紛れも無く、名盤というカテゴリの中に入る名作。
ガンズというグループの発火点にしてピークを叩
きこんだ、シンプルなハードロックの王道を行く
快作だと思います。昔はハードロックというもの
にイマイチ馴染めない自分がいまして、ヘヴィ・
メタルと区別のつかないハードロックというジャ
ンルに違和感を感じて聴けなかったのですが、最
近去年のサマーソニック効果もあり、借りてきま
した。これを聴くと当時人気のあったX JAPANと
か現在も続けて人気のあるB'Zとか日本にも多大
なる影響を与えているんですね。そういう意味で
は９０年代を代表するバンドの一つに入るといっ
ても過言ではないでしょう。

イントロダクションというには、あまりにもハー
ドでそれでいて、これ以上ないくらいロックの森
への入り口を高らかに告げる『WELCOME TO THE J
UNGLE』から始まり、冒頭から血管をドクドク活
流させる『IT'S SO EASY』、ロックンロールとい
う名の一大パーティーを、骨の髄まで楽しんでし
まう姿勢をしつこいまでに奏でる『PARADAISE CI
TY』、陳腐だけど壮大、そんな物言いさえもこの
曲の前では霞んでしまう『SWEET CHILD O' MINE』
など、代表的な曲を挙げてみたものの、全てを通
してロックンロールというアクセサリーを粋に着
こなすこのアルバムは、やはり老若男女楽しまな
くてはならないアンセムとして役割を果たしてい
るといってよい。

このバンドを聴くとふと思い出すのが、高田君と
いう専門学校時代の友人です。僕より、４〜５つ
くらいだったでしょうか、年上で今、考えるとあ
りとあらゆるロックをこよなく愛する友達でした。
その中でガンズは彼にとって、ひときわスペシャ
ルな存在で理解できないとこも含みつつも仲良く
させてもらった気がします。とっても大雑把で、
幼稚でそれでいて色んな人の事を考えていてくれ
て、当時は付かず離れずみたいなスタンスで遊ん
でいたものの、今ならもっと話せただろうなと考
えます。ただ、それはもう不可能な話なのですが。
彼はもう、この世にはいないからです。若くして
癌だったんだっけかなぁ、５〜６年前だと思うの
ですが亡くなってしまったからです。それは亡く
なった少し後に聞き、彼の実家に行ったのですが、
そこには彼がこよなく愛したCDが山のようにあり、
「これだけは捨てる事も出来ずにそのままなんで
す」と彼の親御さんが言っていたのを思い出しま
す。

確実に生きてたら去年のサマソニは行ったろうな
ぁ、ガンズはもちろん、ハノイ・ロックスも出て
たし。ていうか、フェスというもの自体、ああい
う祭り空間は好きそうだから、毎年どこかには行
ってたろうなぁ、そういや氣志團みたいなシャレ
の利いた感じのバンドとか絶対好きだろうなぁ、
もはや仮定での話だけど彼が生きてたらという事
を考えます。今となっては、当時の専門学校時代
仲良くしてた人で、今も連絡を取り合っている人
は数える程しかいないし、それも時の流れという
ことで自分の中では解決している話ですが、この
アルバムから聴こえる時代の音に、その頃の想い
出というものが時空を超えて蘇ってきます。その
中でまた会う事もあるだろうし、変わったお互い
を見てガッカリしたり安心したりすることもある
でしょう。でも永遠に会う事が出来ない高田君の
姿、これはこのアルバムだけでしか思い出す事が
出来ません。なのでここに宣言しましよう。いよ
いよ出す出すと噂され早幾年経つガンズのニュー
アルバム、これを僕は自分の心の中で、彼に捧ぐ
意味で購入することを。

ということでアクセル・ローズよ、コンサートを
延期させたり、いつまでもルック・ヒーローなの
はいいけど、早くアルバム出してね、そうでなく
ても全世界中が待ち望んでるんだから。