「ねえ,君。名前なんていうの?」
「何よあなた。人に名前を尋ねるときは,自分から名乗るのが礼儀でしょう」
「ごめんごめん。僕は睦月。君は?」
「スミレよ」
「スミレちゃんか。僕は君をモデルにして絵を描きたいんだ」
「そんなことに付き合っている程,私は暇じゃないのよ」
「君をモデルにすればきっといい絵が描けると……」
「しつこいわねえっ!」
ビッターン!
「ああいうのがいるから世界征服がはかどらないんだわ。
まぁ,ちょっとかっこよかったけど。
少し懲らしめてやらないといけないわ。」
翌日
「見つけたわ。昨日徹夜でつくった驚異の兵器・コショウ爆弾!!」
1.敵にぶつける
2.コショウ炸裂!
3.クシャミで大変なことになる
「いくわよ…………それっ!」
ヒューン スカッ グシャッ
「ん? 今,何かが通ったような………?」
「次ははずさないわ。いくわよ………あっ!」
ピュー
「風でコショウがこっちに……クシュン クシュン。今日のところは撤退よ!」
「あ,スミレちゃんの声………あれ? いないな?」
「さっきは失敗したけど今度は大丈夫。ノラネコ突撃作戦」
1.ノラネコを捕まえる
2.敵に突撃させる
3.ノラネコ強し
「さぁ,行ってらっしゃい!」
タッタッタッタッ クルッ
「え! 何で戻ってくるの!?」
「ニャアァァー!」
「い,いやぁぁー!」
「こら! 自分の縄張りに戻れ!」
「あ,睦月!」
「ニャアッ」
ガリッ ガブッ
「くっ………ほら,怖くない。怖くない」
「ニャア…………ペロッ」
「ありがとう。お帰り」
タッタッタッタッタッ
「指かまれて痛くないの?」
「このくらい大丈夫。それよりスミレちゃんは?」
「…………転んだ時に手のひらをすりむいたわ」
「見せて。ふうん」
ペロッ
「なっ,何するのよー!!」
ビシビシビシィッ バシッ バシッ
「まあ,お礼を言わせてもらうわ。ありがとう」
「絵のモデル……」
「しつこい!でも………いいわよ」
「本当!?」
「でも条件があるわよ。一緒にラーメン屋に行ったり,散歩したり………」
「それってデートっていうこと?」
「そ,そういうことになるわ。それでいいわね。」
「君の絵をずっと描いていられるなら,ね」
【コメント】
コショウ爆弾,実際に作れると思います。
卵の下にタオルを敷いて動かないようにし,箸などでつつき,
少し割ったら中身を全部出します。
そして中にコショウを詰めてガムテープでフタをすれば完成です。多分。