(83) 日本の夏、BECKの夏◆◆BECK--MUTATIONS◆◆ |
投稿者:nabes
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照りつける太陽、流れ落ちる汗、たまに体 を掠める涼しい風。すっかり夏がやってき た。7月生まれだからだろうか、僕は夏と いう季節が好きである。服は最小限度で済 むし(勿論、YO-KINGのように冬の重ね着も 好きだけど)、最近ご無沙汰だが海とかプ ールとかもあるし、何よりフェスの季節と いうのもある。まぁ、要は一般的に言われ るように解放感というやつなんだろうな。
解放感もあれど、だらだらした倦怠感、こ れもある意味、夏の醍醐味だろう。寝苦し くて眠れないものの、何もしたくないから 布団でダラダラしちゃう感じとか、アイス とか大量に買って、涼しいのは一瞬だとわ かっているのに、むさぼり食ってしまった り。それもまた夏である。
BECKの『MUTATIONS』は、去年末に何となく 手に入れたものの、しばらく聴くタイミン グを逸していた。いか期待された、この作 品は予想に反したアコースティックな1枚。 『DEVIL'S HAIRCUT』のダイナミックさも、 『THE NEW POLLUTION』のモンド感溢れるフ ァンキーさも影を細め、ひたすら静かに朗 々と歌い上げる作品は自分の中ではイマイ チ、フィットしなくてその当時は購入しな かった。そして、去年末に聴いたものの、 やはり評価は変わらず、うちのパソコンの i-tunesの中に取り込んだまま、半年近くが 経過していたが、少し前にランダムで色々 流していたら、バッチリフィットした瞬間 があった。
あぁ、これは夏に聴くといいかもしれない。
そうなるともう、しめたものだ。ひたすら 時が流れるのを待とう。そして、忘れた頃、 再びi-tunesからBECKの欄を検索、PLAYボタ ンをクリックした。
ピンポン、ピンポン!ピンポ〜ン!!
頭の中で正解チャイムが流れた。控えめな ドラム、緩いギターの残響音、ちょっとし た終末感さえ感じるコーラスワーク。これ らが総合して、倦怠感溢れる夏の一品とし て成立した。
仲のいい人や好きな人なんかといれば、夏 という季節は、終わらない解放感のもと、 ギラギラした太陽さえも仲間になるような、 そんなグルーヴを産み出す。でも時には一 人で布団に寝そべりながらかすむことのな い蜃気楼の中で、冷たいカキ氷でもシャリ シャリ音を静かに立てながらダラダラと、 このタルいながらも風情のある静かな音を 聴いていたい。年とったのかな、俺。いや、 アザーサイドな夏の趣を手に入れたといっ てほしい。そんな、ちょっとした癒しの1 枚なのでした。 涼しさを求めるより、暑さの風情に今年は 身を委ねるのも悪くない。
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2002年07月12日 (金) 18時32分 |
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