首都直下地震 助かるためのキーワード
発災後 いつ何が起きるのか
https://www3.nhk.or.jp/news/special/saigai/natural-disaster/natural-disaster_16.html冬の夕方、風速8mで、マグニチュード7.3の地震が都心南部直下で起きたと仮定。
ご自分が想定していなかったことに印をつけて、対策を考えてみてください。
※東京都では、令和4年4月1日現在、都内で避難所約3,200か所(協定施設等を含む。)、福祉避難所約1,600か所が確保されています。避難所の収容人数は約320万人となっています。(東京都の人口は1396万人です)
●発災当日の被害様相
▼震度6強以上の揺れにより、約17万5000棟が全壊。都心部を囲むように多数分布する老朽木造住宅、老朽ビルを中心に被害が拡大。
▼液状化による全壊は約2万2000棟。東京湾岸及び河川沿いの液状化しやすい地盤の地域を中心に被害が拡大。
▼倒壊等による死者は約1万1000人、また、建物倒壊等により閉じ込め被害が発生し約7万2000人の要救助者が発生。いずれも実数は当初不明。救急車の台数不足。
▼震度6弱以上エリアの火力発電所が運転停止。関東以外からの電力融通含めても供給量は需要の5割程度に減少。広域停電が発生。
▼上水道の断水、23区で5割、一都三県で3~5割。下水道も一部で使用不可。
▼固定電話 大半で通話不能。携帯電話は音声通話ほとんどつながらず。メール大幅遅延。一都三県の携帯電話基地局の数%~1割が停波。
▼ガス、一都三県で1~3割で供給停止。
▼一般道、震度6強のエリアで幅員5.5m未満の道路の5割以上が通行困難。2車線の道路は通行困難箇所発生。4車線道路では車線減少も機能を果たす。
国道4号、17号、20号、246号、目白通り、外堀通り、環状7号から内側の道路で、緊急自動車・自衛隊車両以外が規制。規制のない区間では渋滞(時速5km以下)。 避難者があふれ右左折が困難に。
▼高速道路、都内で480か所、一都三県で620か所の軽微な被害。点検のため規制。震度6強のエリアでは不通の可能性も。
▼首都圏の鉄道、全線不通。JR、私鉄の震度6弱以上のエリアで500mおきの割合で軌道変形。
▼羽田空港、成田空港閉鎖。
▼帰宅困難者、23区内で800万人。路上にあふれた帰宅困難者で緊急輸送に支障。
家族の安否確認を行う災害伝言ダイヤル171も登録が殺到し容量が限界に。
▼エレベーター閉じ込め多発。救出に少なくとも半日以上。余震等の発生で死傷者。
▼ターミナル駅には周辺地区から利用者が押し寄せる。混雑状況が激しい場合、集団転倒などにより人的被害が発生。
▼倒壊した家屋、工場や店舗などの火気、燃料など約2000か所で同時火災が発生。湾岸の危険物施設では爆発や有毒ガスが発生、環状6号から8号周辺の木造家屋密集地などを中心に延焼が拡大、消火活動は不可能、燃え尽きるのを待つ状態となり約41万棟が焼失。
火災旋風が発生するおそれもあり最悪の場合、屋外で移動中の人が多数焼死する。火災による死者は累積1万6000人に上る。
▼被災地内外での買占めが発生し、コンビニ、小売店の在庫は数時間で売り切れる。特に飲料水は大幅に不足。
▼首都圏のガソリンスタンドの一部が倒壊、損壊等の影響を受け、営業が不能となる。
被害がなくても大規模停電の発生地域において多くのガソリンスタンドの営業が困難に。
▼医療機関、膨大な数の医療需要発生。建物被害やライフライン機能支障、電子カルテの閲覧困難等により機能低下。
▼海岸保全施設や河川管理施設等では震度6弱以上の強い揺れや液状化により沈下、損壊する。
▼民間企業の本社が被災し、被災地外の支社等も含め、企業の事業活動が停止する。
▼省庁の職員及び国会議員が同時に多数被災し、一時的に国家の運営機能が低下する。
●発災翌日の被害様相
▼域外からの緊急交通路主要道路の啓開は半数。救助部隊の移動は限定的。
