PUSHIMの名前は前から知っていた。気になる存在で
はなかったものの、雑誌等のメディアから、そして
口コミなんかで、「PUSHIMは、いいぞぉ」という事
を聞いてきた。がしかし、イマイチ触手が伸びなか
ったのは、そのジャンルが完全なダンスホール・レ
ゲエのカテゴリに入るからだろうか。ジャマイカを
起源とするレゲエの本格派として親しまれてるジャ
ンルを、果たして日本人がどこまで、そこに近付け
る事が出来るのだろうか？とか、やはり、ダンスホ
ール・レゲエの旬は夏なんではないだろうか？とい
う事も手伝い、しばしタイミングを逸した感があっ
たことは間違い無い。しかし、今年は何となく手が
伸びていた。完全に偶然の一致というやつだろうか。
「そういえば…」というタイミングでCDを借りる時
は大概、そのジャンルを求めている時である。食事
とかにもあるじゃん。「あ〜、ハンバーグが食べた
い」っていう時にハンバーグを食べた時の、タイミ
ングの一致したこれ以上ないくらいの美味しさ。人
が自分の食欲に正直に反応するように、僕は自分の
音楽欲に正直に、耳の欲する音楽を聴く。

というわけで初めて聴いてみました。PUSHIMの『CO
LORS』。このCDを選んだ理由は特にない（苦笑）。
強いていうと、タイトルとかになるのだろうか。ジ
ャケとかもよく覚えてないし。よさげな臭いがした
んだろうな。『COLORS」というタイトルに。宇多田
ヒカルの曲にもあるじゃん。その辺がキッカケかも
しれない。だとしたら、サンキュー、hikkiってこ
とになるのかな（笑）。結論としてはこれが大成功
のセレクトになるわけだが。

このアルバムは２００１年に発売されたセカンド・
アルバムだそうだ。ウェブとかを拝見すると、やた
らONE&ONLYの文字が踊る。彼女の座右の銘なのであ
ろうか。でも、これって女性アーティスト（ジャン
ルを問わずにね）を形容するのに、結構大事な事の
ような気がする。誰が起源かはわからないものの、
女性ソロ・アーティストは増加の一途を辿っている。
一時はDIVAなんて呼ばれて、誰かれ問わずそんな呼
ばれ方をされたから、一体何人いるんだよ、という
ツッコミも入れたくなるくらいだが、PUSHIMは何と
なくDIVAと呼んでもいいような気がする。この前、
初めて聴いて何をそんな勝手なことを、と思った人
もいるかもしれないが、彼女の歌を聴いていると、
歌が体の中に染み込んでいるなぁというような印象
を受ける。

要は、その人が歌うためだけに生を受けているかと
いう点がDIVAという神々しい称号を手に入れる事が
できるたった一つの条件であるといっても過言では
ないと思う。もちろん、このアルバムでも共演して
いるUAのように、やれといわれれば演技もできるで
あろうし、他ジャンルの芸術的才能も開花する可能
性も含んでいるかもしれない。がしかし、PUSHIMは、
それを頑に拒みそうな、歌自体をONE AND ONLYにし
ているようなビッと気合の入った覚悟を感じる。

そう考えると天からDIVAに選ばれし者というのは、
実は大変である。ひたすら歌う事に生命を費やさな
いといけないわけだから。そう考えると、jahの国
じゃマイカから波及したダンスホール・レゲエとい
うジャンルの旗手として歌い続けるPUSHIMには、そ
の可能性が高いと言えよう。そこにマイクとレコー
ドがあれば。いや、その前に、自分の体の中に歌う
ための声が染み込んでいる限り。もしかすると、少
し人より時間がかかる作業かもしれないが、必ず花
が咲く時がくる。PUSHIMがDIVAであるならば。PUSH
IMにjahが見守っている限り。その時こそ、彼女に
ONE AND ONLY DIVAの称号を与えようではないか。