SHAKIRAは可愛い。しかも爆発的に。こんな事を
いうと、「またまた〜、好みじゃないくせに〜」
なんて言われそうである。どちらかというと、
ちょっと歪んだ感じのどこにでもいそうなタイ
プを好む僕の嗜好とは明らかにかけ離れている、
確かにね。でも可愛いんだもん。人なつっこそ
うな甘い顔だちは、まぁ言ってしまえば万人受
けする顔といえよう。でも、アレだろうな。き
っと、ショービズ界に揉まれていくうちに、ア
ギレラみたいにあどけなさの消えたセレブリテ
ィの顔になっていくのだろう。まぁ、それはそ
れでいいとしよう。旬になる前の果実の、蝶に
なる前の蛹のような期間限定の顔を前面にこの
アルバムのジャケに使うというのは、半永久的
に記録として残っていくので、一リスナーとし
ては嬉しい限りである。

そもそも、僕はSHAKIRAという人をここ最近ま
で知らなかった。それこそHMVで配っているフ
リーペーパーで2002年売れたCDのリストを見て
いて何となく気になったのである。勿論、その
時もこんなに可愛いのだから、そりゃ売れるべ
なと思いながら彼女のジャンルがWORLD MUSIC
の欄に位置付けられている事に気付いた。ああ、
このコはR&Bじゃないんだ。と思いながら、そ
のまま時を過ごしてきた。そして、最近ふとし
たキッカケで購入してなるほどと納得した。

基本はラテンなのかな。アコーディオンの音色
がとても寂しくて、少し面喰らったがすぐにア
ッパーなチューンに変化し、そして僕は驚愕し
た。スゲー声が太いのである。こんなに可愛い
顔しときながら（今回、可愛い連発だな）ムチ
ャパワフルで様々な音色の真ん中をグイグイ走
っていくカッコイイ声をしている。逆にいえば、
声につられて様々な音色が引っ張られている感
がする。ロック的要素もあるし、ダンスの踊れ
る感じも備わっているし、何よりもソウルフル
で息継ぎとかも明確に聴こえてきて、そして何
よりもセクシーである。こりゃ、声のロイヤル
・ストレートフラッシュといってよい。こうや
って新星というのは本当に突然やってくる。こ
れだから音楽を聴く事はやめられない。

そして、よく聴くとあるじゃん。『EYES LIKE
YOURS(OJOS ASI)』この歌知ってるわ。こう聴
くと最初にラテン？っていう思い込みを持って
聴いていたけど、そんな一つの幅に捕らわれな
いタンゴやインドテイストなど完全な無国籍つ
ーか多国籍なグローバルに富んだ音に仕上がっ
ている。なるほど、こりゃ一つのジャンルに縛
れないし、それでも敢えてカテゴライズしなく
てはならないというのなら、WORLD MUSICにな
るかと変な感心をしてしまった。

更にビックリするのはこのアルバムのプロデュ
ースをSHAKIRA自身が行っているという点。マ
ジで世界は広い。聴けば聴く程、この人の深み
に引っ張られていくという意味では人間という
不思議な生命体の神秘さえ感じてしまう。正直、
少なからず今年度のグラミーにノミネートされ
るようなメジャーな歌手なんてとタカをくくっ
ていた部分も無いとは言わない。がしかし、音
楽というジャンルにおいては、なるべく好き嫌
いなく聴いてみようという貪欲な姿勢を持って
いることに、こんなに感謝した事は無いかもし
れない。それくらい、カッコよくて人間臭さに
溢れていて、そして何よりも可愛い！去年買っ
ていたら、間違い無く去年のベスト３本指に入
る名作だと思う。もちろん、時既に遅しとも思
わない。なぜならジャケのあどけない可愛い顔
と同じように、２００２年に産まれたこの才能
は、記録として半永久的に残るから。
マジ、大絶賛である。