▼要救助者の状況悪化。生存率を高めるには72時間以内の救助が指標とされるが、膨大な救助件数になり、救助活動が間に合わず時間とともに生存者が減少する。倒壊した建物から救助された人でも挫滅症候群(長時間体を圧迫され続け解放後に起こる病態)により死亡する人が発生する。
▼電力は一部で供給再開も、通電時の電気機器や電気配線のショート等による通電火災が発生。
停電継続。首都中枢機能を確保するため、都心部を除き、電力の需要抑制が行われる場合がある。
▼浄水場では非常用発電機の燃料切れが発生し、断水地域が拡大。下水道も一部で使用できない状態がつづき、大量の仮設トイレやマンホールトイレ等が必要に。
▼携帯電話基地局の非常用電源の燃料枯渇とともに機能停止拡大。一都三県で約5割(23区でも約5割)の基地局が停波。
▼発電機のない医療機関で機能停止。医薬品不足も発生。
▼高速道路と一般道について、災害対策基本法に基づく規制が本格化。高速道路は点検終了後、緊急車両のみ通行可。ただし地盤沈下などの影響が出た場合、その高速道路は3か月以上通行不能。国道は放置車両が交通を妨げ渋滞。広域的な停電の影響で信号などの交通管制に支障が生じ、手信号による対応が行われる。
▼大規模火災は継続。消防車の不足と現場への到着が追いつかないため、ほぼ消火不能の状態。
▼鉄道、震度6弱のエリアで復旧準備が進むが不通。震度5強以下のエリアで点検・補修後、順次運転再開。
▼羽田空港、緊急物資・人員輸送の受け入れ拠点に。
▼避難所・友人宅などへ300万人(都区部150万)の避難者発生。避難所に指定されていない施設への避難で災害対策に支障。避難スペース不足、水・食料も不足。
▼避難所で避難者と帰宅困難者の区別がつかず混乱が継続。帰宅困難者の健康悪化。
▼食料が大幅不足。被災者のニーズ把握困難。全国的に買い占め発生。
●発災から3日目の被害様相
▼域外からの緊急交通路主要道路はほぼ啓開も、いまだ救助部隊の移動限定的。救助を待つ生存者減少。
▼水道は首都中枢機能や災害拠点病院等の重要施設への供給に関わる管路復旧が進められる。
▼大規模火災 鎮火傾向。多数が広域避難場所から避難所へ。
▼被災地外からの商品供給など困難つづく。
●発災から4日目~6日目の被害様相
▼電力供給は、火力発電所が限定的に運転再開するも、停電率は一都三県で5割変わらず。都心部を除き計画停電などの需要抑制が行われる場合がある。
▼上水道の断水、23区でなおも4割。一都三県で2~4割。下水道も一部で利用できず。仮設トイレも不足し衛生状態悪化。
▼一都三県で携帯電話基地局の5割が停波したまま。移動用無線基地局の配備で限定的に回復。
▼高速道路、国道などの主要道路が緊急輸送道路として啓開が概成。深刻な渋滞は解消するも、首都圏全体で慢性的渋滞継続。民間企業の活動再開に向けた動きが本格化。
▼鉄道、不通路線はなおも不通のまま。被災地外に移動したい被災者多数はほとんど移動不可。復旧要員の絶対数が不足。
▼羽田空港からの緊急輸送本格化。ただし滑走路の液状化で復旧の長期化も。また空港までのアクセスの寸断で羽田空港孤立の懸念も。近隣のコンビナート火災の影響で離着陸に支障も。
震度5強~6弱の余震で繰り返し閉鎖の可能性。
●発災から1週間後の被害様相
▼電力供給、一都三県で5割変わらず(9割回復までに1か月)。
▼上水道の断水、23区でなお3割。一都三県で2~3割(断水解消9割まで1か月)。
▼一都三県で携帯電話基地局の5割が停波したまま。
▼高速道路、一般国道の一部で規制解除(一般車両が通行できるようになるまで1か月)。
▼新幹線全線、地下鉄の一部で運行再開。在来線不通区間は不通のまま。バスによる代替輸送開始も需要をまかないきれない(1か月後でも復旧は60%)。新幹線で脱線発生の場合、復旧まで2か月。
▼道路、港湾等の交通インフラが復旧しても、物資を運ぶトラックの燃料が不足し、物資の調達、配送は困難。
▼避難所では、人的・物的資源の対応が遅れ、冬季はインフルエンザ等の蔓延、夏季は熱中症、脱水症状等の健康被害が拡大。