THE WHOが好きだ。結構昔からその存在は
知っていた。おそらく最初は『サマータイ
ムブルース』を歌っている人たちというと
こだろう。そこから波及して色々聴いてき
た。しかし、うちの愛すべきCD達の中では
ビートルズ、ストーンズと比べると圧倒的
に少ない。それでも昔からTHE WHOは好き
だった。

自分で分析すると昔から、結構天の邪鬼だ
った。ビートルズ、ストーンズよりもTHE
WHOだったし、中学生の時も周りが長渕だ
浜省だ言ってるときに、少数派だった佐野
元春や泉谷しげるが好きだったと記憶して
いる。これが音楽だけにも留まらず、長州
力や天龍源一郎が全盛の時もひたすら、ジ
ャンボ鶴田の怪物性を信じていた。UWFで
前田日明が各メディアに引っ張りだこに合
ってる時も、大仁田厚の下世話なデスマッ
チが好きだったし、何よりアンチ巨人で昔
から横浜大洋（現ベイスターズ）が好きだ
った。

話はじゃっかん逸れたものの、世間的には
第３勢力というものが好きな体質だった事
は、昔からあった。おそらくそんなノリで
THE WHOも好きだったんだろう。かくいう
今ではビートルズやストーンズも勿論、好
きだしメジャー、インディー分け隔てなく
聴けるとこに大人になった自分を、たまに
感じる事がある。

随分前に、中古CD屋さんでTHE WHOの『MY
GENERATION』が３００円で売られていたの
で、即ゲットした。いくら何でも３００円
はないだろう。どういう基準なんだろうと
思ったが、もしかしたら傷でもついている
のだろうかとも思ったが、聴いてみたら、
そんな事もなく、更にその疑問は深まった
が、面倒臭いのでここは一つ、俺に買われ
る運命だったのだろうと思う事にした。

殆どの曲が３分前後で終わる潔さ、とにか
く破天荒な各パートの演奏。よく書かれる
物言いだが、衝動のみでこのアルバムは一
気に駆け抜ける。大人になった今では、衝
動を分かち合うなんてとっても恥ずかしい
事だし、もうそんな蒼さは持ち合わせてい
ないものである。でもこのCDを聴くと、そ
んな物言いは屁理屈にしか聞こえない。
「TALKIN' BOUT MY GENERATION」とか「TH
E KIDS ARE ALRIGHT」なんて言えなくなっ
たなんてただの言い訳に過ぎない。言葉と
して恥ずかしいのなら、このアルバムの10
曲目の『THE OX』を聴いてみるといい。３
分４９秒のインストのこの曲には４人の衝
動がつまっている。特にKEITH MOONとPETE
TOWNSHENDのプレイは異常ともいえる。

衝動を分かち合うなんて、もはやそんなホ
ットな時代でない事もわかるし、自分がそ
んな年令にいないこともわかっている。で
も、ハイロウズの歌ではないが、

「あのレコードプレイヤーのスイッチさえ押せば」

いつでもそんな衝動を分かち合えるマジッ
クにかかる。そのマジックは本当に素晴ら
しいと思う。このバンドの音を聴くにつけ
天の邪鬼でよかったなんて、訳の分からな
い安堵を覚えるのであった。