【広告】AMAZONからG.W.に向けてスマイルセール!4月22日まで開催

小説掲示板

荒らさないでください。
暴言や宣伝等はご遠慮願います。
発見した場合は削除させていただきます。
感想、応援等は、スレッドを立ててください。
注:荒らした時管理人の機嫌が悪いと2chにホストばらまいたりとか。
色々危険なので。注意してください。
荒らさない方が身のためです。冗談抜きで。

ホームページへ戻る

Name
Mail  (optional)
Subject
Message
Homepage  (optional)
DeletKey  (optional) Cookie


こちらの関連記事へ返信する場合は上のフォームに書いてください。

世界復興!
kimi
<div align="center"><strong>世界復興</strong></div>


〜序章 世界復興〜

時はTENG世紀218810年。世界は混沌の渦の中に巻き込まれていた。混沌の渦の中だと、人は争うことでしか快感、喜びを得られなくなる。そして、その禁断の喜びを知ってしまった人たちは、快感を、喜びを捨てられなくなってしまう。だから人は争いを止めない。むしろ積極的に争い、しいては、戦争をも平気で出来てしまう。そして、混沌の渦の中では、人は■ない。殺す方法はただ一つ。それは「アルタ ベガ」の呪文。自分が生きるチカラ、すなわち「存在の力」を込めて使う呪文。「存在の力」とは、自らがこの世界、テンキーミワールドに生きる為のチカラ。この「存在の力」がなくなると人は、何らかの理由で■んでしまう。それは例えば、事故だったり、病気だったり。だが「存在の力」が、突然変異で回復する人も出てくる。これを人は、「世界を目指すもの」という。だが逆に「存在の力」をある指定した物体から無くす事が出来る呪文がある。それが、「アルタ ベガ」である。あまりこれは上級呪文ではない。いや、むしろ下級呪文と言ってもいいほどだ。が、一番危険な呪文の部類に入る。なぜなら、失敗したら術者は■んでしまうからだ。そんな世界で天狗もまた「世界を目指すもの」だった。「世界を目指すもの」とは、突然変異てきに産まれることのある人種で、存在の力をを感知でき、また存在の力を回復できる人種の事だ。そして天狗は、世界を混沌の渦から救い出す途中の「旅人」でもあった。混沌の渦から世界を救い出すには15個の玉を見つけ、一箇所に集め封印すればいい・・・・・

〜第1章 初めの玉〜

ズシャア。バキッ。心地よい破壊音が、日が昇ってきたばかりの市街地に響く。その戦闘の最中で一際目立つ奴がいる。そいつは、刃渡りが1メートルぐらいある剣を自由自在に操り敵を屠っていく。
「けっ。雑魚共が。■にたくねえ奴はこの天狗様の前からとっとと失せろ」
だが一向に敵は減らない。天狗は舌打ちをすると滑らかな声で呪文を唱える。
「アルタ ベガ 世界の秩序を ボルケーノドッキュン。」
すると天狗の中心から、不思議な記号がある小さな円と今まで相手をしていた人が、天狗の言葉を借りると雑魚共のいる所から、雑魚共を囲う大きな円が出来上がった。そして
「パニッシュ」
天狗が静かに唱えると天狗の方の円は赤く、雑魚達の円は蒼く輝く。そして一瞬の光の後、雑魚共は消えていた。
「はあ・・・手間かけさせんじゃねえっつうの。ったく。」
さして疲れてない声で天狗は言った。
「さてと。探すとすっかな。これで空振りだったら俺もう立ち直れねえよ・・・」
と言いながらさっき雑魚共がいた場所を懸命に目を凝らしながら探す。間もなくして探していたものが見つかったのか少し下品な歓喜の声をあげる。
「っしゃあ!!やっと、やっと1つ目の『玉』手に入れたぜ。いままで苦労した甲斐があったぜ。くはははははははっ!!」
天狗が手にしていた物は野球ボールを少し小さくしたような玉だった。そしてその玉は、強くはないが、かすかな光が宿っていた。色は深緑だ。
そして、しばらくしてからやっと天狗は動きだした。朝日にむかって。そして、新たな『玉』を手に入れるために。
[3] 2008年01月12日 (土) 18時40分
kimi
幕間 〜日常〜

その日の朝は、天狗の大きなあくびから始まった。そして最近の習慣となっている携帯(携帯といっても普通の携帯ではなく、色々なことが出来る。まあ、物語を読んでいる内に分かってくると思う)で、おみくじをやる。
タラリン。と、芸のない音楽が鳴り今日の運勢を教えてくれる。
「おいおいおいおいおい・・・・・。今日の運勢は『小吉』かよ・・・・最近は『中吉』以上しかでてないっつうのに・・」
と言って、今日も旅を続けるのだった。
[5] 2008年01月12日 (土) 18時42分
kimi
第2章  〜出会い?〜

「ふわぁー。寝みーーー!!!最近の寝不足はなんなんだよ。ったく!殺気がしたと思って起きてみたら、その瞬間消えるし。かといって寝た振りしたら近づいてきて、何か知らないけど、『存在の力』の集中かんじて、飛び起きなきゃまずいし・・・・あーー!ったくもう、誰なんだよ。一日一時間と寝てないっつうのに」
この世の中の不満をすべてかき集めてもたりないような声を出して起きたのは、『世界を目指すもの』である、天狗である。
「ったく、まあいいか。それじゃあはやいとこ次の街でうまい物、食って寝るかぁ。えっと、次の街はどこだっけ?」
 そう言いながら、携帯を使う。
「こっから近い街っと。どこだ?えっと占眼霊杖??????????なんて読むんだ?」
と、何処からか笑い声とともに答えが返ってきた。
「『せんがんれいじょう』」
「『せんがんれいじょう』かぁ。ん?今の誰だ?まあいいか?ってよくないっ!出て来い!」
そう言って殺気を出しながら剣を引き抜く天狗。そして相手の出方を待つ。待つより攻撃した方が良いのでは?と言う意見もあるだろうが、相手の戦力も実力も分からずに切り込んで,
死ぬことはない。第一、居場所が分からないのに攻撃は出来ない。すると、さっきの謎の声がやはり苦笑まじりに答えてきた。
「やめておけ。愚かな人間よ。たかが人間風情で、我に勝とうとしても無駄だ。まあ、自殺希望者なら別だが?」
「っく。なんだと!!!!」
今度はあきれた声で謎の声が聞く。
「悪いのはアタマ?それとも・・・・」
謎の声を遮るように天狗は怒鳴る。
「うるさいっ!!!」
さらにあきれた声で謎の声は聞く。
「はぁ・・・・まぁ、いいわ。またね。人間君」
そう言い残して、とっととさっていく謎の声。
「っち。逃げたか。まあいいや。とっとと、占眼霊杖とやらにいってうまい飯でも食うかな」
そう言いながら自在式を考える。ここだけを見れば天才的だ。だが・・・・
「よーし。自在法完成。後は・・・・展開!発動!」
天狗の周りに深緑色の自在式が展開、発動する。そして、だんだん深緑色の光が濃くなっていく。そして・・・光が収まった時、天狗はさっきと変わらない所に立っていた。
「あり?っかしいなぁ。自在法で占眼霊杖まで移動しようと思ったのに・・・さっきと違うとこっていえば、服とかが、綺麗になってるとこぐらいか」
そうなのだ。さっきまでズタボロだった服は新しいものになっているし、体も清潔そのものなのだ。
「うーむ。まあいいか。この自在式使えるし。メモっとこ」
と言って、携帯を使って自在式を書き取る。ただ・・・・写真をとる機能が壊れていて、自分で絵を書きながらという、何ともしょぼい事なのだが・・・
「って占眼霊杖に行くつもりだったんだっけ・・・まあいいや。歩いていくかぁ」
そう言ってとっとと自在法を使うのをやめる。そして、仕方なく歩いていく。
「ちぇっ・・・・一人で歩くのつまんねぇ・・・こういう時だけは連れがいた方が良いなぁって心底思うんだよな」
そうぼやきながら歩く。全てが夜の支配を受ける占眼霊杖へと・・・
[6] 2008年01月12日 (土) 18時43分
kimi
第三章〜占眼霊杖〜

