しなかったオーケストラが、高橋淳登場後急に乗りはじめたのは一寸驚きでした。
ソプラノの歌は高音部の表現に若干の不安を残すもの。合唱は、前半は今ひとつでしたが、後半は文句なしと申し上げましょう。児童合唱は大変結構でした。
以上、前半が今ひとつで、後半が文句なしの演奏会だったと申し上げます。
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