妊娠８ヶ月半ば、私は実家に帰った。
モラからはなれていられてとても心地よかった。

だが、毎週末、モラ夫は実家に泊まりに来て、私の親に見えないときにまた私に嫌なことを言っていた。「ここはお前の家じゃないんだからな。子供を産むためでなかったら、こんな長く空けてもらうと困るんだ。」とか。

臨月になり、ある満月の日に産気づいた。
　陣痛が強くならないため、促進剤を何本も打たれた。痛みとともに、私は死ぬのだ、私という人格はこの子の誕生とともに死んでゆく･･･
無我夢中のままに子を産んだ。多量の促進剤の後遺症のため、体は麻痺して子供を抱くことままならず、すぐに引き離された。
「お願い、会わせて」私の中の本能がそういった。

私はその通り、人格が変わってしまったかのように、あんなに望まなかった子であったはずなのに、その子はもう私自身の体の一部であったかのようにひとときたりとも離れたくなかった。

入院中は体はしんどいながらもそうして至福の時であった。
そして、退院する前の晩、モラ夫がやってきた。
モラ夫は子供の誕生を喜び、上機嫌だった。私にはモラ夫が来ること自体うんざりだったが、産後すぐでフラフラしているのに、ベラベラしゃべったり、ベタベタするモラ夫がうざったくて仕方がなかった。
「ごめん、わたし、体がフラフラなのでもう少し静かにして」と、まとわりつくモラ夫をふりはらった。
　一瞬、以前の日常で感じたとても嫌なことの前ぶれをがよみがえった、が、ちょうどナースが私の世話をしに入ってきたので、モラは入れ違いに無言で部屋から出て行ったきりだった。

翌朝になった。迎えに来るはずのモラ夫はいつまでたっても来ない。「ご主人どうしたのかしらね？」もナースもいぶかしげに。何時間も過ぎていった。病院の人たちはいったいどう思っているのだろう、いつまでも置き去りの私を見て。
日もとうに高くなった頃、モラ夫が冷酷な目つきでやってきた。
『俺がなぜ来なかったかわかったか』
「私がふりはらったから？」
『旦那が来てくれたのにお前は子供のことばっかりで俺のいうこといい加減にあしらったなあ、何様のつもりだ、ちょっと自分が痛い目して産んだからってエラそうにするな。俺がお前らを食わしてやるんだぞ！』
　あまりにショックでボロボロ涙がこぼれ、私は嗚咽した。
タイミング悪く、ナースが入ってきた。一瞬、彼女は見てはいけないものを見た、と感じた空気が伝わった。
モラ夫と私のあいだにある小さなベッドで静かにしている子供をそっと抱き上げ、まるで避難させるかのように「赤ちゃんお風呂にいれてきます」と足早にナースは去っていった。

ナースが去るやいなや、モラは大声で怒鳴りたいのを声をおさえ、『こんなとこで泣くな！お前のせいで変な目で見られただろう！』とさらに続けたそうだが、私にさらにここで泣かれると自分の立場が悪くなると気にして、それ以上は言わなかった。

そして私もナースに心配かけるのはこれ以上申しわけなく、心を石にして、なんとか泣くのをこらえて顔を洗った。

しばらくしてナースと子供が戻ってきた。モラ夫はとりつくろって、ナースにへらへらと挨拶をし、しらじらしく子供をかわいがった。私はそれを見て気持ち悪くなり、目まいがして倒れそうだった。

そして退院し、またしばらく実家にいた。体がつらくても、授乳のために眠れなくとも、モラ夫さえいなければ平和でおだやかな時間だった。もはやモラの血が半分流れていようが、この子は私の子だった。いつまでもこの平和が続けばいいのに･･･時は遅々と、そして無情に流れた。
　　つづく

悲惨なお産
私も、よく似た思い出があります。

えりささん最低最悪なモラ夫に捕まってたのね…
私なんか まだまだましだ。

このまま「こたちょー」に送ってあげて！

みんなが引いてしまいそうなほど、元モラのしでかしたことは行き過ぎなのですね〜。
ここのサイトでも、こんな目にまで遭わされた人は、ごく少数なのだろうか？　
事が事だけに、こんな経験をしていても、言えなくて心底黙してる人も多いのではと思います。

・・・「こたちょ〜」締め切りって昨日だったのですね。
今後の機会に情報提供も考えてもよいのですが・・・もし採用されてしまって、元モラとか周辺が見てバレそうな話ではないかなな？と、そういう心配があるんですよ。
このサイトはよっぽど見るわけなさそうなんで、安心して好きなように言いまくってるんですけどね・・・