TLCのレフトアイことリサ・ロペスが
事故で亡くなった。日頃、ニュースの
類を見ない僕は、人づてに聞いたもの
の、イマイチピンとこなかった。まぁ
日本の音楽業界と違って、２〜３年休
んでも何の心配もない、アメリカ・シ
ョービジネス界である。99年の『FUNM
AIL』以降、TLC本隊としては沈黙を保
っていることもあり、やはりネットで
記事を閲覧していても実感が沸かなか
った。
ミュージシャンの死というと、去年の
ジョージ・ハリスンの死もあったが、
これもまた何かピンとこなかった。こ
の人の場合、レジェンドな人なので、
そこまで等身大な感じがしなかった。
まぁ、ジェネレーション・ギャップと
いうやつか。そう考えると僕の中で思
わず胸がヒヤッとした死はhide、カー
ト・コバーン、尾崎豊、岡田有希子と
いったところだろうか。
話を本題に戻そう。そんなTLCはやはり
『CRAZYSEXYCOOL』が最高峰であろう。
今をときめくダラス・オースチン、シ
ョーン・"PUFFY"コムズ、ベイビーフェ
イスなど超一流のプロデューサーの名
前がこれでもか、とクレジットされて
いる。当時、R&Bというジャンルもそこ
まで一般的とはいい難い世の中で、こ
の３人の女の子から世界にこのジャン
ルを！という意気が伝わってくる。そ
う、今では主流ともいえるこのジャン
ルだが当時、この３人の女の子達はま
だ、孤高の存在であったといってもい
いだろう。
そんな中でレフト・アイはこの作品で
は作詞も手掛けていて、その歌詞は驚
く程、「自立した女性」を描いている。
全ての女性にあるクレイジー、セクシ
ー、そしてクールという部分を包み隠
さず披露する様はアルバムタイトルこ
そ、TLCそのものといってもいいだろ
う。僕はこのアルバムでは８曲目の、
『WATERFALLS』が好きだ。この曲もレ
フト・アイの作詞だが達観したものが
ある。孤高の存在だからこそ、自分達
の足元をしっかり見据えた、それでい
て等身大な女性の姿が見事に表されて
いる。特に凄いのは間奏のラップ部分。
全文掲載したいとこだが、要約すると
「今までダメな私の人生、真新しくするには
神様にお願いしよう。もう、一人では寂し
く泣いたりしないけど、気掛かりなのは続
く痛みに絶えられない人たち。時代のせい
だというけれど、社会のしくみに自分の犠
牲になっただけ。あとは自分が自分を信じる事。」
ここまで少女性と自立性の備わったリ
リックを産み出したレフト・アイとい
う女の子。
「夢の滝（WATERFALLS）を追い掛けないで
慣れ親しんだ川や湖から離れないで。
自己流じゃ無いと何も手に入らないのはわかるけど
そんなにあせらないで」
（WATERFALLS訳詞より）
神様が焦ってしまったのか、それとも
実は夢の滝を追い掛けたい少女の彼女
が大きい運命として流れていたのか、
それはわからない。ただ事故というに
は余りにも、勿体無いと運命をも恨み
たくもなるような、孤高の女の子の死
であった。GOD BLESS YOU...
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