(142) 天然秘蔵っ子 リル・キムちゃん◆◆LIL' KIM--THE NOTORIOUS KIM◆◆ |
投稿者:nabes
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彼女を知ったのは、それこそ映画『ムーランルー ジュ』の時。メイン・テーマである「レディ・マ ーマレイド」をクリスティーナ・アギレラ、ピン ク、メイヤなどと歌った時だ。ひとり黒人だった 彼女のクールなラップに一瞬に虜になった。すぐ さま、某中古CD屋に出向き彼女の作品を探し回り、 やっと見つけたのが今回の、『THE NOTORIOUS KI M』である。 はっきしいって、メチャかっこいい。ピンクの壁 に立つ彼女は上半身裸で胸だけは隠してる。手に はゴールドのアクセサリーを無闇につけて、おへ その周りには「NOTORIOUS KIM」のタトゥー。写 真だけ見ると何か小さそうである。でも、音を聴 くと、ゴツゴツした硬派のライムを展開させる。 プロデューサ陣も豪華で、ショーン"PUFFY"コム ズ、公私ともにかけがえのないパートナーであっ たノトーリアスB.I.G.、もちろん、自身もプロデ ューサーとして参加している。フューチャリング にも大物MARY JA.BRIGEの名前も見えるなど、とに かく豪華なアルバムである。
しかし、僕は何故かLIL' KIMに関しては親愛を込 めて「リル・キムちゃん」と呼ぶ事にしている。 だって可愛いんだもん。いや、もちろんセクシー だとは思うし、綺麗かもしれないけど、不思議と このコの事は〜ちゃんづけの方がシックリくる気 がする。 おそらく、彼女が持ち合わせている秘蔵っ子感に グッとくるのかもしれない。みんなに可愛がられ て、「おっ、お前アルバム出すのか。よかったら 手伝ってやるよ。」なんて会話が自然に出るよう な天然の妹的資質から様々な人脈が集まってきて、 あっという間にアルバム1枚分の曲が集まってき てしまうようなイメージを抱かせる。きっと、仲 間うちではマスコット的な存在として可愛がって もらうことが良く似合う。ビジュアル・イメージ も皆にアレコレいじられつつも、完璧なビジュア ルを作り出してもらえてる非常に幸せ者なんであ る。
でも、いるよね。こういうタイプの子。本人が望 もうが望まないが、その場にいるだけでパッと場 が華やいで、気が付いたらその子を中心に話が展 開していく感じで、その子事体は何かよくわかん ないけど、とりあえずニコニコしてるだけでいい みたいな子。こういうタイプは、下手に図に乗る と反感を買ってしまうのだが、おそらくリル・キ ムちゃんに限っては無さそう。もしあっても、そ ういう天狗っぽさを表に出さないクレバーさも備 わっているような気がする。 要はちょっとブリっ子的要素もあるのかもしれな い。僕はそんなリル・キムちゃんの内包された確 信犯的なところも含めてカワイイなぁと思ってし まう次第である。
もちろん、ここまで書いた事は、あくまで僕のイ メージ上の話で、本当は全然違うのかもしれない が、それはそれでいいんである。スターたるもの イメージ商売なのだから、勝手に抱かれようがそ れが良いイメージであるならば、それはもうリル ・キムちゃんの勝ちなんである。クールなトラッ クの上をあどけなさの残る声でスイスイ泳ぐ彼女 のラップ。彼女を取り巻くプロデューサー陣が抱 く彼女のイメージを、色々な角度から展開させて いくことで、このアルバムは非常にバラエティに 富んだ出来に仕上がっている。前述した「レディ ・マーマレイド」では、成熟してパワフルなリル ・キムちゃんが4人のうまいアクセントとして機 能しているが、それは秘蔵っ子っぽさを卒業して、 一人のシンガー、ラッパーとしての実力をようや く包み隠さず出しているリル・キムちゃんの姿を 見る事が出来る。そういう意味でこの『THE NOTO RIOUS KIM』を聴くと、じっくり作り込まれてい る最中の秘蔵っ子感の中で自分の真の実力を蓄え ているリル・キムちゃんの姿も見えてくるから不 思議ではないか。やはり、この子はただのマスコ ットじゃないという事を嫌でも知るのである。
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2003年02月03日 (月) 16時29分 |
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