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東洋的身体法 |
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From:あろま
去る日曜日、隣町にて、アイヌと沖縄文化の交流フェスティバルがありました。
そこで、沖縄の宮廷踊りと、伝統庶民舞踊を取り入れた沖縄ポップス、アイヌの伝統音楽&踊りを見たのですが、 何と、どれも、基本動作が、太極拳と同じなんです。 太極拳で言う、「くわを作る」という、一種の中腰での立ち方法とか、 「すり足」で歩む所、そして、体幹をひねらず、腕や腰から下のみを動かす「ナンバ動き」をする所も…。 アイヌ舞踊は、元来狩猟民族だけあって、跳躍が多かったり、時に体をひねる事もあるのですが、やはり基本は「くわ」「すり足」「ナンバ」でした。 日本古武術は当然の事、日舞も、基本は全てそんな動きですよね。 どうやら、「くわを作る」「すり足」「ナンバ」という動きは、東洋全域特有の伝統的身体法のようですね。 本当に、太極拳を始めたからこそ、実感として気付いた事実でした ^ ^
う〜む…。「アジアはひとつ(岡倉天心)」ですねぇ…。 深いっっ!!
2005年09月09日 (金) 16時02分
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初めて聞きました |
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From:谷照之
「くわを作る」ですか。なるほど、あろま様の説明で何となく想像できる気がします。 「すり足」「ナンバ」は分かります。
あろま様の仰る、伝統的身体法。これは今日日常的に使う身体の使い方とは明らかに異なります。 無意識にこの動きが出来るようになるまでに、単調な鍛錬が続きます。 そして、出来るようになるのに数十年かかると言うのは言い過ぎでしょうか。 案外、こんなところにスポーツと武道の違いがあるのかもしれません。
仰るとおり、日舞、能の動きも同じだと思います。
岡倉天心は「茶の本」しか読んだことがありません。
2005年09月09日 (金) 22時21分
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身体動作 |
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From:木蘭
日本人の身体動作は、服飾史・生活史の点から、私も興味深く考えるテーマです。 少し前、話題に登った「ナンバ歩き」論争は、いかがわしいものでしたが。
>アイヌ舞踊は、元来狩猟民族だけあって、跳躍が多かったり、時に体をひねる事もあるのですが
これはアイヌに限った事ではなく、広く日本列島に存在する動きだと思います。 跳躍やひねりは、古武道の中にも盛んに出てきますし。
例えば『魏志倭人伝』(だったかな?)の中で、日本人(おそらく西日本人でしょう)が蛙の様に飛び跳ねて歩く様が描かれています。 当時の中国人には、非常に奇異に映る歩き方をしていたのでしょう。 列島には広く、足半(あしなか)という通常の草履の半分程度の長さしかない物で、 かかとを地面に付けずに歩くいたり、走ったりする履き物も在るくらですから、 こういった動きは、最近まで広く行われていたといえる訳です。 実際、靴を履かずに起伏のある山野を歩く時には、 若干つま先立ちで、飛び跳ねる様に移動するのは自然な事だと思うのですが。 (剣道のすり足はこういった動きだと思います)
「すり足」は比較的新しい動きという説も在る様に、 この動作は、平坦な、例えば畳や板の上での動作に思えますし、 日舞や能は、土の上で舞う物では無い様です。 そのアイヌの踊りに跳躍やひねりが多いのは、その踊りがそれだけ土臭い踊りという事だと思います。
2005年09月10日 (土) 03時20分
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訂正 |
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From:木蘭
>(剣道のすり足はこういった動きだと思います)
やっぱり違いますね・・・。 かかとを浮かせて前後に移動しますが。 しかも踏み込む時にかかとから着地する様ですし。 かかとサポーターを売っているという事は。
2005年09月10日 (土) 03時25分
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さすがですね |
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From:谷照之
木蘭さん、あなたは何度も言うように、学会に入ってきちんと研究されてはいかがですか? マスターベーションのほうが気持ちが好いと言う意見も良く分かりますが……。
>すり足
武術においては、仰る通りまさに道場武術そのものだと思います。 日舞、能も同じでしょう。 現代剣道は少し違う気がします。
>ナンバ歩き
この言葉も、ずいぶん汚れてきましたね。最初は新鮮でしたが。 このHPにも書いておりますが、この歩き方を初めて知ったのは、十数年前の「日経新聞」の文化欄でした。日本人の歩き方となっており、「ナンバ」という言葉はありませんでした。 同じ記事で、日本人で最初に「散歩」をしたのは、明治時代で勝海舟であると出ていました。明治以前には「散歩」という概念が無かったそうです。
話は変わりますが、日本人の古い習慣と呼ばれている多くのものが、実は明治時代のキリスト教文明の影響であるのは枚挙の暇もありません。長くなるのでやめます。
あろま様、武道上達の方法を一つ。 バカになることです。最初の三年間はバカになって師範の言うとおりにすることです。 自分の頭で考えてはいけません。 自分で考えるのは、迷いです。迷う段階まで行かずに迷うと、進歩が止まってしまいます。 絵画においてはどうですか? 案外同じことが言えるのでは?