「ひえぇっ!!!」
かんだかい声が、宿に響きわたる。ここは、占眼霊杖の宿の一つ『ホエール・ボーン』という、少し洒落た宿だ。
「あぁ?なんだ。あんた、宿の主人じゃねぇか」
「『あぁ?なんだ。あんた、宿の主人じゃねぇか』じゃないですよぉ。死ぬかと思ったじゃないですか!」
「んあぁ・・・・悪かった悪かった。んでも、どうした?なんでドアの前でウロチョロしてたんだ?」
いいにくそうに、宿の主人は言う。
「えっ・・・・それはぁ・・・」
しばらく黙る宿の主人。それにしびれを切らした、天狗は思わず怒鳴る。
「あのなぁ、こっちは眠いんだ!はやくしてくれ!」
すると、宿の主人は少し黙り、意を決してしゃべる。
「えっと・・・そのぉ・・・・」
「いいからはやくしろっ!!」
いい加減、焦れてきた天狗は思わず怒鳴った。すると宿の主人は、あわてて答える。
「あっ、はい!えっと、ニカ様がお見えです」
「はぁ?っおい!ニカ様って誰だ?」
「ええっと、この国の大富豪の娘です」
「大富豪だぁ?おいおいおい、そんなやつが俺に何のようだ?」
「それは知りません。ただ、呼んでこいと」
「っち。まぁいい。分かったいくよ」
そういってドアを閉めて、準備をする天狗。そのついでにこれから会う『ニカ様』とやらを自在法で探る。
「自在式、展開!」
天狗の周りに深緑色の直径30p位の円ができる。そして慎重に探る。少しして、天狗は叫んでいた。
「おいおいおいおい。『霊力』もってんじゃねぇか。まじぃ。っおりゃ!」
そう言って自在式を無理矢理キャンセルする。
「あぶねー・・・・バレてねぇだろうな・・・」
そう言いながら仕方なく階段を下りていく天狗。
ガッ、ガッ。これは俺が階段を下りる音だ。ドクっ、ドクっ。これは俺の心音だ。なんたって『霊力』を持ったやつが俺を訪ねてくるなんて・・・最悪だ・・・まぁいい。いくか。
 ガチャ。キイィィ。ドアを開けた俺を待っていたのは、想像と違っていた。特徴は、女、そして、右手の甲の六芒星。そして動きやすそうな服だった。俺は、一瞬ボーッと見つめていたが、すぐに我に返って挨拶をした。
「こんにちは。ニカ様」
すると、ニカ様はにっこり笑って返事をしてくれた。
「こんにちは。天狗さん」
俺は何を話していいか、分からないので黙ったまま一応笑っておいた。するとニカ様は言った。
「時間はありますか?もしよかったら、少し散歩でも一緒にしませんか?」
といってきた。俺は霊力のあるやつと一緒に・・・と一瞬思ったが、どうせ眠気も覚めたし、起きていてもやることがないなと思い直し、すぐに返事をした。
「いいですよ」
するとニカ様は笑って、
「よかった」
といった。俺は宿の主人に
「ちょっと出てくる」
と言い残してニカ様と一緒に外に出た。しばらく黙って進む。
 季節は秋。少し肌寒くなってきた。俺は、コートでも今度買おうかな、などと思考を巡らせていると、ニカ様が言った。
「寒いですね」
俺はとっさに、
「そうですね」
といった。するとニカ様は、我が意を得たり、と笑って、言った。
「お酒はお好きですか?」
「ええ。まぁ」
「よかった。じゃあ、飲みません?今から」
「えっ。今からですか?俺、今金持ってないんですけど・・・・・・」
「大丈夫。私がおごってあげるわ」
「あっ、ありがとうございます」
「ふふふっ。じゃあ、あの店にしません?」
といって、ニカ様が指で指し示したのは、一軒の酒屋だった。天狗は
「いいですよ」
といった。そこで二人はその酒屋に入っていった。
二人はビールを頼んだ。そして、それが運ばれてきて、ニカ様が口を開く。
「くぅーっ。おいしいですね。この黒ビール」
「そうですね。あぁ、それと、俺に敬語は使わなくていいですよ」
「それはお互い様という物ですわ」
「えっ・・・そうですか?」
頭をかきながら天狗は言う。
「ええ。そうですわ」
「じゃあ、そういうことで」
「ええ。そういうことで」
「じゃあ、質問していいか?」
天狗がそう質問したとき空気が一瞬張り詰めた。そして、ニカは言う。
「もちろん。いいわよ?」
もう、空気が張り詰めた感じはしないが、それでも、なぜか恐怖という物を天狗は抱く。
「えっと・・・、俺に用があったんでしょ?なんです?用ってのは」
なぜか天狗の手は、腰の剣に伸びていた。それにはニカは、気づかないふりをして言う。
「そろそろ、宿に戻ったほうがいいんじゃない?そのときに話しますから」
「んあぁ。いいぜ」
そして勘定をニカが払って外に出る二人。外に出てみるとなんと雪が降っていた。天狗は、やっぱ、寒いなぁなんて思っていると、先に歩き出していたニカは言う。
「どうしたの〜?そのまんま立ってると後で雪の中から掘り出さないといけなくなっちゃうんだけど・・・」
と、いいながら、笑っていた。その声で、我に返った天狗は
「んあぁ、わりぃ、わりぃ」
といってニカの隣を歩き始めた。少し歩いた後、ニカは自分から話し始めようとした。だが、話そうとした瞬間、天狗が歩きながら半分寝ている姿を見て、やめた。そして、天狗を宿に送っていって、ベッドに寝かせて置き手紙を残して、屋敷に帰っていった。
結局、天狗は酒によって二日間寝っぱなしだった・・・・
[7] 2008年01月12日 (土) 18時47分
kimi
第4章〜地下〜

チュンチュン。その日は珍しく天狗は珍しく鳥のさえずりで、目を覚ました。そして、時間を確認しようと、携帯に手を伸ばす。その時だった。明らかに、自分のものではない紙、どちらかというと女子などが好きこのみそうな紙だ。天狗は首をかしげる。
「あぁ?なんでこんな物があんだ?っていうか、何だコレ」
そう言いながら天狗はその紙を開こうとした。その時だった。ガタッ、その後、すごい揺れだった。
「うわっ。おいおいおいおいおい・・・・地震かぁ?・・・ったく」
まぁいい。と天狗は開き直る。そしてさっきの紙を開こうとしたその時!またまたジャマが入った。ドタドタドタドタ!誰かが廊下を走ってくる。そして、ドカーン!
「うわっ何なんだ。ったく」
やった張本人はなんと宿の主人だった。天狗は少しキレた声でいう。
「何なんだよ!あぁ?」
「えっと、その、なんて言うか・・・」
宿の主人があたふたしていると天狗はついに切れて、怒鳴る。
「あのなぁ・・・・!」
と先を続けようとした時だった。その言葉で、宿の主人の喉に引っかかった言葉が出てきた。
「えっとですね・・・。なんと、この宿の入り口のところに、さっきの大地震のせいで、でっかい穴ができて、その中から変なうなり声が聞こえて・・・・」
「っなに!まじ!おいおいおいおいおい。天は俺に味方してるぞ」
後の半分は宿の主人に向けた言葉ではなく、興奮のあまり、口走ってしまった心の声だった。天狗は宿の主人に言う。
「今すぐ、その穴封じろ。そんくらいできんだろ?後、封じたら俺に携帯食料一日分でいいから売ってくれ。金は・・・・コレでいいだろ?だからウダウダ言わねーでサッサとやってくれ」
そう言って天狗が宿の主人に押しつけたのは、三カラットほどのルビーだった。
「あっ、はっはい!」
そういってキビキビ動き始めた。といっても、人間にしては、だ。『世界を目指すもの』の天狗からみると、とても遅いように見える。だが、そんなことは言ってられない。急いでシャツを着、鎧を着ける。そして、剣を抜き、刃こぼれしていないか確かめる。そして、刃こぼれしているところを見つけると、自在法で直していく。そうこうしているうちに、宿の主人のほうは準備を終えていた。
「あっ、あのぉ、準備できましたけどぉ・・・」
「んあぁ・・・よしっ。できた。携帯食料くれ」
「えっ・・・あっ、はい」
「よーし。ちょっくら、行ってくる。部屋、とっといてくれよ?」
「あっ。はっ、はい!」
「よしっ。さんきゅー」
そう言い残して天狗は凄いスピードで階段を下りて、主人が『封印』してくれた穴へ向かう。
「おいおいおいおいおい・・・・・なんだぁ?この乱雑過ぎる『封印』とやらは・・・・」
その『封印』とは、ただ店のいらない物を積み重ねた物に、ごく微量の霊力を持っていたら簡単にはがせる代物であろう札、いわゆる『魔除けの札』が張ってあった物である。
「はぁ・・・・自分でやりゃよかったかな・・・・?」
そう言いつつ、無造作に『魔除けの札』をはがす。そして少し思案した後・・・
「っち。封印って結構ムズいな・・・・しょうがない。えっと、なんかあったっけ?」
そう言って携帯をみて、自在式を探す。アレも駄目・・・コレも駄目・・・そうこう探しているうちに、天狗は『禁呪』のところまで、みていた。
「あんま、使いたくないけど『禁呪』使ってみるかな・・・・こんなこと、師匠に知られてたら、おっそろしーことになったろーなぁ・・・・・・」
そう言いながら呪文を唱えつつ、『自在法』を立ち上げる。
「アリッシュ!ベガイント、セカンドセイントイン!パニッシュ!!」
ゴッ!!天狗が呪文を唱え終わった瞬間、天狗が、黒いモヤに包まれた。それとほぼ同時に、天狗の立ち上げた『自在法』が、白く発光する。
 
『禁呪』とは、テンキーミワールドが生まれてまもなく神が作ったとされる術である。あまりに強大なため神でさえ恐れ封じたとされる術である。人間が使うと、というか、普通、人間では使えない。それを可能としているのは、天狗が特別変異である『世界を目指すもの』であるということと、天狗がやたらと、好奇心で、アブナい、もしかしたら、自分が死んでしまいそうな術を幼いときから、たぶん10歳のころから平気で使っていたからであろう。

 やっと天狗の、『禁呪』の詠唱の第一弾が終わる。この『呪術』は複合術といって、普通の『呪術』と元は同じだが、ここからは天狗オリジナルである。
「セレクト・オブ・アクレッティブセブン!!」
ヴン。『自在法』の発光が収まり、黒いモヤが穴の周りにまとわりついた。天狗は、その時宿の主人がこっちをみている。
「あぁ、宿の主人か。ここ誰もいれさせんじゃねぇぞ。入ったらどうなっても知らねぇからな」
そう言い残して、黒いモヤ――穴の中に入っていく天狗の姿が外から見えなくなると、黒いモヤが凝縮され、穴をふさいだ。宿の主人はつぶやいていた。
「すげぇ・・・・・・・」
 
 暗い・・・・すべての物を包み込んでしまいそうな暗さだ。俺は思った。怖い・・・暗い・・・いくらくらいからといったってコレは・・・なんて思って、思い出した。
「そうだだった・・・俺が『禁呪』使ったんだっけ・・・・・・・・はぁ・・・やっぱ――」
その先を言おうとして、止める。そして、
「アグレッシモ・テュエルズ・フォーメン」
すると、天狗の頭の上らへんに、小さな、でも、とても光る光の玉が出来る。
「よしっ。出来た。これでいいな。よし、進むか」
そして進む。暗闇の奥へと。
[9] 2008年01月12日 (土) 18時49分
kimi
第5章〜ニカ出陣〜

