(93) ヘイト・テル・ア・ライ◆◆RED HOT CHILI PEPPERS--BY THE WAY◆◆ |
投稿者:nabes
MAIL
URL
|
嘘をつくという行為、これは許せない。唐突に何を いっているのかと思う人もいるだろう。じゃ、何か い?お前は嘘をついた事がないとでもいうのか?も ちろん、僕も嘘をつく。おそらく自分の中で一番嫌 いなところかも。そんな大仁田厚みたいな物言いが したい訳ではない。 人間は結局、知恵を与えられた生き物である。それ 故に、人間にとっても地球にとっても、良い事を考 えつく一方で、ヨコシマな事も考えついてしまう。 こればかりは仕方がない。まぁ、昔から「嘘も方便」 という諺もある通り、嘘をつくという行為が必ず悪 いと決まった話ではない。
ならば、何が許せないのか?お前自信も嘘をつく訳 だし、方便というのなら悪い訳ではないだろうが。 そう、悪い訳ではない。ただ、ここで僕がいう「許 せない」というのは、ズルイ嘘というやつに他なら ない。 人を陥れるために、自分さえ良ければいいと思うよ うな、人との強弱や優劣をあからさまに見せつける ような、その為に使われる嘘というのを許さない。 最近、そんな事について、非常に怒っている。そん なやつにはRED HOT CHILI PEPPERS(以下レッチリ) の新作『BY THE WAY』でぶん殴ってやりたい。
前作でオリジナルメンバーのジョン・フルシアンテ が復帰し、全世界で1300万枚のメガ・ヒットを記録 し15年近くのキャリアにして金字塔を打ち立てた 彼らの3年ぶり、待望のアルバムである。 僕の中では、レッチリのファンからみると邪道かも しれないけど、デイブ・ナヴァロ在籍時の『ONE HO T MINUTE』が結構好きだった。それがレッチリで初 めて買ったCDというのもあるが、硬質なビートと緩 急溢れるメロディが「ああ、やっぱり最強なんだ、 この人達」と変な確認をさせた。
それに比べると今作は勿論、健在な部分もあるが、 幾分かは柔らかくなっているような気がする。あく まで私観ではあるが。そして、曲がとってもキャッ チーになっているような気もする。キャッチ−?ち ょっと違うな。リラックスしてるような気がする。 やっぱりこれも古くからの戦友、ジョンの復帰が完 全なる日常として、受け入れられたといってもいい ようなリラックス感である。ステーキでいえばウェ ルダンから、ミディアム・レアになった感じという とピンとくるだろうか。柔らかくなったぶん、その 肉汁もまた味として取り入られたといってよい。ま た一つ、無敵の大横綱に武器が増えてしまった。こ りゃ、しばらくは最強でいられるわ。
さて、最初に述べた「ズルイ嘘」に話を戻すと、と にかくレッチリには嘘がない。全てがホントなんで ある。自分らのやっている事にホントに正直である。 精神状態に忠実に音を弾き出す。たとえ、それが酷 評されようがビッグ・セールスを記録しなくても、 それが現在のレッチリであるという事に誇りをもっ てやっている。もしかしたら、正直でいるという事 はとても損な事かもしれない。しかし、正直も貫け ばこんなに屈強になれる。要は、打算するより裸に なっちゃう気合いとイノセントな自我を持つ事、全 ては自分に嘘をつかない事、レッチリの4人はこれ らを長い間、持ち続けている稀有なバンドだと思う。 彼らを聴くと不思議と心が洗われるのは、僕もズル イ人間なのだろうな、きっと。
|
|
2002年08月24日 (土) 16時39分 |
|