前に一番、腹のたつ事は「自分の思い通りに
事が進まない」事と書いた。結構、友達にそ
れを言うと、「凄い自分勝手」と言われてし
まった。まぁ、それはそれで仕方がないのだ
が、極論しちゃうとそれのような気もするの
だけれど。やっぱり、自分のしたいように事
が進むというのは大変、気持ちのいいものだ
とは思う。

例えば、マイケル・ジャクソン。彼なんて自
宅に遊園地である。どうよ？やりたい放題だ
よね、待ち時間いらずである。テメェの好き
」な時にアトラクションの電源でも入れれば、
それに乗る事ができる。その相手は幼い少年
であろうが、バブルスであろうが（あれ？バ
ブルス君って死んだんだっけ？）。事の善し
悪しはともかく、これは羨ましい。これぞ、
アメリカのショービズてもんだ。

対してイギリス、ここには今回の主役、ロッ
ド・スチュアートがいる。こちらは自宅にサ
ッカー場である。実際、イギリスの公式リー
グをここで行った事もあるというのも聞いた
事がある。という事は何か？ロッドのうちに
入るのに、人はお金を払うわけか？そして、
きっと収益の一部はロッドに転がり込みロッ
ド自身も好きなサッカーを一番、見やすい席
で堪能する事ができるというわけか？凄いな、
昔のロックスターは。

という事で、今回はロッド・スチュアートで
ある。キッカケはブルーハーツ（当時）のマ
ーシーのソロ作『HAPPY SONGS』の中に彼の
『ガソリン・アレイ』をカバーしているもの
があり、昔つきあってた彼女がたまたま、ロ
ッドの『ガソリン・アレイ』を持っていたこ
とから始まる。この作品について語るのは、
また後にするとして、簡潔にいうとスターと
しての貫禄をこの作品で聞き取る事が出来た。

そんなロッドの『WHEN WERE THE NEW BOYS』
はカバー集である。９８年頃の作品だったか
な。カバー集というと、普通は自分より先輩
の歌に経緯を表する形で、やっていくのが普
通である。がしかし、このオヤジは一筋縄で
はいかない。１曲目はOASISの『CIGARETTES
AND ALCOHOL』である。更に３曲目はPRIMAL
SCREAMの代表曲、『ROCKS』ときた。まぁ、
この２曲を試聴して、「よし、買い！」と思
ったのだが、それにしてもぶっ飛んだ。バリ
バリ後輩っつーか、一線級のバンドじゃねー
か。アンテナの延ばし方がやはり並じゃない
なぁ。と思って再生すると、これまたコテコ
テのロッド・メロディ。全てがロッド味なの
だ。そこで、自分の誤解に気付いた。別にこ
のオヤジ、アンテナを延ばしてやっているわ
けでもなく、敬意を表するわけでもなく、た
だ、自分のためにだけやっているのでは？だ
としたら、何となく合点がいくというものだ。

自分のやりたいものを、ただただ純粋に、た
だただ我侭にやる事。それが例え、自分より
年下のバンドでも、自分の琴線にとっても正
直に演奏する。あたかも自分の作った曲のよ
うに。そうすれば自ずと、どんな曲でもロッ
ド味のベタベタなロックンロールと化す。
『ガソリン・アレイ』を聴く前の自分はロッ
ドに対して、少なからず「ロックする事を辞
めた人」というイメージを持っていた。そし
てこの文章を読んでいる人の中にも、もしか
したらそんな人がいるかもしれない。そんな
人はこのアルバムから聴いてみるといい。こ
の人はいつでも王様なのだ。自分のしたいよ
うに事を進ませ、それが例え、「オイオイ」
ってつっこまれようが、自分が楽しければい
いじゃん、いいじゃんなんて感じで闊歩しち
ゃう。そんなオヤジは絶対にカッコイイと思
う。

裸の王様と呼ばれようが、自分が王様である
と思っている以上、この人はいつまでもロッ
ド王国の王様なのだ。そんな姿勢は時にとて
も魅力的に見えるものなのだ。