ニカは、天狗の携帯の近くに置いた、置き手紙の返事を聞きに来ていた。だが、天狗の泊まっている宿、『ホエール・ボーン』に向かっていた時、変な『存在の力』の放出を感じた。そしてそれが、天狗の『存在の力』だと知ると、駆け足で、『ホエール・ボーン』に向かった。
「きゃっ!なに?この『存在の力』は」
誰に尋ねるのでもなく、『ホエール・ボーン』についてから、天狗の封じた穴を見ていった。すると意外なところから、答えといえるのか分からないものが返ってきた。
「あっ。ニカ様。ここは立ち入り禁止でございます」
「えっ?なんで?」
ニカの素の疑問に、宿の主人は、びっくりしながら答えた。
「あの、黒いモヤみたいなのが見えないんですか?」
「えっ?黒いモヤ?」
「そうでございます」
「見えないんだけれど・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そうですか?そこにたくさん固まって、すっごいどす黒い固まりに見えますよ?」
「うーーん・・・・・・・・・・確かに天狗の『存在の力』はその穴から感じるんだけど・・・・しょうがない。返事も聞かなきゃいけないし・・・・こうなったら、強行突破で行くことにしたわ」
「えっ?」
「どいてないと、アブナイめにあうわよ?」
「あっ。はっはい!」
「我、今ここに、冥界の覇者を呼びださん。秩序をみだし、我のジャマをするものを消し去れ!!」
ニカがそう言うと空間に白いゆがみが出来た。そして、そこから異空間の風が出てきた。その瞬間、天狗が作った『黒いモヤ』と異空間から来た風がぶつかり合う!だが、すぐに風が、『黒いモヤ』に全て吸い込まれる。
「えぇっ!!まさかっ!この世に存在しない物を吸い取った!まさかっ。これは何だというの・・・・」
いつ近づいてきたのか、また宿の主人は言う。
「なんか、天狗さんは、この『黒いモヤ』のことを『禁呪』って呼んでましたけど・・・」
「『禁呪』!?まさか・・・・あれは・・・・でも・・・しょうがないわね。こうなったら、こっちも最終手段といこうじゃぁないの。」
「っさっ最終手段?お願いしますが、宿に」
宿の主人の言葉を遮ってニカは呪文を唱える。
「世界の始まるころに我はあり。世界の終わるところに我はあり。世界を全て矛盾と化せ!」
ニカの呪文が発動すると、ニカの手に『白いモヤ』が生まれた。ニカはさらに呪文を唱える。
「我、今ここに、冥界の覇者を呼びださん。秩序をみだし、我のジャマをするものを消し去れ!!」
またもや、空間に白いゆがみが出来る!!そして異空間の風が出てきて、『黒いモヤ』とぶつかり合う。だが、天狗の作った『黒いモヤ』は異空間の風を消す。だが、同時に『黒いモヤ』のほうも、異変が起きていた。
「これね。『黒いモヤ』は。確かに、『禁呪』ね。だけど・・・」
そういってさっきの『白いモヤ』を放つ。ニカの白いモヤは天狗の『黒いモヤ』へと突き進む。そして、『白いモヤ』が『黒いモヤ』に当たる瞬間!ニカは叫んだ。
「ブレイク!!」
すると、『黒いモヤ』が急に震えはじめ、そこにニカの作り出した、『白いモヤ』が当たる!すると、なんと、『黒いモヤ』がはじけ飛び、それに続くように、ニカの作った、『白いモヤ』も虚空に消えていった。

 原理はこうである。ニカは、『黒いモヤ』に自分の作った『白いモヤ』が吸い込まれたのを見て、推測を立てた。きっと自分の作った『白いモヤ』はきっと『黒いモヤ』を維持するのに使っているのであろう。という仮説である。なら『黒いモヤ』と自分は一時的にでも、つながっていることになるので、そこで、自分とのつながりを強化するために、もう一発、異空間の風をぶっ放したのである。さらに、それだけでは意味がないので、もう一発。次は、秩序を乱す呪文である。さらに、『黒いモヤ』をコントロールして、異空間の風を維持に使わせないようにして、さらに、内部爆発的に異空間の風を爆発させたのだった。そこに秩序を乱す呪文を当てたため、自然消滅という形で消え去ったのである。

 宿の主人は、驚きの連発でぎっくり腰になってしまい、今は近くに椅子を持ってこさせ、そこに座って見学している。ニカはというと厨房で食材を買ってきて急いで料理をしている。その料理が出来ると弁当箱に手早く詰め、それを腰のポーチに入れ、バンダナをしめさっきまで『黒いモヤ』が、行く手を阻んでいた穴の前に立つ。
「暗いわね・・・・・暗いのどっちかって言うと暗いのは、ニガテなんだけどなぁ・・・・まぁ、こんなこと言っても仕方ない。天狗の助けにでも行きますか。死なれちゃこっちも困ることだしねっ」
そう言ってニカも穴にはいる。暗闇へと戦いに。

第六章〜全ての闇〜

「くーっ。自在法で照らしていても暗いとか、ありえねぇ・・・・」
光量が、少ないながらもしっかりと十数メートル先は見通せるような明かりが、あたりの暗闇を必死に追い返している。
「っち。もう、『存在の力』回復するまで、敵とは戦えねぇな・・・・・」
天狗の場合の回復の仕方は、零時に回復する。

 『世界を目指す者』にも色々な『存在の力』の回復方法がある。例えば、少しずつだが、ずっと回復し続けるタイプ。いっきに決められた時間に全回復するタイプ。一日に数回、自分の好きな時間に、半回復するタイプ。回復の幅は数え切れないほどあるが、一つだけ同じ事がある。いわば、『お約束』というやつだ。コレを守っていれば、回復できるが守らないと、その先何ヶ月かは『存在の力』の回復が出来なくなってしまう。まぁ、この危機的状況を看破できる、回復呪文があったと伝承では伝えられているが、定かではない。『お約束』も、人それぞれだが、回復のタイプによって、パターン化している。一例を挙げると、回復中は動かない。などだ。

 「あぁー!!時計持ってきてねぇ・・・・・最悪だ。今何時だろう・・・・・」
天狗の『お約束』は、零時になったら、『存在の力』を使った行動をしない。と言うものである。
「くそっ・・・・コレじゃぁ時間わかんねぇじゃん。こうなったら・・・・」
と言いつつ携帯を探す。携帯の時計を見よう、と言うのだ。だが、けいたいを見た瞬間、天狗は叫んでいた
「くっそおおおおおおぉぉおぉぉぉぉぉ!!!!!!何でっ・・・・・・・・何で・・・・こんな時に限って、バッテリー切れてんだよ・・・・・・」
しょうがない。と天狗は開き直る。
「ないなら、ないなりにやりゃぁいいんだよ。えっと『存在の力』はまだあるな」
そう言いながら、いつもなら『存在の力』を濃くして使うが、今回は節約するために、それをしない。そして・・・
「自在式・・・展開!発動!!」
天狗の言葉に、反応して、自在式が深緑に輝く。そして輝きが消えた後、それは、一つの腕時計になっていた。
「えっと、今は・・・・十一時・・・・三十五分。あと二十五分だな・・・・よし」
天狗がそう言うと、天狗が作った、時計がかき消える。後には何も残らない。ふぅ、と天狗は、ため息をつく。
「やっぱ無いものを無理矢理でもこっちに出すのはきつかったか・・・・・もう、動けねぇ・・・休むか・・・・」
そう言って自在法の明かりを消す。それまで必死にそれが追い返していた闇が一瞬にして辺りを支配する。その暗闇の中で天狗は浅い眠りについた・・・・・・。

 第七章 〜暗闇の姫〜

「ふぅっ・・・疲れたわぁー・・・まったく、天狗ったらこんな洞窟に何の用があるのかしら?」
心底疲れ切った声で愚痴をこぼすのはニカであった。ニカは今、天狗との距離を半分まで縮めていた。だが・・・
「あぁーっ。もうダメ少し休もうかなぁ・・・」
そんな弱音を吐いたときだった。奥から天狗の叫び声が聞こえた。
「くっそおおおおおおぉ」
それは、ずいぶんと小さい音であったが洞窟の中では、よく響く。ニカはあわてて天狗の声のしたほうに、駆けだした。だが、ニカの足は、限界だった。数十メートルを走ったところで、派手な音を立てて転んでしまった。
「いったーいっ!もう走れないわ・・・どうしよう・・・・・」
対策を考えていたニカが今更ながらに思いついた。
「あたし馬鹿じゃない?何でこんな疲れるまで歩いてるのかしら・・・・あたし自分が『霊力』もってんの忘れてたわ・・・・」
そう言いながら考える。天狗と違い、この辺はしっかりしているニカは一発で使えそうな呪文を思い出す。そして、詠唱をして、幽霊馬を呼び出す。幽霊馬といってもアンデット系ではない。呼び出した術者の思念によって、この世界に呼び出された馬である。ニカは素早く、裸馬に乗ると天狗の声がしたほうに駆けて行った。
[10] 2008年01月12日 (土) 18時50分
kimi
第八章 〜暗闇の中の回想〜

天狗は暗闇にいた。何一つ存在しない暗闇。その暗闇に天狗は一人で浮かんでいる。そして、暗闇から、一筋の光が生まれる。そこから光が漏れだしていき、十分に辺りが伺える状態になる。
「うわあぁあぁぁっ!やっ・・・やめろっ!こんなものをみせるなあぁぁぁぁっ!」
天狗の壮絶な悲鳴が響く。そこは小綺麗などこかの部屋のようだった。そこには、もう一人の天狗――かなり若い十歳ぐらいだろうか?と、知らない二十歳ぐらいの女が一人立っていた。
「うわああぁあぁぁ!!!こんな過去は見せるなぁ!」
天狗は半分イカレた人のように叫んでいる。だがそんな天狗の気持ちにも関わらず過去は進んでいく。
「こんにちは。師匠」
過去の天狗は言う。すると、師匠とよばれた女は容姿と似合いすんだ声を出す。
「あらっ?早いですわね?天狗」
「ははははは・・・ちょっと調べ物をしてまして」
意外そうな声を出して師匠は問う。
「あなたが?調べ物を?珍しい事もありますね。で、なにを調べていたの?」
「世界の始まりです」
「そう・・・」
その話を天狗は切り上げて言う。
「師匠!今日の『火繰りの行』をちょっと変えて欲しいんですが・・・・」
「えっ?変える?何を?」
「俺、いえ、自分の作った『自在式』の中でやらせて欲しいんですけど・・・・・」
「いいけど・・・・その上に私の『封断』を張りますよ?」
師匠はそう言いつつ少し疑問を覚える。
―――なぜ?最近『自在法』を作りすぎなんじゃぁ・・・・?それより、そんなに早く作れる訳がない。
 そう思ったが表情には出さず少しだけ探りを入れてみる。
「天狗。あなた最近『自在法』作るの早くなったわね?」
「えっ?そうですか?まぁ、でも作る。っていっても前からあるのを少しだけ変えたたりする程度ですから・・・・」
「あぁ、ナルホド。で、いつの頃の『自在法』を改造しているの?」
師匠が聞くと天狗は少し黙り込んだ。だが恐る恐る言う。
「えっと・・・・世界の始まりぐらい昔の物です」
師匠は少し考えるとただ一言「そう・・・」とだけ言った。
師匠の反応が少し変だった事について眉を少しひそめたが、すぐ話を変える。
「では、オレは『火繰りの行』まで剣術訓練をやっています。『火繰りの行』はいつもの場所でいいんですよね?もし、時間になってもオレが来なかったら、『封断』張ってください。そしたら気づきますから」
そう言って天狗はドアの側に立てかけてあった真剣を手にとって外に出て行った。そして、外に出て行った。
 ガタッ。部屋にはドアの音が寂しく残った。
「まさかね・・・・・・そんなことはないわよね?天狗・・・・・」


