(125) 私信〜素敵なバカンス〜◆◆HILLBILLY BOPS--LEGEND◆◆ |
投稿者:nabes
MAIL
URL
|
音楽や文章に魔法があるとしたら、それはきっと 素敵な事かも知れない。そういう風に考えたら、 きっと世の中は捨てたものじゃないんだろうなぁ と考えたりする。今回100号を突破したGRAD A LL OVERは、ほぼ個人的なテーマのもとにお送り しましょう。
その名前を聞いたのは、半年くらい前の事でしょ うか。基本的に不特定多数の人達にどれだけ、自 分の文章が伝わるのかというテーマのもとに開始 したこのメルマガの中で、唯一自分の存在を知っ ている方が入会したのですが、その方から是非、 このグループについて書いてくれないだろうか、 という打診を受けた。 しかし、僕はどちらかというと、その時は若干の 躊躇があった事をここに告白しておきたい。理由 は2つあった。まず、このメルマガというもの自 体、自分の気分の中での音楽について記していき たいと思っていたので、基本的にリクエストとい うものを受けたくないなぁという意固地な想いが 一つ(ちなみに、これは後々、色々な方からメー ルを頂いていき、それをもとに色々な音楽を聴き 漁るうちに解消されていった、ということでもし リクエストがあったらメールして下さい。気分と タイミングさえ合えば書く事になるでしょう。) そして、もう一つは、そのバンドHILLBILLY BOPS (以下ヒルビリー)を知らなかったからである。 その時、その人が言うにはCDもなかなか見当たら ないと言う。だとしたら、それでは書けないだろ うと、その時はそれで落ち着いた。
後日、結構経ってからだが、彼らのベスト盤が見 つかったというので、早速持ってきてもらった。 ちょっとした伝説のバンドのようで80年代を駆 け抜けたヒルビリーの歴史、発言、行動が隈無く 書かれていた。そこには、ロカビリーを音楽を愛 して駆け抜けたヴォーカル、宮城宗典の二十数年 の儚い一生が、そして音には今でも色褪せない永 遠のロックンロールが響いていた。 どちらかというと、ロックンロールいうには軽い かも知れない。曲名も『ビシバシ純情!』とか、 『激的バーニングラブ』といった、いかにもその 時代を反映したC調なタイトルが目につく。でも 音は本格的で、それこそブレイク一歩手前で命の 炎が消えてしまった事を残念に思う。何気に他ア ーティストからの信頼も厚く、年表を見ると忌野 清志郎の楽曲提供があったり、宮城宗典の追悼コ ンサートには、バービー・ボーイズ、レピッシュ、 MOJO CLUBなどが参加している。
しかし、興味深いのは同じ事務所内の友人、永瀬 正敏との親交の深さであろう。後に「宮城宗典」 で検索してたところ、永瀬からの手紙というのが あり、ちょうど彼的にも映画『ミステリートレイ ン』の撮影があり、一つの転機を迎えたところへ の訃報に落胆、喪失した彼の様子が事細かに書か れていた。そして、このベストのラストが、そん な永瀬が『FOR THE BOYS...』としてカバーした 『夢見る頃を過ぎても』が収録されている。
「乗れないリズム、古いマニュアル 反比例する僕達の時間。 ちょっと変わった、コミックスの様な 危ない話に乗ってみたくなる
夢見る頃を過ぎた僕達まるで地図のない裸のDNA」 (夢見る頃を過ぎても)
宮城宗典は夢見る頃を過ぎてしまった事に喪失し、 その早すぎる命に終止符を打ったのかは定かではな い。(ちなみに自殺との事です)ただ、そこまでロ ックンロールを愛した人間が自殺などする訳がない ということを信じる事はできる。そして、そんな彼 のDNAを分配された人間は今も不器用ながら生きて いる。永瀬も然り、そしてヒルビリーをGRAD ALL O VERに書く事をリクエストしてくれた、そう、あなた も。彼らの歌のようにこの世がバカンスというのな ら、そのバカンスを心ゆくまで楽しむことこそ、彼 に対する供養のような気もする。そしたら、きっと 人生に素敵な魔法がかかるのかもしれない。
「あの日の事覚えてるかい?今でもまだ感じてくる 激しく燃えた真夏のバカンス」 (バカンス)
その魔法を信じる限り、おそらく僕は■ない。ど うぞ、あなたもこのバカンスを楽しんでください。 せっかく、この世に生まれたのですから。
誕生日おめでとうございます。
|
|
2002年12月12日 (木) 13時36分 |
|