2005年09月10日 (土) 11時42分
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深いですね^ ^ |
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From:あろま
谷先生、木蘭先生、興味深いご返事を有難うございます^ ^
> 跳躍やひねりは、古武道の中にも盛んに出てきますし。
跳躍で有名な古武術の1つに、「香取神道流」がありますね。 香取流には、伝統的に忍者学があるそうですが、時代劇で、忍者が高塀や屋根に跳び上がるシーンに、「誇張だろう」と思っておりましたが、某サイトにて、昭和30年代に写された、相手の頭位の高さまで跳んでいる武道家の写真を見て、案外真実かも…と思う様になりました。 実際、かつて本当に屋根までジャンプする武道家がいた、…という事を、ある武術研究本にて読んだ事がありますし。
> 例えば『魏志倭人伝』(だったかな?)の中で、日本人(おそらく西日本人でしょう)が蛙の様に飛び跳ねて歩く様が描かれています。 当時の中国人には、非常に奇異に映る歩き方をしていたのでしょう。
もしかしたら、日本の伝統的身体法と言われているものの多くは、中国が発祥なのかもしれませんね。ただ、
> 日本人の古い習慣と呼ばれている多くのものが、実は明治時代のキリスト教文明の影響であるのは枚挙の暇もありません。
…とのお話は、非常に気になる所ではありますが…。
「足半」のお話、以前流行った「ダイエットサンダル」を思い出してしまいました^ ^ もっとも、昔の人達は、痩せる為に足半を履いた訳では当然無いでしょうが…。 しかし、昔から「草履や下駄は、少し踵がはみ出す大きさが丁度いい」と言われているのは、なぜなのでしょう???
因みに。 私は、頭以上に、体の方が馬鹿でゴザイマス。 東洋式どころか、西洋式身体法さえマトモに出来なかった私の体は、師匠の言う通りにやりたくても、勝手に我流的な動きをしてくれるのでゴザイマス。 ああ…。これでは立派な忍者になれない…??? T T
2005年09月10日 (土) 16時06分
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追伸 |
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From:あろま
谷先生、 > 絵画においてはどうですか? 案外同じことが言えるのでは?
如何にもその通りでゴザイマス。 そうして考えますと、あの武蔵どのが、美術にも秀でていたのは、当然の事と言えるのかもしれませんね。 もっとも、私の場合、絵に関しましては、殆ど我流で来てしまったのですが…。
香取流と鹿島流の奥義を極めたと言われる夢想権之助大先生(一説には「鹿島流のみ」という話もある様ですが…)、それ程の履歴と、186cmもある巨体と常人ならぬ気迫、その上、もしそんなのに、目の前で屋根の高さまでジャンプされたとなると、対戦相手は、それだけでもビビって飛んで逃げたくなったのではないでしょうか。 武蔵殿に敗れるまでは、連戦連勝を誇っていた夢想先生。それまでの試合の多くは、「迫力勝ち」という面も当然強かったのでしょう…。
いやぁ…。私も、その位の迫力が持てるようになってみたいものです…って、男性が寄り付かなくなったりして…;;><
2005年09月10日 (土) 16時43分
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さっき飲んだ紹興酒が頭に来ていて・・・ |
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From:木蘭
痛たた。
それはそうと谷先生には大変高く評価して頂き感謝感激雨霰で御座いますが、 私の文章は、大学の卒論レベルだと思っております。 (しかも指導教官には孫引きとしかられそうだし) それに私は好事家なんです。 アマチュア、ディレッタント、マニアで御座います。 好きな事を己の心の豊かさの為に励む人種です。それ以上はちょっと。 ・・・ってか通史が弱いし、英語が出来ないから大学院は無理で御座います。 漢文も読みたくないしなぁ・・・現代語訳が無い物は嫌々原典に当たったりはしますが。 (あ、途中で放りだしている史料が在った事を思い出しました)