 「やあっ!とおっ!」
天狗は教えてもらった型の通り剣を振るっている。体が適度に火照ってくると次は――
「えーっと。俺はこういう機械いじるのニガテなんだよね・・・・」
そう言いながらなにやら人型の機械をいじる。そしてしばらくするとその人型の目に光が灯る。そして腰に差してあった木刀を抜く。そして天狗から飛びずさる。そして、もう片方の腰に差してあった木刀を手に取り天狗のほうに放り投げる。木刀はそのまま回転し天狗の一メートル位さきの地面に突き刺さった。天狗は自分の剣を腰に差す。そして地面に刺さった木刀を抜き、剣の重さを確かめるように少し振る。そして相手の正面に立ち中段構えに剣をもっていく。それを見た人型の機械も中段構えをとる。
「『封断』」
天狗がそう言うと十五メートルくらいのドームができ、辺りの音が聞こえなくなる。

『封断』とは。いわば別世界を作る『自在法』である。別世界と言っても、ただ、混沌の渦の力を借りてそこだけ現実の世界の世界をずらして現実の世界と干渉させないようにする『自在法』である。だから現実の世界との干渉がない。現実の世界からはそこがないと認識され、必然的にそこを避けて通る。そして別世界は『封断』を解くと元の世界につながる。だがその場合『封断』を張った世界の中が破損しているとそのまま現実の世界にも持ち込まれてしまう。
 例えば、『封断』を張った中に人がいたとしよう。激しい戦闘のさなかで、たまたま流れ弾みたいなもので致死量のケガを負ったとしよう。そのまま『封断』を解くとそのまま現実の世界に繋がる。そうするとケガはそのまま残る。それを回避するためには『存在の力』がいる。『存在の力』で『封断』の中を修復する。ちなみに『封断』の中は『存在の力』などの、力を操れるもの以外は動けない。

「よーし。来いっ!!!」
それを聞いた人型の機械が地面を蹴る!それを見た天狗もまた地面を蹴り機械に向かう!
ズガガガガガガガガガッ!!!木と木がぶつかり合った音とは思えない音が出る
「ちっ!」
天狗は軽く舌打ちをすると剣先をわずかに下げる。それまで動かなかった機械の剣先がものすごい勢いで天狗めがけて落ちてくる。だが――
「お見通しなんだよっ!」
そう言うとともに天狗は飛び離れる。勢い余って機械はたたらを踏む。その一瞬で十分だった。
「いっけーぇっ!!」
天狗はそう言いながら剣を突き出す。だが機械は恐るべき反応を見せて寸前で一歩下がって剣を払う。その動作の続きで逆に天狗に向けて突き出す。悪態をつきながら頭を下げてこれをやり過ごす。勢い余ってたたらを踏む機械。そこにたたきつけるような勢いで袈裟斬りをする天狗! 
だが読まれていた。 天狗の攻撃をいなしながら逆に斬りかかってくる。
「くらえっ!!!」
天狗はそれより先に切った動作を反対にしてかかる。逆袈裟斬りだ。
ガキャァァ!機械の木刀は宙を舞い遠くの地面に突き刺さった。そして天狗は木刀を機械の首筋に当てる。すると機械の両の目から光が消えて機械が倒れる。
――訓練終了だ。
「ふぅ疲れた・・・・・それにしても何時もよりあいつの反応速度遅かったな・・・・・」
そう言いつつ過去の天狗は一つの答えを導き出した。
――そうだ。最近『メンテナンス』ほったらかして、『自在法』作ってたんだ・・・
 なるほど。と、天狗が納得し、が、これじゃぁ訓練ならねぇ・・・・と思い直し戦闘機械の
『メンテナンス』をする。

メンテナンスと言ってもただ油を挿したりするだけではない。この時代、科学は衰退し古代遺跡から最盛期時代に作られた物を採掘するのみとなっている。が、『存在の力』など人が潜在的に持っている力を使う術はかなり発展している。

 「あー。機械いじんの結構ムズいんだよなぁ・・・」
とかったるそうに手を動かす天狗。が、次の瞬間顔を引き締める。
「!この封断は師匠のだ。まずい早くしないと遅刻だぞ・・・・」
焦りながら天狗は言う。
「あぁーあ。『火繰りの行』までに、あんま消耗したくなかったんだけどな・・・この際、仕方ねぇな。」
天狗は『自在法』を組み立てる。『自在式』の色は白だ。天狗の体から凄い勢いで『存在の力』が出て行く。それまで傍観していた現在の天狗が声を荒げる。
「やめろォォォォ!!やめてくれ!ちッくしょぉ!!」
だが今の天狗は、なすすべがない。
「ダメだ!こんな所でそんなモン使ったら・・・・・」
悲痛の懇願ですら過去の天狗には届かない。そうこうしている内に過去は進んでいく。出来たのは三センチくらいの白いスーパーボールの様な玉だった。
「よぉーし。できたな。多分・・・・・まぁ、いいか。んで、これをどうすんだっけか?確か、ここにコレを入れる穴があったはず何だけど・・・・・・」
ガチャガチャ騒がしい音を立ててながら急ぎつつ戦闘ロボの中を探る。やがて目当て物を見つけたのかいったん手を出す。そして、先ほど出した玉を掴み中に入れる。
「ふーっ。これでよしっ!・・・多分。起動してみるか?」
ポチッ。かわいらしい音がして操作盤を出したままの戦闘ロボが起動した。そして勝手に操作盤を勝手に閉める。
「! まさか!勝手に操作盤を閉めた!?んな馬鹿なっ!!戦闘しかプログラムされてないはずなのに。エラーじゃない・・・・?これは自我を持っているのか?ただの戦闘型ロボットだぞ?っちくしょう!」
どうする?どうする??その考えている間に手の中に真剣を呼ぶ。ギャギャギャギャ!!鉄と鉄とが、摩擦で不協和音を奏でる。
「おいおいおいおい!!!『存在の力』まで操れるってのか?元はどっから・・・・っまさか!んな馬鹿な!!あれは!あの中で動力にコンバートされるはずなのに!」
焦りつつ奴の――戦闘ロボの対処法を頭をフル回転して探す。
「! 簡単じゃん♪もっかいぶっ壊せばいいか?」
天狗は木刀を投げ捨てると真剣を鞘から抜く。キシャアァァァッ。剣を抜くとすぐさま切りかかる天狗!
「はっ!」
小さい、息を整える声を出しつつ切りかかる。訓練中の少し怠けた態度は微塵も感じられない。そうしないと今にも狂いそうになるからだった。しかし敵――戦闘ロボは予想以上に強く、また天狗は実践というものを体験したことがなかった。しかし急に戦闘ロボは制動を掛けるとそのままバックステップで後ろに下がる。直後、天狗はいやな予感がして走り出している。そしてその予感はあたっていた。天狗のいた場所から竜巻が発生する。
「なんだ!?アレ?まさかとは思うけど“タービュランス”か?あんな初級の『自在法』誓ってこんな威力なかったぞ!操る奴の使い方しだいってか?」
口調からするとあまり焦っているように思えないが、かなり焦っている。
「あーっ。もう!最悪だ・・・・」
そういいながら切りかかる。だが相手は天狗が全体重をかけて振り下ろした剣を左手であっさりと防ぎきった。だが、そのまま押していこうというのか天狗は相手の剣から自分の剣を離さず足に力を入れて地面を蹴る。すると唐突に戦闘ロボは右手を横に出し剣を握るような形にする。バリバリバリッ!と音がして、音がやんだときに出できたのはもう一振りの剣だった。天狗はそれを知覚する前に後ろに飛んでいた。直前まで天狗がいた場所を白い剣光がはしる。
「あっぶねぇなあ・・・そんなとこ狙ったらオレが死んじゃうじゃないか!」
いって無駄と知りつつ言ってしまう天狗。
「ちっ!こうならりゃ自棄だ!!」
自分の『存在の力』を高め、突っ込む天狗。無謀に見える特攻。敵もそう思えたのだろう。剣を腰溜めにして一気に突き出す。紙一重でよける天狗。だが、それだけで攻撃は終わらなかった。その突きからさらに一歩踏み出し、さらに突きを繰り出す。だが天狗はある程度予想していたのか、相手の剣のはらに当てて攻撃をいなす。そしてそのままの勢いで反撃に転ずる。下からの切り上げに続き、切り下ろしそして横に縦に、縦横無尽に剣を振るう。だがそれは一つとして当たらない。
「あーっ!もう。オレ、ヘタクソだよ!」
そう言いつつ切り続ける。
――攻撃は最大の防御だろ?
と、自嘲気味に思いつつ。だが幾らやっても掠る事しかない。いいかげん焦れた天狗は自分の『存在の力』を高める。それを練り上げて相手にぶつける。天狗が唯一使える、特技《真空弾》である。だがそれもかわされる。さらにもう一発!と《真空弾》を撃つと今度は剣ではじきとばした!
「どんだけだよ!アイツの技量はっ!」
そう言いつつさらに突きを繰りだすが紙一重で避けられてしまう。
「しまった!背中とられた!」
そう知覚した時には水に飛びこむように、前に飛んでいる。その上を銀色の閃光が薙ぐ。
「あっぶねぇ・・・・マジ死ぬかと思った・・・・・・」
天狗は前に転がって身を起こす。
だが、そのあとのほうが天狗は驚いて腰を抜かしそうになってしまった。
ガチャン。それは――その音が悪夢を告げるベルだった。
「? ん?何の音だ?」
それは小さな聞き逃してしまいそうな音だった。だが神経をいつも以上に高めていた天狗にはそれを聞くことなど造作もないことだった。
その原因を突き止めるまもなくさらに大きな音がなる。
ガチャリ。その音は天狗の耳に無気味に響く。その時だった。さっきまで対峙していた敵がいないのに気が付いたのは。
「あのやろ。どこ行きやがった」
答えなど無いと思っていた。
「ここだ」
声は上から降ってきた。静かだが存在感のあるそして何より深みのある声であった。声は天狗の意思と関係せず口からこぼれた。
「うそ・・・・」
「何が嘘だと言うのだ。我はここに存在し貴様と対話もしている」
「自我を持った・・・・・・・・・・・?」
「そうだ。我を忌々しい楔から解き放ってくれたことに感謝しよう」
「あんた。だれだ?」
呆然としたままの天狗がようやく口にした問いにそいつは答えた。
「我か?我は宇宙であり、人の暗闇の根源だ」
そう言い残し空へと上っていく機械――いや。機械の形をした何かは。
「おいっ!てめぇ、待てよ!戻って来い!逃げんのか!」
そのとき正気に返った天狗の声は虚しく空に響くばかりだった。
「ちっくしょおぉぉおぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
悲痛の叫びは二人の天狗の間でシンクロした。

