(90) お楽しみはこれからだ◆◆安室奈美恵--181920◆◆ |
投稿者:nabes
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先日、髪を切っている時、ケミストリーの新譜を 聴いた。なんか涼しそうな曲でいいね、以上。
それ以上の感想も出てこないしそれ以下の感想も 出てこない。好きとか嫌いを別にしても、やっぱ り、それだけの印象しか受けなかった。 とはいえ、やはり夏なんだろうな。今までなら何 とも思わなかったケミストリーの音に反応してし まったということは、それだけ自分の中で解放的 なものが生じたのだろう。全てのものに対して、 「まぁいいか」と思えるようになる。 ということで、自分の中では夏になると「〜でも 聴いてみょうかな、試しに。」という気分に少な からずなるものだ。安室奈美恵とかもそうだった ような気がする。
先日、安室奈美恵が離婚した。まぁ、やっぱね。 という感じだったので、特に驚きはないのだが、 やはり結婚当初あれだけの大騒ぎとなった分、軽 い衝撃はあった。妻である前に、母である前に、 やはり歌い手でいたいらしい。詳しい事情という のは、ここでは割愛させて頂く。がしかし、これ はわからなくもない。 妻となって、母となっても、おそらく色々な歌い 手としての計画もあったろうが、どこかでズレが 生じてしまった。おそらく今のような状態は想像 もしてなかっただろう。やはり日本の音楽事情は 海外と違い、その計画を許さなかったといってよ い。たった少しのインターバルさえも許されない というのは、安室にとっても、レコード会社にと っても大誤算といってよい。まぁ、ただこれは自 分の仕掛けた罠に引っ掛かったようなものだから、 予想もできたろうが、それでも商売としては誤算 である。
また誤算の一つとして小室哲哉時代の終焉も挙げ られる。つんくやその他の敏腕なプロデューサー の台頭ですっかり霞んでしまった。 それも見越して、安室作品は一時、ダラス・オー スティンのプロデュースにも手を染めたが、世界 的には有名なプロデューサーであろうが、それは 世間にはイマイチ届かなかった。これも誤算であ ろう。 そして、安室インターバル中に現れた宇多田ヒカ ルや浜崎あゆみの出現で、すっかり安室は母とし て妻として生きざるを得なくなってしまった。こ れは彼女にとってはジレンマ以外の何物でもない だろう。子供が悪い訳でも旦那が悪い訳でもない、 彼女は時代に殺されかけてしまったのだ。
彼女の『181920』というベスト盤を聴いた。いい んだよなぁ、これが。小室哲哉のイケイケな感じ と安室の圧倒的な歌唱力が見事に合致して、その 時代と遊んでいるといってもよいクオリティを生 み出している。そう、小室哲哉と安室奈美恵は時 代と戯れていた、確かに。
『BODY FEEL EXIT』はまさに「真打ち登場!」っ ていうカッコよさを覚えるし、『CHASE THE CHAN CE』は歌詞にも出てくるように、まるでジェット コースターのような浮き沈みとスピード感に溢れ ている。はじめてレンタル屋さんで借りたシング ルは『YOU'RE MY SUNSHINE』だった。実は小室哲 哉は夏の開放的な雰囲気のイケイケな曲はお家芸 といっていいくらいにいい。TRF(当時trf)の、 『SURVIVAL DANCE』やH JUNGLE WITH Tの『GOING GOING HOME』とかはその顕著な例といってよい。 そうかと思うと、『HOW TO BE A GIRL』は小室の 好きな実験シリーズ、ケミカル兄弟っぽさ満開な 感じが、完全に波にノッている感じがするし『DO N'T WANNA CRY』は昨今のR&B全盛の礎となるマス ターピースといってよい。そして、『CAN YOU CE LEBRATE?』。僕はこれを聴くといつも、鳥肌が立 つ。それくらいの名曲である。
おそらく今回の一件を機に、安室自体はもちろん、 レコード会社も再び一大攻勢をかけていくだろう。 もしその時は再び小室哲哉を全面的にプロデュー スさせてあげてほしい。実は小室作品というのは そのグループ(個人)の売り上げが停滞した辺り から、肩の力が抜けて上質な作品を産む事が多い。 つまり、安室奈美恵はこれからなのですよ、実は。 そして、安室奈美恵自体も、今の浜崎あゆみや宇 多田ヒカルにはない母としての強さに満ちあふれ た歌声を世間に響かせてほしい。彼女ならそれが できるし、そうなったら日本のミュージックシー ンはまた面白くなると思う。
さぁ、お楽しみはこれからだ。
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2002年08月02日 (金) 13時33分 |
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