[1084]瓦町P助
「高校野球・広島大会2回戦、広島商9-4基町」(19日)
5年ぶりの優勝を目指す広島商は、平川正晃選手(3年)が三回に決勝打となる左前適時打を放つなど3安打4打点と大活躍。基町を9-4で下し3回戦に進出した。20日は休養日のため試合はなし。21日に3回戦8試合が行われる。
◇ ◇
会心の当たりではない。それでも、相手に傾きかけた試合の流れを再び呼び戻す一打。ベンチ、そしてスタンドに詰めかけたおよそ600人もの広商応援団は、その瞬間を待っていた。
「打て、打て正晃。かっ飛ばせ正晃!」。一塁側内野席の大声援に背中を押され、平川のバットが火を噴いた。三回、3番・三枝から築いた無死満塁の好機だった。カウント1-0から横井が投じた内角高めのカーブを振り抜いた。バットの芯でとらえることはできなかった。だが、「何とかしたい」という思いが詰まった打球は、三遊間を抜け左前に抜けた。
「集中して打席に立つことができた。よかったです」。直前の三回表に一挙4点を返され4-4の同点。漂い始めた嫌な空気を一蹴(いっしゅう)する勝ち越しの左前適時打だ。
昨年、広陵に喫した2つの敗戦を糧とした。1つ目は昨夏の広島大会の準々決勝。3-15で六回コールド負けした。2つ目は秋季大会、6-7とあと一歩のところまで迫りながらも、白星を手にすることはできなかった。広島の高校野球界をリードしてきた2校。伝統の一戦での2連敗に、「この夏に借りを返そう」と一心で練習に打ち込んだ。
先輩にも刺激を受けた。5年前、同校の甲子園出場の立役者となり、今年カープに入団した岩本だ。昨年冬、帰広し同校を訪れたとき、初めて顔を合わせた。「雰囲気があった。話はできなかったが、岩本さんを見てさらに頑張らないといけないと思った」。成績はトップクラスで、何事においても常にコツコツとまい進する性格。この出会いをきっかけに、一層熱を入れ練習に打ち込んだ。
初回は中前適時二塁打。四回にも左中間突破の2点適時二塁打を放ち、3安打4打点。九回にはリリーフで1回無失点に抑え、快勝劇の主役を担った。
「次の試合も勝利に貢献したい」。額の汗をぬぐいながら力を込めた。その力強い打撃で、悲願の甲子園出場を勝ち取ってみせる。
2009年07月20日 (月) 11時22分
|