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[477] 2007/07/24/(Tue) 10:24:56 |
| 名前 |
3年エッセーD
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| 題名 |
家族の絆と空気 |
| 内容 |
「お母さん入院だって。」 夕飯を食べていた父に、慌てた様子で母は言った。 その日は、祖母が以前から“腰が痛い”と言っていたので、母が病院に連れて行ったのである。その帰宅後のことだった。 「え?なんで?」 同じく夕飯を食べていた私は言った。 「圧迫骨折。お医者さんに入院に必要な荷物持ってきてくださいって言われたから、荷物まとめたらまたでるわ。」 そういうと母はまた忙しそうに祖母の部屋へ入っていった。 「入院か。」 そう父がつぶやいた。 祖母は、父方の母である。八十過ぎの祖母は、その頃、何かと体の不調を訴えており、病院に行くことが多かった。薬も飲まない日はない。そんな祖母を、父は当然ながら人一倍心配してきた。それ故、今回、入院ということになり、命にかかわることではないが、非常に落ち着かない様子であった。 「俺もいくわ。」 父は母にそう言い、出かける準備を始めた。そして荷物がまとめ終わり、父母は病院へ向かった。 約二時間後、父母は帰宅し、祖母の様子を伝えてくれた。 「元気そうだったよ。でもずっと同じ姿勢でいなきゃいけないから、きついわって言ってたけど。」 落ち着いた声で、父は言った。顔は不安そうだったが。 次の日、母は、再び病院へ行き、祖母の治療をどうするか決める相談をしてきた。 「このまま手術をせずに治療を続ける場合、三〜四週間かかるけど、どうするかって言われて、おばあちゃん、“そんな三週間も動けないのいややわ”って。だから手術することにしたよ。」 そう言い、父としばらく話し合っていた。 内容は詳しく聞こえなかったが、祖母が手術に対して、不安がっていたことや、これから先の祖母の身体について話していたようだった。 手術までは日にちがあり、その間、父母は、ほぼ毎日様子を見にいっていた。そのときの家の空気は、なんだか暗い感じが漂っていた。 そして手術当日、私が学校から帰宅すると、母が迎えてくれた。すでに手術は終わり、父と共に帰宅していたのだった。 「手術どうだったの?」 私は荷物を置きながら尋ねた。 「成功したよ。今はまだ集中治療室に入ってるけど。こんな白い帽子かぶってね。」 そういう母の顔は、以前よりは安堵感に満ちており、父も少し安心した様子で祖母の容態について話してくれた。 次の日には、祖母は通常の病棟に戻り、あとは、リハビリを行いながら、退院の日を待つだけだ。その日から、また我が家の空気がいつも通りになった。 私はこの一件で、「家族」の絆の深さと影響力を感じたような気がする。家族の中のたった一人が、こんなにも家族の雰囲気を変化させる。ほぼ成功は確実な手術に、これだけ心配をあらわにし、相手を思うことができるのは、愛情がなければできないことだろうなと感じた。 普段何気なく、当たり前のように過ごしている「家族」だが、いざというときには、自分のこと以上に、思ってくれる存在である。そんな絆をこれからも大切にし、その存在をいつでもしっかりと心に留めておきたいと思った。
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