[11] 2008年01月12日 (土) 18時50分
kimi
第九章〜目覚め〜

「天狗?天狗!起きてっ!起きてってば!」
天狗はその声に叩き起こされるように覚醒した。
「ん・・・・・・」
その声を聞いて今まで揺さぶっていたニカは安堵のため息を漏らす。
「よかったぁ・・・・■んじゃったかと思った・・・・・」
「あのなぁ・・・ココで■んでたまるかってぇの。――ココじゃ■ない。オレはさ・・・」
最後の言葉はニカには届かなかったらしく「えっ?」と聞き返したが、答えなかった。
「さてと」
天狗は何かを振り切るようにこれまでとは違う口調でしゃべる。
「帰れ!救ってくれたことには感謝するけどな・・・てめぇが、ついてっくると邪魔だ!!」
一瞬考えてからニカは答える。
「いいわ。じゃっ、■なないでねー」
薄情に言い切るときびすを返すとゆっくりと、もときた道を帰っていく。その姿が見えなくなると天狗は今まで詰めていた息を吐き出した。
「ふぅ・・・・・ついて来られたらどうしよーかとマジで思ったぜ・・・・やっぱ異能者に怪我させちまうとあとが面倒だからな・・・・」
と自嘲気味に言った。

 そのころニカはと言うと天狗から見えなくなると直ぐに腰のポーチから何かを出し放り出した。それは、床に落ちるとヴンと、小さな駆動音とともに目に光が燈る。そして音もたてずに滑るように動いていった。

第十章〜モンスターという敵〜

天狗は力を確かめる。もう天狗の体内時計では三時間以上たっているが力確かめずに術連発して、消滅。なんてオチにはなりたくない。自分の中を――その奥を見つめる。だが、回復していない。
「おいおいおいおい・・・・・一時間たってねえのか・・・・しゃーねぇ。運とコイツに頼るか」
シャァァッ。小気味いい音が洞窟に響く。出したのは刃渡り一メートル弱の少し小ぶりなロングソードである。軽く振り、重さを確かめるようにする。
「よしっ!」
気合を入れ、進んでいく。少し行ったところに“スライム”という、かなりポピュラーなモンスターがいた。水色の触ったらプルンっとふるえそうな半透明の水滴がたの、低級のモンスターである。
「よぉし!準備体操がわりにぶっ潰してやる!!」
そういって集中力を引き上げる。相手の動きを読み二手先を読む。今回は思考回路というもの自体無い奴なので相手の感情を入れて考える必要が無い。まず天狗は相手を牽制する為に、一歩踏み込んで斬る。だが、さすがに相手も馬鹿じゃないのではねてかわす。そして着地と同時に天狗に向かって体当たりを仕掛けて来る。だがそれも折込済み。バックステップで後ろに飛ぶとついた足で左に飛びそのままの勢いで斬る。ぐしゃぁっ。“スライム”は事切れるが“スライム”の恐ろしいところは、その破片だ。それに触れると麻痺して体が動かなくなる。“スライム”一体だったら、そんなに怖くないが、ほかの奴が潜んでいたりしたらその時間さえ危険だ。天狗は体を捻りそれもかわす。
「よーし。まあこんなもんだろ」
そう評価して辺りを警戒しつつ前進する。暗闇へと。
[12] 2008年01月12日 (土) 18時51分
kimi
第十一章 〜洞窟の主〜

しばらく歩くと赤い薄い光が見えてきた。これこそ今回天狗がこの洞窟に潜った理由である。
「っしゃあぁ!ビンゴ!冴えてんなぁ。最近」
赤い光の方向へ行くとなにやら部屋がありそこから光が漏れていることに気が付いた。そして、声が漏れ聞こえてくるのにも。
「・・・・オマエ・・・・ない・・・・空っぽの・・・・」
「オレ・・・オマエ・・・・望み・・・・・ヤツ・・・覚醒・・・・・殺す・・・」
「なぜ?そこまで・・・・・オマエ・・・・肩入れ・・・・ヤツ・・・殺す」
「ヤツ・・・ダ・・・・覚醒・・・・テレポー・・・・・」
途切れ途切れで聞き取りにくいが一人はピンときた。
「ヤツだ・・・あの時の俺の練習相手だった・・・・あの機械野郎だっ!畜生っ!!」
体が勝手に動き、理性の壁があっさりと打ち破られる。バーン。そう音がしたとき天狗はドアを蹴破って部屋へと突入していた。だが部屋へと突入した天狗は一瞬思考回路がぶっ飛んだ。
部屋の中にあるコンピューターの多さ。部屋にコンピューターなどの機械類が生えているのではないかと思える量である。この時代、こんな量の機械類をお目にかかれるという事はまず、不可能といってもいい。それをこんなに・・・パッとみ、部屋に寄生しているかのように―――部屋からサーバーが生えているかのような異様な光景だった。
「なんだ・・・ここ。まるでムネーメイオン。古代遺産の遺跡かなんかか?」
だが相手は天狗のことなど気にせず話し込んでいる。天狗の知らないほうが戦闘機械に聞く。
「ヤツか?」
すると戦闘機械は、「そうだ」と言い残して体が透けて消えていった。
「! ホログラムか?」
「そうだ。貴様は天狗とか言うのだろう?」
「けっ!人に名前を聞く時はまず自分から名乗るもんだぜ?」
そう言いつつ、冷静になれと自分に言い聞かせる。この時点じゃ『自在法』は間に合わない。剣で隙作って『自在法』ぶっ放すしかない。そう決める。
「生憎、今死ぬヤツに名乗る名など無いわ!」
「へぇ。奇遇だな?俺も貴様なんか不細工な豚に名乗る名など持ち合わせてないんだけど?」
確かに天狗の言う通り、ぽっちゃり系だ。この言葉にキレたのか、相手は、
「はっ!今ここで貴様の無様な姿を曝せ!」
そう言って剣を抜き突っ込んでくる。天狗も剣を抜きながら挑戦的に叫ぶ。
「おいおいおいおい。カルシウム足りてないんじゃないの?牛乳をお勧めするよ?」
そう言いつつ横によけ、足を出しコケさせる。そして相手がコケた所を斬りかかる。だが、相手は空中で一回転して猫のような敏捷さで、着地するとさらに一回転し天狗の攻撃から辛くも逃れる。
「ちぃ!」
その一回の攻撃で相手が相当な手練れだということが分かった。その一回の攻撃でさっきまでの方針を止め様子見をすることにした。『存在の力』を出来るだけ使わず戦うしかない。最悪、赤い『玉』を取って逃走すればいいが、それだと天狗の気がすまない。ということで、逃げるという選択肢は消える。だとすると、まともに殺り合って勝つしかない。最終手段の詠唱しながら戦うということも出来なくないが少し間違えれば死が待っている危険性がある術やそもそも止まらないと撃てない術なんかもある。と言うよりまだ、零時になっていない。『存在の力』が回復していない。ここは『存在の力』の力を使わない剣術、体術で殺し合うしかない。
「っち!一番嫌いな分野しか残ってねぇじゃねえか」
ここは・・・・《真空覇陣》を使うか?
ダッ!天狗はかけていって相手の剣が届かないギリギリのところまで行き剣で空気に円を書く。
「《真空波》!」
その瞬間、真空弾が無数に出てくる。そしてそれは敵に当たる手前でさらに分裂して、襲いかかる。到底避けられないと思ったが相手は驚くべき反射神経でそれを避け、また剣ではじく。《真空波》は一応『存在の力』を使わないので半永久的に撃てる。『剣気』を使って撃っているので一回撃つごとにそれ相応のチャージが必要だが。それに『剣気』と言っても、結局は精神力の一部なので自らの精神エネルギーが高ければ高いほど術か強くなる。
「結局オマエはその程度か?」
相手が言う。
「んだとぉ?」
ブチッ!天狗は簡単に切れた。
「あらあら。こんな挑発で引っかかっちゃうとはねぇ?これから死ぬやつに名乗るまでも無いが、ストルだ!」
「けっ!結局名乗ってんじゃねぇか!」
「テメェを殺すヤツの名ぐらい知っときたいかと思ってな」
「あっそ。俺は天狗だ!!ストイル君?」
「ストルだって言ってんだよ!っつうかテメェの名前なんか興味ねぇよ」
「いやぁー。これからオマエ死ぬし」
そう言ったもののタイミングが合わなかったら全ておじゃんだ。
「早く来いよ!ストル!!」
「粋がってんじゃねぇよ!カスがぁ!」
ダッ!天狗が走りストルが走る。ストルが切りかかってきたところで、斜め上に飛ぶ。
「はっ!」
「馬鹿が!そんなんでかわせるかよ!ボケが!」
そうなのだ。ストルの剣は七〜八十センチ。ストルの身長は目測で1メートル半位。合わせて二メートルと少し。どんだけ頑張ったところでも一,八メートル位が限度である。だが、天狗は気を溜めて斜め後ろに一気に放出する。ただそれだけなら何の意味も無いのだが、
「《真空覇陣》!」
 ブワァッ!放出した気が、空中に円を書きそこに幾何学的な紋様を書いていき、完成と同時にそこから天狗に向かって気が向かって行った!
ガッ!!それは天狗の足のぶつかり一瞬だが天狗の足場となる。
 だが、それを知らないストルから見れば単なる茶番にしか見えないのだろう。
「はっ!いらない悪足掻きなど!カス以下だな」
「オレがカスならオマエはミジンコじゃねぇーの?」
嘲りの言葉を吐きながら天狗は飛ぶ。ストルから見れば天狗が空中から突然消えたように見えるだろう。
「なに!?」
振り下ろしかけた剣はそう簡単には止まらない。ストルの剣は振り下ろされ天狗が発動した《真空覇陣》にぶち当たった!
キィーン!甲高い音と共にストルの手から剣がはじき飛ぶ。
「終わりだ」
ストルの耳元で天狗が言い、飛んでいる時に腰からとった鞘で思い切り叩く。
ドキャッ!嫌な音がして、ストルは崩れ落ちる。
「あぁー。危なかった。もうちょっとで『存在の力』無くなるトコだった」
そう言いつつ、本来の目的であった新たな『玉』の光の元に歩いていく。だが、後、数十歩という所で何かにぶち当たりそれ以上進めなくなった。
「? なんだ?何で進めないんだ・・・・」
その時天狗は、微かな笑い声を聞いて、後ろを振り返るが誰も居ない。? なんだ?
「誰だ?」
剣の柄を撫でながら、虚空に向かって問い掛ける。
「誰だと思う?」
そういうナゾかけを楽しむような返答がしばらくしてから、帰ってくる。その声は何処かで聞いた事のある声で・・・そこまで考えた時点で言う。
「あれ〜?覚えてくれてない?チョッと酷いんじゃない?」
そう言いつつ物影から出てきた人物を天狗は見て、軽くため息をついた後、問いただす。
「何でお前がまだ居るんだ?」
現れたのはなんとニカだった。
「ふふっ。何でかって?見てないの?」
そういって、不思議そうにするニカ。一方天狗は何のことか分からないので疑問マークを浮かべつつ尋ねる。
「何のことだ?」
「ホントに見てないの?私の手紙・・・・」
「・・・・! あぁ!これの事か」
そう言いながら朝読むことの出来なかった手紙をポケットの中から出す。その手紙はしっかりと封がしてあった。
「・・・・・天狗。ちょっと酷いんじゃないの・・・?」
「わりぃわりぃ。ちょっと、読む時間が無くて・・・・」
完璧な言い訳だ・・・そう思いつつ天狗はそういった。
「それにしても酷いわ!うぅっ・・・・」
そう言ってニカは泣き出してしまった。
 ・・・・・えーっと・・・これって俺が泣かしたことになるんだよな・・・どーしよ・・・
 そう思いつつ、まずは問題の手紙を読まないと始まらないと思った天狗は、手紙を読み始める。

