(126) 大和の冬◆◆MATTEW SWEET--GIRLFRIEND◆◆ |
投稿者:nabes
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最近、めっきり寒くなってきた。ていうか、めっ きりどころではない、この寒さは。尋常ではない だろう。12月だというのに、雪が降ったりして いるんだぜ、神奈川県大和市。しかも、いきなり 積もりやがった。とはいえ、急激に寒く感じるの は、最初のうちだけで慣れてくると、いうても3 〜4ヶ月の辛抱だなという諦めに変わる。どうせ、 寒いのは一緒なんだから。これを辛抱と捉えるか 楽しみと捉えるかで、ウィンタースポーツに興じ る人と、そうでない人の区分に繋がるのであろう。 もちろん、僕はかなりの勢いでウィンタースポー ツとは御無沙汰である。そう、考えると僕は猫型 なのかな。
まぁ、しかし寒いには寒いの風景がもちろんある 訳で、案外それに関しては、嫌いではなかったり する一面もある訳ですよ。例えば、冬の朝。僕に とっては仕事明けの風景であるが、案外いいもん である。 異様に空が低くて地面と空の境界線が曖昧な感じ とか、そこに漂う冷気を自分の息が白く染める。 夏に青々とした生い茂った木々の葉っぱは今年の 役割を終え、地面を覆い尽くす。なにげに、僕の 住む神奈川県大和市というのは、四季折々がいい 塩梅で楽しめる素敵なロケーションの街である。
さて、そんな時は何を聴こう。日本人なら、つい 最近も書いたけど槇原敬之がベストだが、外人さ んなら圧倒的にMATTEW SWEETの『GIRL FRIEND』 を推したい。 名盤だと思う。荒涼感が漂い、少々のエロシズム のある女の子のジャケット。王道アメリカン・ロ ック直系のサウンド。過去の偉大なメロディと現 在進行形のビートが、どちらも相譲れない加減で 絡み合ってる感が、誠にもって90年代の音=オル タネイティブといってよい。闇を切り裂くような イントロから始まり、色々な展開を見せる『DIVI NE INTERVENTION』、ファンクなリフとサビのコ ーラスワークの絶妙な絡みの『GIRL FRIEND』、 そうかと思うとカントリーチックなバラードもあ ったりして、およそ1時間退屈のっせない作品に 仕上がっている。この人は日本のアニメ好きとい う側面が結構語られたりするが、音楽的にはかな り天才の域に迫っていると思う。民生くんとか好 きな人で聴いた事のない人は是非、聴いて欲しい 壮大で若干のひねくれ具合がたまらないアーティ ストである。
外国のアーティストで冬というイメージで歌うと なると、どうしてもコーラス主体のR&Bで、恋人 達の時間を演出するものとかスキー場で似合うメ ロコアとか、特別なシチュエーションでの活用と いうイメージがある。マジで、よーく考えてみる と冬に似合う外国のアーティストって難しい。そ の中でこの名盤は、空が低くなって全体的に重い 寒々とした冬に聴くと、日常的な風景でも悪いも のでなくなってくる。決して暖かくなるわけでな く、かといって余計寒くなる訳でもなく、そこに うまく溶けていく感じがいい。
実際、これを聴いて大和の公園を歩いていたら、 寒い事も何か許せてしまう、不思議な雰囲気を醸 し出してくれた。ということで、決して冬という 季節は好きではない。でも、1枚合致するCDを耳 に入れて、時を過ごすと寛容な気持ちになれると いうのは、とても単純なような気がするが、逆に 考えるとそんな単純な性格でよかった。これで今 年の冬は何とか乗り切れそうなそんな発見のもと に、もう一度『GIRL FRIEND』を聴く。そしてま た腐れ縁といえる関係がうちのCDと始まっていく のである。こう考えると、大和という街に関して も引っ越して1年半近くになるが、CDひとつで四 季を楽しめる素敵な街として、また自分の中でこ の街が好きになっていくのであった。
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2002年12月16日 (月) 18時16分 |
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