僕は、アメリカン・ヒーローものが結構好きであ
る。スパイダーマンやバットマン、もちろんスー
パーマンやX-MEN、ミュータント・タートルズな
んかも好きである。どちらにしても、大抵興味を
覚えるのは映画とか実写化されてからであったり
するが、それらのヒーローのある共通項にたまら
なく惹かれてしまう。
つまり、彼等はヒーローであるが、イマイチ絶対
的に強いわけではないということ。つーか、弱い
んだよね。ハッキリいって。もちろん、各々特徴
となる武器を持ってたりするんだけど、それがイ
マイチ敵を倒すのに有効かと言われると疑問符が
ついてしまうトホホ感にたまらなく愛着を抱いて
しまう。そして、変身する前の、何ともいえない
くらいのダメダメ感とかも、自分に投影しちゃう
部分があったりする（そんな意味ではミュータン
ト〜は違うっちゃ違うけど、それでも見た目のト
ホホ感が彼等の愛すべきところなんだけど）。だ
から、絶対的に強いターミネーターとかはイマイ
チ好きではない。つまり、要は人間臭ければ人間
臭いほど、ヒーローとのギャップにやられてしま
うというわけだ。そして、そんな中でその概念か
らは外れてしまうかもしれないけど、ディック・
トレイシーは、かなり好きだったりする。映画化
されたのは、随分前だったけど続編とかの予定は
無いのだろうか。

なんで、そんなことを延々と綴ってきたかという
と、先日マドンナの『I'M BREATHLESS』を借りて
きたから。いや、そのCDを借りてきた目的自体も
仕事で『VOGUE』を聴きたかったからなんだけど、
たまたまベストがレンタル中で、オリジナル・ア
ルバムで『VOGUE』の入っているアルバムを探し
ていたら、このアルバムだったのに少し驚いてし
まった。つーか、このアルバムってジャケットか
らでもわかるように、ディック・トレイシーのサ
ウンドトラックなんだよね。そのアルバムのラス
ト・トラックに収録されているわけだが別に『VO
GUE』って、ディック・トレイシーには使われて
ないんである。つまり、本来そこに入っててはい
けないんではっていうくらいの異彩の収録になっ
ている。もちろん、『VOGUE』には罪は無い。一
世を風靡したダンスナンバーとして、知られてい
るこのナンバーが、どのアルバムに入っていても、
その妖艶な感じや、とびきりクールな展開が損な
われるわけじゃないしね。ただ、やっぱ後で聞い
てみると、やはり収録するべきアルバムが無かっ
たというのが真相で、その近辺にリリースしたこ
のアルバムに入れてしまえ！というのが真相らし
い。そういう強引なところもマドンナらしくてニ
ンマリしてしまう。（人づての情報なので、背景
的に違ったらメールください）

まぁ、それはともかく『I'M BREATHLESS』を聴い
ていたら、ディック・トレイシーのことを思い出
してしまった。その映画にも出演しているマドン
ナが全面的に音楽を担当、珍しくジャズっぽい生
の音楽を奏でている。もちろん、新作や『MUSIC』
のようなダンスナンバーとか、デビュー時のポッ
プなナンバーも好きだが、こんなマドンナも悪く
無いもんである。とにかく、その生々しさという
か人間臭さが際立つ。なんか、こんなこというと
彼女に失礼だが、「やっぱ、人間なんだなぁ」と
いうことを感じる。ただ、この場合はアメリカン
・ヒーローのようなトホホ感ではなく、そのポテ
ンシャルの高さが存分に発揮されてるわけなので、
どちらかというとターミネーター的な絶対的な実
力を感じる。

映画やアメコミなど、虚構の世界には自分を投影
できる何かを求めてしまう僕だが、やはり現実社
会生きている中では、絶対的なものを求めてしま
う傾向がるようだ。そして、その中で女帝として
君臨し続けるマドンナは、千変万化の実力を見せ
つける。随分前のアルバムだが、やはりマドンナ
は音楽界のターミネーターなのかもしれない。で
も、こんな生っぽいマドンナも実にお茶目でセク
シーで人間くさい。たまには、こんなマドンナも
聴いてもいいかもしれない。「およよ」と腰砕け
になるくらいのギャップに引っ張られたアナタは
最早、マドンナの虜なのである。