 Dear 天狗
           Data: ローレライ 19 moon

えっと。単刀直入にお願いします。
 旅に連れてってww
あぁ。そうそう。この占眼霊杖は、半分くらいは私の物で、あなたが二日酔いで倒れてから二日後の朝に入る洞窟も私の物でそこに入ったらまぁ、強制的について行くからね。
あっ。逃げたらちょーっとヤバイ事になるから逃げないでねーww

それじゃ。
From ニカ

・・・・おいおいおい・・・何で・・・まぁしゃーねぇか・・・・適当にやっとこうかな。まぁ。フリをして、んで出たトコで逃げる!そしたら、ついてこねぇだろうし、ニカはちゃんと帰れる。それに――もう、ダレも傷つかない・・・俺は、もうダレも傷付けないですむ・・・・・・ん?こいつなんで俺が洞窟に入ることを知ってるんだ?

 「悪かったってニカ。なっ?許してくれ。このとおりだ」
そう言って手を合わせる天狗。それを見てニカは・・・――
「じゃぁ、連れってくれる・・・!?」
突如、笑顔になるニカ。・・・・・・コイツ・・・ぜってぇー嘘泣きだったんだな・・・ちくしょぉ・・・騙された・・・はぁあぁ・・・んでもまぁ、これでトントンだろ。まぁそれはおいといて、取り敢えず、今はどうやって取るかが先だ。
「なぁニカ。この『玉』どうやって、取んのか知ってんのか?」
「ええっ!そこに突っ込むの?先に、なんで俺がココに入るって事知ってんだー!とか、何でお前がココにいるんだー!とかそっちが来るもんだと思ったのに・・・・・」
「・・・・分かった。後で、飲みながら話したいからその時で良いか?」
「ちぇっ!じゃぁ、いいわ。教えてあげる。『玉』の取り方を」
「・・・・・ありがとよ。んで、どうやって取るんだ?」
「結界って知らない?」
「結界?あぁ、なんか閉じ込めたり結界で相手を攻撃したり出来るんだろ?」
「そうよ。補足すると、潰して相手を滅することも出来るけど・・・・まぁそんな事どうでも良いわね。それで、その結界が、ココ。・・・そうね、あの『玉』っていうの?から半径20m位かしら?に、張ってあるのよねぇ・・・・・」
・・・・・なんかムカツクぞ・・・まぁ、抑えろ抑えろ俺。
「んで、どうやってその結界の中に入れば良いんだ?」
「『霊力』だけになって、その後、身体を再構築できればいけるんじゃないのかな・・・・?試した事無いから解らないけど・・・」
「・・・・・マジかよ・・・・『存在の力』だけにはなれても『霊力』だけにはなれねぇぞ・・・」
「うふふふ。私は出来るわよ?私に頼んでみる?」
うっ・・・あんまりココで貸しを作りたくない・・・・・・でも、『存在の力』の回復はまだだし――っていうかどんだけ遅いんだよ。回復するの・・・・――しょうがない。頼むしかないか。
「出来たら取ってきて欲しいんだけどダメ?」
そう言いながら、手を合わせてみる。
「しょうがないわねぇー。貸しにしとくわよ。天狗」
かなりうきうきした声でニカが言う。
 はぁ。やっぱりこうなったか。仕方が無いだろ。
「解ったよ。行った店で何か上手い物でも食わせてやるからそれで、チャラにしてくれ」
「ホント?約束したからね!よーしじゃぁ!いっちょ頑張りますか!食べ物の為に!へへっ・・・」
食い意地張るなよ・・・ニカ。
「自らの壁 今打ち砕かれん 生命の扉 今開かれん わが身の霊力よ 万物の中にありて輝く魂よ 我が名において命ずる 命の木よ 世界の理を離れる事を許したまえ エデン イジェクト セディレクト!」
ゴゴゴゴッ!ニカの呪文の余韻が消え去る瞬間ニカの身体が一瞬瞬き、粒子として見えたかと思うとその次の瞬間、結界の中への侵入を果たして、再び具現化していた。
「おぉ!すげ・・・・」
天狗は無意識のうちに、そう呟いていた。大雑把なことは得意な天狗だが、細かい、繊細さを要求される作業は、不得意なのだった。ニカはというと、かなり苦戦していた。赤の『玉』の目の前に来たのだが、さわろうとすると、障壁が出来て、さわれないのである。
「天狗ー」
「あぁ?なんだよ」
「これってどうやって持つの?」
「どうやってだぁ?それはまず、手を広げて、その後持ちたいものの上に持っていき―――」
ニカはそれをさえぎり最後まで言わせてくれなかった。
「それは、わかってんのよ。でもなんかコレ、私じゃさわれないのよね。あなたは、どうしてさわれるの?」
「そうなのか?普通に・・・」
「んー。じゃあ、あなたに取ってもらうしかないわね」
そう言いつつ、手近にあった、ボタンを押す。
「あっ!馬鹿!止めろ!!」
天狗の静止の声は届く間もなく。
 当然のように警報機の音が鳴り響く。
 ガーガー!パスワードを入力してください・・・パスワードを入力してください・・・
 ノイズと共に、そう、機械的な女性の声で流れた。
「天狗ー。パスワードだって。何だと思う?」
「あほっ!何で押してんだよ!自爆スイッチかも知れねぇだろ」
「それはないんじゃないかなぁ。天狗。だってココにほら」
そう言って天狗からは見えない、操作盤を指差す。
「・・・こっからじゃ見えない」
「っあ、そっかぁ。えっとねぇ、結界シールド解除って」
「そうかそうか。そこまでは良いんだが、その近くにパス書いたヤツ無いのか?」
「説明書ならあるわね」
「結界シールド解除のトコなんて書いてある?」
この懸念か懸念で終わってくれればいいが・・・・・
「えぇーっと。この結界シールド装置は・・・・・難しい説明ばっかでわかんないわ・・・」
「おいっ!んじゃぁこっち持ってきてくれよ」
「良いわよぉー」
だが、結界シールドなるもんがあるせいで、俺は触れない。しょーが無いから。ニカが結界シールドに押し付けて俺が読んだ。
「っ!やっぱり・・・・・」
一瞬で看破して言う。
「ニカ!アホ!半径五百キロメートルは溶鉱炉と化す核が仕掛けられてんじゃねぇか!失敗したら、時限爆弾的な感じで爆発すんぞ!」
「核って?」
天狗が怒鳴り散らしているにもかかわらずニカは、相変わらず緊張感の欠片も無い声で聞いた。その声を聞いて、少しの余裕が天狗に生まれた。
「核って言うのはなぁ・・・」
説明しようとした所で気がついた。『存在の力』が戻ってきてる。
ラッキー。今ほど天に感謝した事はない。コレでいける!
「ニカ。退いてろ」
「えっ?なになに・・・・?」
「我 自らの血の名の元に誓う 我 世界を形創る者 全てを形創る原子に我を・・・・・」
「何やってんの・・・?」
ニカが聞いても天狗は答えず、ただ、詠唱を続ける。
「我の全ては元素の名に・・・」
「ちょっとくらい人の話聞きなさいよ」
「我は『存在の力』 コンバート!」
天狗の身体が、瞬き光が急速に天狗の核に集まり拡散する。次の瞬間、銀色の炎が見えたと思ったら、中に入っていた。
「おっしゃ。これで良いだろ」
「えっえっえっ?何でこっちにいるの?」
ニカの疑問はかなり適切だ。俺は今、結界シールドの中にいたからな。
「『存在の力』だけになってな」
「あっ、力。回復したのね」
「そ。さぁてと」
おもむろに腕まくりをしたかと思うと、ごちゃごちゃした操作盤に向かった。
「えぇーっと。どっかに端子がねぇかな・・・・・・」
「天狗・・・何やってんの・・・?」
「んー。ハッキング?」
「ハッキング?」
「・・・まぁ、コンピューターに無断で侵入して色々弄くるコト?」
「出来るの・・・・?」
かなりの疑問形で聞かれた。ちょっと傷つく・・・
「出来んじゃない?」
おきらくに答えてみる。
「あぁ!端子見っけ」
ニカが端子を見つけたらしい。
「おぉ!よく見っけたな。後は、コードと、俺の携帯があれば・・・・」
「何その携帯・・・?凄く重そうだけど・・・・・・・」
「使えれば良いんだよ」
まぁ、確かに重いけど・・・そのせいで、ポッケが破れそうにもなったけど・・・
「こんなんで良いだろ」
携帯と端子を繋ぎ、そこからウイルスを流してみる。そしてそこからが勝負だった。
猛然と、天狗がキーを叩く。音がダーーーーッと言う音にしか聞こえない。
「あっ!あのォ・・・そんなに強く叩いたら壊れるんじゃぁ・・・・・」
ズダダダダダッ!ズダダダダダダダダダダダダダダ!!!
 ニカの疑問に対する返事がコレだった。
「・・・・・」
ニカは質問するのを諦め、モニターを見るしかなかった。・・・何やってるんだろう?率直な
ニカの感想がそれだった・・・・
モニターには、訳の分からない数字やら、文字の羅列が流れている。
数分後、ハッキングに成功したのか天狗が手を止めて床に座り目頭を押さえている。
「やべぇ・・・」
そう天狗が呟いた・・・・・・かな?
 そう思って聴いて見る。
「どうしたの?」
「腕落ちた・・・・」
「成功?したんでしょ・・・?」
「まぁ・・・・な」
「じゃぁ、良いじゃない」
「・・・・スキルか」
だが、その単語は、ニカには届かなかった。
「えっ?なんていったの?」
「いや。何でもねぇよ。さっさとココから出ようぜ」
「天狗!天狗!『玉』忘れてる!」
「おおっと!その為に来たんだった・・・」
「しっかりぃー」
笑いながらニカが言う。返す言葉が無い・・・
「取ってくるか」
そう言ってツカツカと玉座に向かった。
「あれ?何か物凄く光ってない・・・?」
「確かに・・・!」
「まぁ、良いから取っとけば?」
「だな」
そう言って『玉』を取った。その瞬間だった。
[13] 2008年01月12日 (土) 18時52分
kimi
第十二章 〜声〜

