(195) 新たなラインへと向かう旅◆◆RIP SLYME--TIME TO GO◆◆ |
投稿者:nabes
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あーあ、ロック・イン・ジャパン・フェスが終わって しまった。今年は迷いに迷った挙げ句、予定もあった ので、見送る事にしたわけだが、寸前までやはり迷っ た。時間の調整をしつつ、もしかしたら、最終日くら いは…という淡い期待を抱いたのだが、結果としては 見送った自分の判断は間違ってなかったといえよう。 今日だからいえることだけど。しかし、惜しい事をし たというのも否めない。バンプにエレカシ、スガシカ オ、平井堅、岡村ちゃんと滅多に見れそうもない面子 ばかりなのだから(エレカシは除くか)そして、大ト リにラインナップされたリップ・スライム。不思議と 過去のロックフェスでも見のがしてた奴らがラインナ ップされた時は、「時は来た!」(by橋本真也)と思 ったのだけれど、まぁ、仕方がない。ロッキングオン の主催する冬のフェス、これは確実に押さえておきた い、そう心に誓う夏のある日だった。
というわけで、悔しいので、今回はリップの『TIME T O GO』を聴きながら、この雑文を書くことした。しか し、まぁこのグループはいつもの事ながら掴みどころ がないといったら、失礼だろうか。このアルバムには、 『楽園ベイべー』以降のシングルとか、ライブの定番 である『HOTTER THAN JULY』なんかが入っているのだ が、何だろう、キャッチーそうに見えて、実は結構、 難解な曲が並んでいるような気がする。 僕はキック・ザ・カン・クルーと敢えて、比較してし まうが、キックの凄いところは明らかに確信犯的キャ ッチーさが、ブレイクのキッカケになったといっても おかしくない。『マルシェ』しかり、『クリスマス・ イブRAP』しかり。老若男女どの世代にもわかりやす いサビなり、テーマなりこそが、彼等の命である。
そこいくと、リップは、そういう意味の確信犯的キャ ッチーから、わざと離れていっているような気がして ならない。もちろん歌詞とか読むと、実は案外、わか りやすいくらいパーティー・ソングであったり、今作 でいうなら、『虹』のような物語的であったりするわ けだが、ある意味それってファンだけが知るリップの 魅力になるんだよね。歌詞を読むという行為自体、CD を買わないと成立しないわけだし。そうでなくても、 ヒップホップというか、ラップは歌詞でも読まないと、 正確には把握できない箇所ってのが必ずしもあるのだ から。
となると、今リップって割と過渡期に入っているのか な。考えてみると、今作に横たわるスペーシーな浮遊 感や『BLUE BE-BOP』の少しジャジーな部分なりで、 新しい可能性を模索しているような気がしてならない。 そういう部分だけで、考えてみると勝負は次作なのか な。あくまで難解に日本のヒップホップ・シーンの可 能性を開拓していくのか、それを踏まえた上で、極上 のパーティー・ファンファーレを鳴らしてくれるのか。 どちらにしても、このシーンのトップに座る彼等にと っては、タイトル通り(TIME TO GO)、行くしかない。 きっと、彼等の旅はまだ始まったばかりなのである。 せっかく出たばかりのアルバムに水を差しているのか もしれないけど、後々、リップのキャリアを語る上で 重要な作品になるような、そんな新しいラインを作り だす過程を感じさせる作品として、愛聴することだろ う。
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2003年08月04日 (月) 12時46分 |
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