●トルコ南部地震、断層を境に4m横ずれ 地殻変動、衛星データに
毎日新聞:2023/2/9
https://mainichi.jp/articles/20230209/k00/00m/030/312000cトルコ南部を震源とする大地震について、国土地理院は9日、断層を境に地表面で4メートル程度の横ずれが生じたとみられるとの分析結果を公表した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測衛星「だいち2号」のデータを分析した。6日に発生した2回の大地震で、断層帯を境に大地がずれ動いた様子がはっきりと確認できる。
この大地震では、東アナトリア断層帯でマグニチュード(M)7・8、北側の別の断層帯付近でM7・5の地震が続けて起きた。地理院によると、M7・5の地震の震源付近では断層の北側で西に約2メートル、南側で東に約2メートルずれ、計約4メートルの地殻変動があった。M7・8の地震では計約2メートルだった。M7・8の方が小さいずれだったのは、M7・5の方が震源が浅く、地表面に影響が出やすかったことなどが原因とみられる。
国土地理院の宗包浩志・地殻変動研究室長は「既存の断層に沿ってずれたことが明確にわかった。2016年の熊本地震でのずれは約2メートルだったので、今回の地震の規模の大きさを物語る地殻変動が見えている」と話した。
だいち2号は8日にトルコ上空から緊急観測。22年4月にトルコ上空から観測したデータと比較し、地殻変動量を分析した。
●2023年2月6日トルコ南部の地震
東京大学地震研究所 2023/2/8
https://www.eri.u-tokyo.ac.jp/news/18454/2023年2月6日現地時間4:17(日本時間10:17)にトルコ南部の東アナトリア断層沿いでM7.8の地震が発生した。その後、M6.7を含む活発な余震活動が続いた後、約9時間後の2月6日現地時間13:24(日本時間19:24)、M7.8の地震からやや離れた北側の別の断層付近でM7.5の地震が発生した。
(中略)
近年に内陸で発生したM7.8程度の地震は、2008年の中国・四川地震(Mw7.9)や、2002年の米国・アラスカのデナリ地震(Mw7.9)、2001年中国・崑崙地震(Mw7.8)などがある。しかし、今回のように、ほぼ同程度の地震規模の続発地震は発生していない。
今回のトルコのM7.8の地震は、東アナトリア断層沿いにおいてかねてから1513年の大地震以降に指摘されていた地震の空白域(Fig. 2の水色部分)に沿って、震源から主に北東に向かって破壊した。東アナトリア断層はアナトリアマイクロプレートとアラビアプレートを境界とする左横ずれ断層である。USGSの震央位置と既往の活断層図(トルコMTA発行,Emre et al., 2013)から判断して、破壊の開始は北西傾斜の正断層(ナルリ断層)から始まり、東アナトリア断層に乗り換わった後、北東方向への主破壊が生じたとみられる。一方、M7.5の地震は、東アナトリア断層から派生した、東西方向の左横ずれ断層であるチャルダック断層(旧称:エルビスタン断層)が主に破壊したと考えられる。震央位置は同断層の中央付近に位置するため、双方向に破壊が伝播したとみられる。付近では、歴史地震(例えばAmbraseys, 2009)が確認されている。
(以下省略)