〈天狗よ・・・。『玉』を持って我を解放せよ・・・〉
そう声が響いた。
「誰だ?」
天狗が問い掛ける。
「何?どうしたの?」
だが、その天狗の問いに答えたのはニカだった。
「いや。今声が」
「声?誰も居ないケド・・・?」
「ッかしいな・・・?疲れたのか?まぁいい。とっとと帰って寝ようか・・・テレポートで戻るか」
「テレポート?アレって最上級の部類に入るんじゃないの?」
「どうせ今日は何もしないし、良いんじゃない?後は寝るだけし」
「二人分『自在法』をかける『存在の力』残ってるの?」
「一人分なら」
笑いながら天狗が答える。
「じゃぁ、歩いていきましょうか。天狗?」
ニカも笑ってるけど目が笑ってねぇ・・・・普通に恐いぞ・・・・・こっ・・・ココは・・・
「あっと!急用思い出した!お先にぃ・・・・・」
天狗がそう言ってすばやく『自在法』を立ち上げる。だが、敵―――ちょっと恐いから天狗が勝手に敵と断定した―――も去るもの。『存在の力』を練り上げた後『自在式』を展開した瞬間に天狗の手を捕まえて、自らの『霊力』を使って『自在式』を書き換えるとそのまま『霊力』を『自在式』に注ぎ込んで『存在の力』足しにするとテレポート一人分の『存在の力』を補ってしまった。
「・・・・マジかよ・・・・」
「折角『存在の力』の足しにして上げたんだからちゃんと飛んでよ?」
「・・・分かったよ」
「って言うコトでよろしく♪」
「っちぇ・・・・」
そう言って天狗は唱える。
「世界よ 全ての源よ 我を運べ――」
「天狗!我らじゃないの?」
だが、天狗は気にする事もなく淡々と唱える。
「全てを飲み込む混沌の渦よ――」
「えっ・・・?今なんて?」
だがそれも完全にシカト。
「我に力を貸し与えたまえ ウォー センプト アゲイン クライン フォーメン ウィズ ニカ!」
天狗が唱えた呪文の余韻が残っている空間の中で、天狗たちに変化が起こる。天狗の身体が光ったと思うと光の粒子となって消えた。
「えっ!」
まさかおいてかれた・・・?とニカが思った次の瞬間ニカの身体も光の粒子になって、飛び去った。


第十三章 〜声にならない助け〜

ガタッ・・・・・天狗達が居なくなった部屋で何かが動いた。ストルだった。
「クソっ・・・・!俺があんなヤツに手間取っちまうとは・・・・・」
天狗に殴られたところがまだズキズキと痛んだが、何とか目の焦点が合ってきてぼんやりとだが、周りの景色が見えるようになってきた。
「アイツ・・・・それにしても何で俺を殺らなかったんだ?」
殺られなかったといっても、天狗に対しての友好的な感情を抱くことはなかったが・・・・
「ちッ・・・・・余計なこと考えてる暇なんぞねぇか・・・・」
そう。生きているということは・・・・俺はあの方にコンタクトを取らなくちゃいけない・・・・覚醒させる前に昏倒した事も・・・・・・・待て待て・・・・・失敗して俺は、あの方に生かしてもらえるのか・・・?
「そんな事考えても仕方ないか・・・!」
そう口に出すことで、決意が固まると思えた。――そうだ。俺は行かなくては・・・!!そう思い込むことで何とか己の恐怖心を心の奥底に沈める事が出来ると思えたから・・・
ガッ!ストルは乱暴にコンソールパネルを叩くとストルはヒュインと音をたててテレポートした。後に残ったのは非常電源の赤い明かりと、ビービー!と言う警報の音だけだった・・・・・
[14] 2008年01月12日 (土) 18時53分
kimi
第十四章 〜死・・・?〜

ヒュイン!そう音がして天狗は洞窟の入り口の前に立っていた。スタッ。軽やかに着地する。少し後から、ニカが現れる。
「えっ!わっ!」
認識が少し遅れたらしいニカは、着地に失敗して、映画に出てくるより簡単に足を捻った。
「いったぁーい!!」
「いったそー・・・・・・」
「いったそー・・・・・・じゃなくて、助けてくれたりしないわけ?天狗!こんなにかわいい女の子が、怪我したのにぃ・・・・・・」
「・・・・・・・・」
こいつ自分で“かわいい女の子”って言うか?普通・・・・
「何よぉーーー。じろじろ見ちゃって・・・」
「わりぃわりぃ・・・本当かどうかわかんなくてな」
かなりの苦笑で天狗が答えた。
「ひっ、ヒドい!こんなかわいい子が怪我をしたのにそれをホントかどうか疑うなんて・・・・」
かなりむくれてニカ言う。・・・・・クソっ・・・
「悪かったって。謝る。この通りだ。許してくれ」
そう言って、顔の前で手を合わせて頭を下げる。
「・・・んじゃぁ、おんぶして」
はぁ?コイツ何言い出すんだ・・・・?
「はぁ?」
「おんぶしてよ。ケチ!」
「・・・・・・人にものを頼む態度か・・・・・それは・・・」
「疑った罰よ!」
そう言いながらニカの口元は微かに笑っていた。
「ッ・・・・ったく・・・しょうがないな・・・」
全く気付かなかった天狗は、しょうがなくそれを受け入れた。

「とりあえず、宿で良いだろ?」
天狗が聞く。
「良いわよぉー」
何事かゴソゴソやりながらニカは言う。
「・・・・・・・・・俺の背中で何やってんの・・・?」
「いーからいーから」
そうは、言ってもな・・・俺の背中で何かやられたらフツー気になるだろ・・・?
「そうは言ってもだなぁ・・・」
そう言って担いだまま後ろを見る――否、見ようとした。しかし・・・
「ぐむッ」
後ろを見ようとした俺を、ニカが、手で押さえる。
「ダメって言ってるでしょーぉ?」
「って、っテメェ・・・落とすぞこのヤロ・・・」
「恐いぃー」
笑いながらニカが言う。コイツぜってぇ俺のコトからかって遊んでんだろ・・・?ッたくよぉ・・・
「よぉ。宿の主人」
「・・・・・・・・」
「・・・シカトか?オイ・・・・」
「天狗ー。ぎっくり腰でそれどころじゃないんじゃない?」
ニカが天狗の背中から言う。
「大丈夫か?」
天狗が、宿の主人を心配して言った。
「あっ・・・ハイ・・・」
「運んでってやろうか?」
「本当ですか?」
「んあぁ。良いぜ」
「助かります・・・」
そして天狗は後ろのニカに言う。
「お前、ちゃんと捕まってろよ?」
「・・・?どうするの?」
「お前背負ったまんま、宿の主人を抱えてく」
「そんな筋力あるの・・・?」
「ケッ・・・・・『存在の力』使えば片手でいけるくらいだろ」
「天狗・・・・騙したわね・・・?」
「・・・へ?」
「あなた洞窟でそんなに力、残ってないって言ったわよね?」
・・・ヤバい。どうにかして誤魔化さないと。
「そうだっけ?」
なるべく自然に自然に。
「誤魔化しても無駄よ」
冷徹にニカが言う。
「・・・そんな事言ったっけなぁ?」
なおも抵抗しようとすると、ニカにとどめを刺された。
「嘘つき」
[66] 2008年02月02日 (土) 15時11分
kimi
「・・・・・・ゴメン」
「罰としてどうしてくれようかなぁ」
笑いながらそう言ってきた。
「とりあえず、部屋に戻ってからにしよう。な?」
「そうね。こんな寒いところで話しててもどうしようもないしね」
「そうしてくれ。行くぞ。主人さんよぉ」
そう言って片手で宿の主人を抱えあげ、ニカを背負い宿まで歩いていった。

