(117) セツブンソウ |
投稿者:さなぷ〜
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和名:セツブンソウ (キンポウゲ科Ranunculaceaeセツブンソウ(エランシス)属Eranthis) 学名:Eranthis pinnatifida http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/setubunsou.html
キンポウゲ科のセツブンソウ(エランシス)属は、ヨーロッパ、アジアの温帯 に広く分布し、7種ほどあります。セツブンソウ(節分草)は、関東地方から西 の中部地方で石灰岩の産出する地域に多く分布し、日本での自生種はEranthis. pinnatifidaの1種類です。日本では、自生地の開発と主に園芸用の乱獲によっ て、絶滅の危機にありレッドデータブックでは「絶滅危惧II類」に指定されて います。
花期は、暖地では2月上旬の節分のころに咲き始めますが、寒冷地では4月に 開花し、春に芽を出し、節分の頃に咲くことから「節分草」の名前になりまし た。草丈は8〜14cmで、花径2cmほどの藤色をおびた白色の花が咲きます。ただ し、この花に見えるのは実は萼で、ほんとうの花弁は、花の中央の黄色い部分 です。同じキンポウゲ科のクリスマスローズも花に見える部分は同様に萼なん ですよ。
さて、節分の頃に咲くことから「節分草」ですが、ネット上で調べてみます と、その花の咲く時期については、色々と書いてありました。 「新暦を用いている現在では2月3日ごろが節分ですが、旧暦を使っていた昔と は節分が約1ヶ月ずれていますので、本当に花の咲く時期は3月。」 「旧暦の節分は2月3日ではなく大晦日であり、実は大晦日の時期に咲く。」 など...
先ず、大晦日の件ですが、節分とは立春の前日を指します。暦の一つ「24節 気」では、立春を元旦としたため、節分=大晦日になります。つまり、セツブ ンソウの咲く時期は、太陽暦の大晦日(12/31)ではなく、2月3日頃で間違えあ りません。
次に、旧暦、新暦と節分の関係ですが、確かに旧暦の2月は新暦の3月になり ますが、旧暦の立春(節分)は1月で、新暦の2月になります。つまり、新旧暦 とも「2月3日頃」と言う日付が節分ではなく、あくまでも立春の前日が節分で、 セツブンソウが「新暦の2月3日頃に咲く」は間違えありません。ただし、自生 地の温度環境によって1ヶ月ほど前後しますので3月に咲く地方もあります。
暦の話は非常に複雑ですが、「立春」などは遠い昔の中国の24節気が起源で、 地球から見て太陽の通る黄道(こうどう)を24等分したもので、簡単に言えば 1年を季節によって24当分したものです。ですから、現在の日本の気候と不一致 があるのは確かですね。
さて、節分と言えば2月3日とほとんどの人が答えるでしょうが、上記文中で は「節分は2月3日頃」と表現しました。24節気は、春分を基点とした太陽の位 置(黄経)によって決められ、そのため日付は年によって1日ほど前後します。 2003年の立春は2月4日で、その前日の節分も例年のごとく2月3日になります。 現在の「節分=2月3日」は、近年2月4日に立春が集中しているためです。過去 30年で見てみますと、節分が2月3日以外になったのは、1976,1980,1984年の3回 だけで、今後も2020年まで連続で2月3日が節分のようで、2021年にやっと2月2 日に変わります。
・栽培の基礎知識
自生地は、春は日がよく当たり、夏は日陰となる落葉樹の下の石まじりの斜 面だそうで、この環境を再現すれば良いのですが、地植えの場合は春は日がよ く当たり、夏は日陰になる所に赤玉土、軽石砂、山砂などを混合して水はけの よい土に改良する事で栽培が可能です。鉢植えの場合も、同様に水はけの良い 状態にしましょう。
冬から早春に芽を出し、花が終わると結実して種が付きますが、地上に姿を 見せているのは、この間の3〜4ヵ月ほどです。ただし、地上部が枯れても根は 活動をしていますので、秋の10月頃から翌年結実後1ヵ月は、肥料を与えます。 肥料は液肥の1000倍液を、1〜2週間に1回与えます。また、この夏の休眠期にも 乾かないように水を与えますが、与え過ぎは球根が腐りやすくなるので注意が 必要です。
殖やし方は、球根分割か種子になります。種子は乾かすと発芽しませんので、 採取後すぐに用土に播き乾かさないよう管理すると、12月ごろに発芽します。 しかし、最初の年は本葉を出さず、地中に小さな球根を形成するだけで、開花 は3年後からになります。
・種類
今回主に紹介したセツブンソウ(Eranthis.pinnatifida)は、どちらかと言 えば山野草の部類になりますが、園芸用として流通しているものとしては、洋 種セツブンソウ(Eranthis.×tubergenii)があります。 これは、キバナセツブンソウ(Eranthis.cilica)と http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/kibana-setubunsou.html オオバナキバナセツブンソウ(Eranthis.hyemalis)の交雑種です。
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2004年01月29日 (木) 19時11分 |
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