私、文化の豊かさというのは、すそ野の広さと厚みだと思っております。 いくら優秀なインテリゲンチャがいても、衆愚政治になったらおしまいというのと同じで。 ですからマニアであるというのは、とても大切な事であると思います。 日本のマニアの質の悪さは、大変な物だと思っています。ろくな者がいない。 彼らはマニアではなく、ただのオタクなのでしょう。 マニアは生産者であるが、オタクはただの消費者であると評したのは、音楽評論家の伊藤正則でしたが。 決して、業界のトップに成る気がなくても、日々杖を振るのと同じだと思います。 トップの欺瞞を明らかにするのもマニアだと思っていますから。 なんちゃって。
2005年09月11日 (日) 01時03分
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>あろま様 |
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From:木蘭
いや私は先生では・・・。
>もしかしたら、日本の伝統的身体法と言われているものの多くは、中国が発祥なのかもしれませんね。
土着の身体動作もあるでしょうが、多くはそうである様に思います。 古武道の源流をたどると、中国に行き着く事も多い気がします。 これは身体動作に限らず、好き嫌いは別として 日本は結局は中華思想と中華文化の枠内で生きてきたのですから当然といえるでしょう。 無論、自分たちなりの消化をしている訳でしょうが。
>しかし、昔から「草履や下駄は、少し踵がはみ出す大きさが丁度いい」と言われているのは、なぜなのでしょう???
なぜでしょうね? 身体動作の視点から見ると、かかとがはみ出しても問題なく歩けるという点が興味深いと思います。 靴だと、こうはいきませんから。 ダイエットシューズになってしまう。
2005年09月11日 (日) 01時17分
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ダイエット・・・ |
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From:あろま
木蘭先生(あえて「先生」と呼ばせて下さい^ ^)、再び興味深いレスポンス、ありがとうございます。
よくある事ではありますが、某民放TVにてダイエット特集をやっておりますのを、私は世の女性のご多分に漏れず、興味津々で見ておりました。 その結果感じたのは、「やはり、ダイエットに一番効くのはスパルタ式。ぬるいやり方だと、それなりの効果しか出ない」…という事でした。 「ぬるく楽しい方が、結局長く続けられるし、リバウンドもしにくい」とは申しますが、それはさておき…。
スパルタと申しましても、TVでやっておりました食事の量は、ごく一般的と申しますか、まぁ、私が普段食べる量とさして変わりは無く、にも拘らず、私が全然痩せられないのは、やはり運動量が絶対的に少ないのだ…という事を思い知らされた次第でした。
さて、夢想権之助様の物語りを書くに当り、私は段々、「彼がたどった武術の道を、自らも追体験してみなくては、本当の彼の作品は書けないのではないか…」という思いに至って参りました。 でないと、作品表現として、頓珍漢なものになってしまうのではないかと…。 勿論、文武両道に秀でた(香取・鹿島には、元来膨大な学問の修行もあったようで…)、大天才の権之助大先生になど、アートと文学以外には才能らしきモノなど無い上、激烈運動音痴たる私など、いくら頑張った所で、到底及ぶべくも無いでしょうが…。
しかし、権之助先生張りの努力を続ければ、私はきっと、一年後には素晴しいモデル体形になれるに違いありません。 いやまてよ…。確か古武術においては、丹田が出来て、「お腹ポッコリ」なのが理想体型…だったはず… うわぁぁ〜〜〜っっ!!! そんなの嫌だあぁ〜〜〜っっっ!!! ;;゜口゜/
なかなかままならぬ「くわ」「ナンバ」「すり足」てんこ盛りな太極拳の基礎歩行を、私は愛と憎しみを込めて、密かに「泥棒歩きの稽古」などと呼んでおります。 谷先生、木蘭先生、くれぐれも深酒にはお気をつけ頂きますよう…。
2005年09月11日 (日) 23時34分
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