主人を宿に連れていき部屋のキーを貰い、部屋に戻る。その時に主人から「ありがとう」と、お礼として焼きたてのパンをくれた。
「ダリぃ・・・寝る」
そう言って布団に潜ろうとした――逃げようとした――が、捕まった。
「天狗?まさか寝るわけじゃないわよね?」
「・・・・・・そのまさかだけど」
半分逃げ腰で言った。
「ふーん?まぁいいけど」
笑いながらそうニカに言われた。
「・・・・・・・・・?オヤスミ」
そう言って布団に潜り込んだ。
「さてと!天狗も寝ちゃったことだしご飯でも食べようかなぁ?」
ニカが大声で――天狗に聞こえるように言った。
ピクっ!
そう天狗の耳が動いた気がしたがあえてスルーしてニカは重ねて言う。
「あぁーあ。せっかくお弁当作ったけど食べなかったしなぁ。今食べちゃおっかなぁ?」
ピクピクっ!
 さらに天狗の耳が動く。
「あぁ!そう言えば宿の主人から貰ったパンもあったわね。焼き立てでおいしそうなのが。冷めるとおいしくなくなっちゃうから天狗には悪いけど食べちゃおっと♪ ゴメンね。天狗」
ビクッ!! ガタガタガタ・・・
天狗のベッドが揺れ、天狗の体が揺れる。
「いただきます」
ぱん。
 そう手を合わせてニカは言った。その瞬間――
「・・・・・・・・・・ぐわぁぁああぁぁあぁ!!」
バサっ!!
 布団が落ち、天狗が起きた。
「コレは拷問か何かか!?」
天狗が吠えた。
「そうよ?」
「なんで?何の為に?」
分かっていたが、天狗は言わずにはいられなかった。
「それはもちろん、天狗が嘘ついたり色々したからよ」
・・・・・・・やっぱりそういう事になるよね?謝って穏便に済まそう・・・・・・・
「悪かった。・・・・・・・・・・・・コレで許してくれるか?」
「ダメ」
冷たいお言葉だった。
「どうか・・・そこをお願いしますよ」
「えぇーー。どうしよっかなぁ?」
完全に楽しんでやがるな・・・コイツ。
「頼みますよ。ニカ様?」
「どうしよっかなぁ」
・・・・・・・・そっちがその気ならこっちにも考えってものがあるぞ・・・
「あぁーあぁ。分かったよ。許してもらわなくてもいいさ。そのかわりついてくんな・・・・・!
「・・・・・・やるわね。その手を使ってくるなんて」
「へっ!そん位いくらでも使ってやるさ」
――どっちにしろ連れて行く気はさらさら無いけどな。
「・・・・・・まぁいいわ。連れてってくれないんだったら、ココの監禁施設に閉じ込めてあげるんだから」
「・・・・・・脱獄してやる」
「無理よ。霊力で出来てるから壊せないわ」
「・・・・・・あぁ。もうマジでめんどくさくなってきた・・・とりあえず許してくれ。な?」
「まぁ、良いわよ。こっちこそからかったりして悪かったわねっ!」
・・・・・なんで語尾を上げる・・・・謝ってくれてるのはありがたいけど、怒られてるように言われてもな・・・・・なんとも言えないが・・・・・
「そうだ!」
いきなりニカが叫んだ。
「おぅわ!いきなりなんだよ?」
「お弁当一緒に食べる?」
――びっくりさせやがって。でも、腹減ったな・・・
「マジで?食わさしてくれんの?」
「良いわよ。有料で」
「ッ・・・・・」
「嘘よ、嘘。もしかして本気にした?」
「もう良いよ・・・・」
こいつと話してると疲れるのは何でだろう・・・・・・
「はい。じゃぁ天狗。あーんして♪」
「俺は子供か!」
「ゴメンゴメン。じゃぁ、食べても良いよ」
「犬か!俺は・・・・」
「ポチー。おいで♪」
その後、俺はニカに遊ばれた後、肝心の話を弁当と、パンを食べながらした。
「なぁ、何で俺があの洞窟ってか、穴に入ること知ってたんだ?」
「あぁ。あれ?あたしは少しでもちゃんとした『霊力』持ってるのよ?」
「だから?」
「だーかーらー。少しくらいなら予知――予言ができるのよ?」
「なるほどね。それでこっそり俺を覗いていたのか?洞窟の中で」
「洞窟の中?だって、予言はアレが無くちゃできないのよ?」
「アレ?」
「そ。水晶玉が無いと出来ないの」
「何でだ?写すものがあれば出来るんじゃないのか?」
「出来る人には出来るみたいだけど・・・・あたしはそっちには才が無いから」
「・・・・分かったような分かんなかったような・・・」
「そう言えば天狗」
「なんだ?」
「お酒」
「酒?」
「そうよ。お酒。お酒飲みながら話すって言ってたじゃない」
「・・・・・言ったっけ?」
「そうよ。それもあなたの奢りで」
「・・・・・しょうがない。『玉』も取ったことだし健勝記念日・・・・?見たいなモンだし、パァッとやっちまおうぜ」
「ホント?やったぁ!」
「とりあえずビールと、ワインでいいか?」
「あぁ!<ドラゴンブレス>も」
「<ドラゴンブレス>?」
「言えば分かるわ」
ウキウキしながらニカは言う。
「ココの特産品か何かか?」
「そんな感じかな?」
「結構強いのか?」
「飲んでみれば分かるわ」
・・・・・・結構商売上手というか、自分の欲しい物に対してゲットする能力が高いというか・・・まぁ良いか。死ぬほど度が高いってワケじゃあるまいし・・・
「分かったよ。でも手伝えよ。運ぶの」
「運ぶ?何を?」
「酒だよ酒」
「運んでもらえば良いのに・・・下男とか侍女とかに」
「今何時だと思ってるんだ?7時くらいだぞ?」
「だから?」
「朝っぱらから酒飲むヤツはいねぇだろうし、今、下男達は飯の準備で忙しくてこっちまで手がまわらないだろ」
「ふーん。空いてそうな宿だったけど・・・・」
「今は、あの穴が出来たからってココの偉い人たちが、調査団組んでやってくるんだとさ。だからその用意で何時もより人が多いし殺気立ってるわけよ」
[69] 2008年02月04日 (月) 23時29分
きみ
「よく分かったわね天狗」
「まぁな。ってことで手伝え」
「っちぇ・・・折角はぐらかして行かせようと思ったのに・・・・」
「酷いヤツだな・・・・オイ」
「えへへへへ」
「誉めてねぇからな」
「・・・・・言う事とらないでよ天狗」
「突っ込むのが大変だからな」
「酷いなぁ・・・ってか、お酒ー」
「分かった分かった。ほら、行くぞ」
「やっぱりこうなるのね・・・・・」
「ほら。行くぞ」
「はぁーい」
ったく、疲れるヤツ。ってか、足挫いたのはどうした・・・大方、自分で治したんだろ・・・

 「おーい」
とりあえず、俺はそこらに居た、下男を呼び止める。
「なんでしょうか?」
うッ・・・・・・敬語で話されると、鳥肌が出るな・・・
「酒とつまみをくれねぇか?朝飯はいらないから」
「あっ!後、ドラゴンブレスも!」
ニカが元気良く注文をする。
「ハァッ? ・・・すいません。朝からドラゴンブレスですか?」
「そ。何か? ・・・まさか無いとか言わないでしょうね・・・・・・?」
「いえッ! あるにはあります・・・」
・・・危険な酒なのか?
俺はニカに小声で尋ねる。
「危険な酒じゃねぇのか?もしくはありえない位高いとか・・・?」
「違うわよ!全く・・・人聞きの悪い」
「じゃぁ何で、コイツはこんなに渋ってるんだよ?」
「分かるわけ無いでしょ?」
「ッちぇ・・・」
そうこうしている内に、下男は、宿の主人を呼んできたらしい。
「あのぉ・・・」
宿の主人が、遠慮がちに声をかけてきた。
「何だ?」
俺は、ニカとの言い争いで少しイライラとして、トゲのある声で答えた。
「えー。朝からドラゴンブレスの飲酒ですと、証明書が・・・・」
「証明書?どんな?」
俺が聞くと、ニカが叫んだ。
「そうだった!コレでどう?」
そう言って、小さな紙片をふところから出した。
「えーっと・・・あぁ。分かりました」
「良かったわ」
・・・ついていけない。後でニカにでも聞こう。
 そう決めて、あえてココでは流すことにしよう。と、堅く決心するのだった。

 しょうがないから、部屋に酒を持っていって夜まで心積もりの分位ある酒を運び入れた。
「・・・・・凄い金かかりそうだな」
「そうね。でもまぁ天狗の奢りだし」
笑いながらニカが言う。
 ・・・少しくらい遠慮があっても良いんじゃないか?
「まぁ、しょうがないか」
そう言って天狗はベッドにニカは椅子に座る。
「すいませんが・・・・」
控えめな声で運ぶのを結局ニカが無理矢理手伝わせた下男が言う。
「お代を・・・」
下男は、あり得ないほどの量を飲む天狗達を見て恐れを抱いているようだった。
 ――しょうがないな。この量じゃ・・・
 天狗はそう考えながら、聞く。
「いくらだ?」
[203] 2008年08月14日 (木) 20時56分


Number
Pass

ThinkPadを買おう!
レンタカーの回送ドライバー
【広告】AMAZONからG.W.に向けてスマイルセール!4月22日まで開催
無料で掲示板を作ろう   情報の外部送信について
このページを通報する 管理人へ連絡
SYSTEM BY せっかく掲示板