(167) 幹事さんも大満足!◆◆m-flo--THE INTERGALACTIC COLLECTION◆◆ |
投稿者:nabes
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活動再開。『THE INTERGALACTIC COLLECTION』、通称、 ギャラコレ。謎に包まれた新ボーカリスト(後にクリ スタル・ケイと判明しましたが)。ボーナスCDの『CO ME AGAIN...AND AGAIN!』と実質的にm-floの頭脳とし て存在している、タカハシタクのやる事は僕をグイッ と引っ張る何かを持っている。ブレイクしたアルバム 『EXPO EXPO』のコンセプトもそうだった。宇宙時代 の万国博覧会をテーマに、インターミッションで、服 部まこに実況をさせたりと、細かい配慮が何か嬉しい というか、心憎い。この心憎さこそ、m-floの好きな ところかもしれない。
例えば、心憎さでいうとピチカート・ファイブのお洒 落なところにも通じるが、あくまでピチカートの場合 は、小西さんが導く小西さんの心憎さ紹介、みたいな ところがあったわけで、その琴線に響かなかったリス ナーというのもいるわけだ。そこが、世間的なピチカ ートの浸透度に繋がっていったわけだが、m-floの場 合は、何と言ったらいいのであろうかボーダーレスで しかも、全方位に気配りがいっているので、何か抜か りがなくて、音に身を委ねている側としては文句の付 けようが無いくらいの完成度を誇っている。m-floの ベストを聴いていて、つくづくそんな気になった。
例えていうならば、あるパーティーに出かけたとして お酒も振る舞われ、美味しい料理もジャンジャン出さ れて、それはそれで楽しかったけど、何か物足りない 感じに陥ることってないだろうか。そして、一度でも そういう場を幹事なり司会なりという形で仕切った事 のある人間なら思うかもしれないが、「俺ならこうす るのに…」とか「何で、あそこでああいう事しちゃう んだろうなぁ」とかダメ出ししちゃったりとか思った 事ってない?そういうナチュラル・ボーン・プロデュ ーサーな体質な人には、m-floの音の完璧さは筆舌に 尽くし難いほどお腹一杯になるはずである。では、そ んなプロデューサー気質じゃない人は、やっぱダメな んじゃないの?ノンノン、ここがm-floの凄いところ で、ちゃんと素人にも伝わるわかりやすさで迫ってい るので、あまり嫌いな人って見た事無い。もし、いた としたら少々イヤらしさがあることなのかな。でも、 そんなイヤらしさも何か覗いてみたくなるというか、 興味をそそられるものがある。逆にいえば、イヤらし いと思われた時点で興味をひいているので、その時点 でm-floの勝ちである。
このベストは前述したように次のボーカルは誰なんだ ?という物語の「起」と、これまでのm-floの総括と いう物語の「結」を勿体ぶらせる感じと満腹感の狭間 の微妙な心理に問いかける、ちょっとこそばゆい出来 に仕上がっている。もちろん今までのm-floのベスト の選曲、しかもボーナスCDでメジャーになって初めて 収録した2曲というレア音源も網羅してあり、ちょっ としたm-flo大図鑑の趣きがある。今までのファンは、 ここまで入っていると大満足だし、このベストで初め てm-floに触れる人にとっても、全てを把握できると っても親切な出来になっている。そして、そんな昔か らのファンやビギナーといえるファンに問いかける、 新しいボーカルというミステリー。逆にいえば、あま り関心の無い人でも興味をそそられる内容になってい て、今回のベストを逃しても次の活動再開第1弾に注 目の集まる結果が生まれてくる。
もちろん、この戦略の全てをタカハシタクが仕掛けて いるわけではないだろうが、どちらかというとVERVAL にはトラックの上を縦横無尽にラップし続ける暴れん 坊的イメージがあり、旧ボーカルLISA嬢には色々な表 情のできる「うたうたい」という役割を全うして第1 期m-floを駆け抜けたとしたら、やはりタカハシタク の貢献度というのは大である。そして、そこに流れる ヒップ・ホップのジャンルを飛び越えたポップ・ソン グの数々は、正直m-floだけじゃ勿体無い気もするが、 第2期に仕掛ける様々なアクションが全てm-floの中に あったとしたら、m-floというグループは非常に贅沢で 豪華でお腹一杯のパーティー空間にしあがる筈である。 そうか、きっとタカハシタクにとっては、m-floって空 間なんだろうな。そう考えると一番楽しいのはタカハ シタクか。なら、その心憎ささえ、一番心憎いなぁと 考えると捉えている彼こそ、最大のリスナーなのかも しれない。その活動再開に心よりの賛辞を贈らせて頂 きます。
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2003年04月24日 (木) 09時57分 |
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