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No.10459 20250601報告 投稿者:栃木の研究者   投稿日:2025年06月01日 (日) 10時43分 [返信]

【まとめ】
本日は、20250524報告で、巨大地震候補4:鳥島沖地震について
1605年の慶長地震は鳥島沖巨大地震であった可能性と
伊豆小笠原海溝には、現在M9の巨大地震を引き起こす歪みが蓄積されている
この2点を中心に補足します。

〇南海トラフの巨大地震とされている1605年の慶長地震は別の場所で起きたものではないのか。1605年慶長地震は鳥島東方沖巨大地震?!ほかに地震の巣はないか 
大地震の「定説」見直す動き 2013/10/31朝日新聞
石橋・原田(2013)らは、史料の再検討と津波シミュレーションから、
慶長地震が南海トラフ地震ではなく、伊豆・小笠原海溝の巨大地震である可能性を示唆した。
また、静岡大の生田らは、プレートの動く速度と過去111年間の地震計の記録などから、エネルギーがたまりやすい場所を解析。M9級の巨大地震を起こす恐れがあるのが日本近海も含めて17カ所あった。
伊豆・小笠原海溝について、生田さんは「過去の地震のデータが少ないが、地震や津波があることを考えておく必要がある」と指摘した。

〇瀬野徹三東京大学地震研究所名誉教授の論文中の慶長地震に関する記述
「平成24年度日本地震学会論文賞」を受賞した南海トラフ巨大地震
―その破壊の様態とシリーズについての新たな考え―
この論文の中で、
慶長地震はいわゆる津波地震であって、プレート境界のまともな脆性剪断破壊ではない可能性が大きいとして、南海トラフにおける巨大地震の一つとして含めることは出来ないとした。

〇上記:朝日新聞記事の図の引用と静岡大学理学部 生田氏の論文の図
https://bbs2.sekkaku.net/bbs/upfile/ikaseqa--1748672776-1118-684.jpg

左図の伊豆・小笠原海溝の斜線域が、鳥島東方沖で、その地域には、赤の歪み:M9クラスの歪みが蓄積されていることがわかる。
右図は、さらに詳しく、日本周辺の歪みの蓄積を示しています。
⑤の伊豆・小笠原海溝領域周辺では、2010年父島近海大地震M7.8、2015年小笠原諸島西方沖巨大地震、2017-2022年の5年間噴火が継続した西ノ島があります。

【内容】
〇ほかに地震の巣はないか 大地震の「定説」見直す動き
2013年10月31日 朝日新聞 以下、引用します。
政府や自治体が警戒する南海トラフや日本海溝など以外に、大きな津波を起こす地震の巣はないのか。(引用開始)
東日本大震災の教訓から、定説に疑問を投げかける研究が広まっている。南海トラフの巨大地震とされている1605年の慶長地震は別の場所で起きたものではないのか。
伊豆・小笠原海溝は無警戒でいいのか。

■慶長地震「南海トラフではない」
今月、横浜市で開かれた日本地震学会の秋季大会で、石橋克彦・神戸大名誉教授らは、慶長地震は伊豆・小笠原海溝の巨大地震とする仮説を提唱した。
南海トラフの巨大地震は、関西や東海、四国などに被害の記録がある1614年の地震だとした。

 慶長地震の津波の記録は各地に史料が残されているが、西日本で揺れの記録がほとんどない。繰り返されてきた南海トラフの他の地震とは違うタイプで、揺れに対して津波が大きい「津波地震」とされてきた。

 石橋さんは、京都で揺れの記録がないが、関東の揺れや房総半島の太平洋岸に津波の記録があることに着目。
太平洋プレート(岩板)がフィリピン海プレートに沈み込む伊豆・小笠原海溝のマグニチュード(M)8~9の巨大地震ならば説明できると考えた。

