うーん…、しかし寒い！冷夏も冷夏だ。どうしたんだ
今年の夏は。梅雨明けが遅かったのは致し方ない。そ
れでも、その後は、パーッと晴れ渡ってもいいんじゃ
ないのか？せいぜい１週間がいいとこだったぞ。考え
るに台風がいけない。あ、でも台風は例年通りっちゃ、
例年通りなのかしら。まぁ、しかしその辺を契機に太
陽の降り注ぐ夏はしばし、遠くなりにけり、といった
様相を呈してきた。このまま、今年の夏はフェードア
ウトしてしまうんだろうか。そしたら、小学生とかの
絵日記は大変つまらないものになりそうだ。その分、
宿題とかは、割とはかどって日本人の平均的な学力が
上がったりして。高校野球とかも雨中の中、御苦労な
ことこの上ない。やっぱ夏なんてのはリゾート地に脱
出するのが正しいのだろうか。しかし、僕にはそこま
での時間的余裕は無い。御盆の最中も仕事は続くから。
なんて罰当たりなんだろう。こんな奴には仏さんの御
加護などあるのだろうか。あー！こんな事書いている
うちに夏が終わっちゃうよぉ！！

こんな雨模様を横目で見やりながら、何を聴こうかな
なんて考えてみる。あーあ、とうとうホット・コーヒ
ーなんて作りだしちゃった。こんなせせこましいもの
か、日本の夏ってさぁ。もう、やんなっちゃった。ワ
ム！でも聴いてみよう。タイトルもそのまんま、彼等
のラスト・アルバム『THE FINAL』、夏って本来、こ
うあるべきだろう？と僕に投げかけてくれる。

まあ、とはいってもこの作品は夏っぽいニュアンスで
もあるけど、彼等の代表作でもある『ラスト・クリス
マス』が入っていたり、年中聴けるといってしまえば、
そうなるだろう。でも、『ラスト・クリスマス』も少
しミックスが違ったりしていて、お馴染みのメロディ
も夏に聴くと、また違った感触を得る事ができる。冬
に聴くのと違ってうざったくないんだよなぁ。しかし、
このCDは本当に彼等の最後にして最高の傑作として、
歴史に残る名盤の一つである。８０年代のあくまで、
脳天気な明るさと、切ないまでのAORな部分が極上の
メロディと、腰をも揺らすファンクネスで調和されて
いて、ポップ・ミュージックの理想型として成立して
いるといっても過言ではない。

これだよ、これ。少なくとも僕が求める夏ってものは。
変な話、無理矢理にでも夏を求めるのなら、バハメン
などに代表される南国系のビートや、そのまんまハワ
イアンとか、レゲエとか聴けば済むハナシであろう。
手っ取り早いし、その場は自分の中でも解決する問題
かもしれないけど、僕の中ではそれが主ではない。あ
くまで、モードの問題である。自分のテンションを、
「そこ」に持っていくための雰囲気作り。それこそ、
自分の肝である。それが、備わってないと、結局どん
なに夏モードに持っていったって、机上の空論に等し
い。これって自分の仕事にも充分に通用する話で、見
た目の雰囲気は正直、誰でも作れる。センスの有無は
多少あれど。そこに五感、そして第六感も揺らすモー
ド作りこそ、不特定多数の人を揺らすために必要なも
のである。

ホント、これを四六時中考えるのは、神経を使う作業
である。たえず色んなところに興味という名のアンテ
ナを張って、進まなくてはいけない。食べ物の好き嫌
いの多い僕だが、そこにはあまり好き嫌いはしたくな
い。何でも一通りは食ってみたい。そんな興味を抱く
からこそ、今回のワム！も聴けたような気がする。だ
って、もとは８０年代サウンドって好きじゃなかった
のだから。でも、聴いてみると無二の名盤だというこ
とを知った。ジョージ・マイケルという一人のサウン
ド・クリエイターの底知れぬ才能も知る事が出来た。
そして、僕は今日も雰囲気という底のないものに雑食
になっていく。CDという媒体を通して。それが、何の
資格も有しない僕に与えられた才能のような気がする
というのは大袈裟なのだろうか？ああ、とにかく僅か
でもいいから、カラッとする夏を早く与えてほしい。
みんな、好きでしょ？暑いったって、無条件に浮かれ
ちゃう季節なんだから。