 小笠原で地震があると、西日本は揺れなくても、遠くの関東や東北での揺れが大きい「異常震域」という現象が起きる。固い太平洋プレートを通って地震波が伝わる北側は揺れが弱まりにくく、軟らかい層で地震波が伝わりにくい西側は揺れが弱まりやすいためだ。

 2010年の父島近海の地震(M7・8)では関東や東北で震度2だったが、愛知県以西は揺れが観測されなかった。伊豆諸島や静岡県以西の太平洋側に津波注意報が出され、父島と神津島で津波が観測された。

 仮説をもとに、東京大の原田智也特任助教らは伊豆・小笠原海溝で津波が起きると、各地でどれくらいの高さになるか試算した。12カ所の震源域を組み合わせて試した結果、鳥島の東側の100キロ四方の領域のM8・4程度の地震、海溝の東側の細長い領域のM8・2程度の地震の場合、記録に残る慶長地震の津波の高さと最も一致した。

 石橋さんは「検証には、伊豆や小笠原諸島で津波の痕跡の調査、関東や東北の揺れの記録などを調べる必要がある。南海トラフの巨大地震の将来予測に大きく影響するので調査を深めるべきだ」と話している。
(中略)
地震学会では、世界のプレート境界での地震を洗い直す発表もあった。
静岡大の生田領野(いくたりょうや)助教らは、プレートの動く速度と過去111年間の地震計の記録などから、エネルギーがたまりやすい場所を解析。M9級の巨大地震を起こす恐れがあるのが日本近海も含めて17カ所あった。根室沖から択捉国後島沖、伊豆鳥島から小笠原諸島、日向灘から南西諸島に、M9クラスの地震を発生させる歪が蓄積されています。

伊豆・小笠原海溝について、生田さんは「過去の地震のデータが少ないが、地震や津波があることを考えておく必要がある」と指摘する。南西諸島(琉球)海溝もエネルギーがたまっている可能性があるという。南海トラフは近年、大きな地震がなく、今回の解析の対象にならなかった。
(以下省略)

〇南海トラフ巨大地震
―その破壊の様態とシリーズについての新たな考え―
著者:東京大学地震研究所:瀬野徹三教授
掲載誌:地震第2輯、第64巻、第2号、97-116、2012
この論文は、「平成24年度日本地震学会論文賞」を受賞した。

この論文の中で、
慶長地震はいわゆる津波地震であって、プレート境界のまともな脆性剪断破壊ではない可能性が大きいとして、南海トラフにおける巨大地震の一つとして含めることは出来ないとしている

また、この論文の要旨としては
次の南海トラフ巨大地震は、
「次の地震は200~300年後ではないか」と発表した。過去に南海トラフ沿いで地震が起きた場所を調べた多数の研究を再検証した。

地震の揺れや津波、地殻変動の特徴を調べて矛盾が少ない形で整理し、
日向灘から遠州灘までの領域で地震が起きる「宝永型地震」、
四国から紀伊半島沖と駿河湾周辺で地震が起きる「安政型地震」
の二つにわけた。

過去には、この2タイプが交互に起き、宝永型は350年程度、安政型は400年程度の発生間隔と考えられた。
順番だと次は安政型地震だが、いずれのタイプでも「次の地震は200~300年後ではないか」と指摘した。

南海トラフ地震については、次のようなニュースもあります。
〇東京新聞2025/5/27
南海トラフ地震80%の計算モデル「間違いの可能性」 
提唱者の島崎邦彦・東大名誉教授 学会での言及に会場騒然
https://www.tokyo-np.co.jp/article/407422

「30年以内に80%」とする政府の南海トラフ地震の発生確率について、確率を算出する計算モデルを提唱した島崎邦彦東大名誉教授が26日、千葉市で開かれた「日本地球惑星科学連合大会」で講演し、「あと5年程度で南海トラフ地震が起きなければ、このモデルは間違っていたことになる」と言及し、会場が騒然となる場面があった。
島崎名誉教授はその後、記者団からの取材に、モデルが間違っている場合、政府の確率計算には「使わない方がいい」と語った。



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