突然ですが、あなたが２０世紀最後に見た映画って何
ですか？早いもので、もう２１世紀になって３年にな
ろうとしているんですね。ドラエもんのようにいかず、
生活は変わらないままですね。話は反れましたが僕が
２０世紀最後に見た映画は『チャーリーズ・エンジェ
ル』でした。そう、忘れもしない２０００年１２月３
１日の事です。

当時、つきあっていた彼女と僕の実家に帰る前に、何
か映画でも見たいねという話になり、よく考えてみた
らその映画は二人が２０世紀に見る映画としては最後
のものになるのだから、何か徹底したものにしたい。
ならば、徹底して笑えるものにしようというテーマの
もと、大ヒット中だったこの映画を朝１の回に新宿で
見ました。そして見たこの２０世紀最後の映画は、馬
鹿馬鹿しさとくだらなさ、そして面白さできっと永遠
に僕の中で残る事でしょう。
物語の内容はまぁ、あえて割愛しましょう。見た事あ
る人も多いと思うし、もし、見た事無かったらレンタ
ル屋さんにでも足を運んでみて下さい。今回取り上げ
るのは映画では無くこの映画のサントラの事なんです
から。

ちなみに、このCDは、買った記憶がない。おそらく、
誰かに借りてそのまま返しそびれて拝借しちゃってい
ると推測されます。まぁ、相手も憶えているのかいな
いのか、言ってこないので、まぁよしとしましょう。
（いいのか！？）中身はまぁ、バラエティに富んでい
て、デスチャのお馴染みの『INDEPENDENT WOMAN PART
1』から始まってエアロスミスのハードなナンバー、
FATBOY SLIMやAPOLLO FOUR FORTYのビッグ・ビート勢
はクライマックスに近いシーンで効果的に使われたり
する。そうかと思うと、ディスコ全盛の頃の曲やマー
ヴィン・ゲイの渋いナンバーも入っていたりして、映
画のサントラして聴かなくても充分に楽しめたりする。

商業サントラ。映画と直接関係なくても充分に楽しめ
るスコアを、新旧問わずのアーティストが演奏してい
る、まぁそんな感じのサントラをこう呼んでいる、僕
だけかなぁ。それならそう呼んでおくと何かと都合が
いいのでインプットしておいてほしい。もちろん、結
果論として映画のシーンに入っている事でその情景が
サントラを聴いても思い出すという効果もあるし、そ
の映画の為に書き下ろしたという作品もあるかもしれ
ない。でも、別にサントラに入ってなくてもいいよね、
という類の曲を集めたアルバムであるが、最近の映画
というのは、基本的にはこの商業サントラが市場を占
めているといってもよい。僕が最初に気が付いたのは
『ラスト・アクション・ヒーロー』という映画（主演
：シュワちゃん）のハードロックだらけのサントラを
友達に借りた時に感じた。ちなみに僕の中では『トレ
スポ』や『パルプ・フィクション』なんかもこれに該
当する。（パルプはタランティーノの趣味という極私
的サントラという見方もあるが、隠れた名曲を掘り起
こすという作業に商人の逞しさを感じる）

別に商業サントラが悪いといっている訳では無い。た
だ、その商業サントラ中心の世の中で「これはサント
ラじゃないよなぁ」ていう類のサントラも増えたとい
う弊害がある。つまりは曲を聴いても映画の中に入り
込んでない、「このシーンに何か曲を入れたいなぁ。
何でもいいや、このバンドに新曲でも書き下ろしても
らえばサントラの宣伝にもなるし。」みたいな浅はか
な計算の見隠れするサントラも多くなった。
では、『チャーリーズ・エンジェル』はどうか？こん
な事いうとアレだが、エアロスミスは、かなりキワド
イ。映画のシーンは後づけで「こんな曲仕上がりまし
た」と先に出来て、無理矢理シーンにつっこんだので
はないかという面も見えるが、曲を聴けば、「あ、チ
ャリエンの曲」と思い出すのでギリギリセーフといっ
た感じか。おそらく、映画事体がとても大味な映画な
ので、それさえも凌駕してる感がある。軽やかなシー
ンはメチャお気楽に。ラブシーンはベタベタに甘いナ
ンバーで、スリリングなシーンにはドキドキ感をこれ
でもかと演出するようなナンバーで構成されているの
で、何か気にならない、というよりも一体感がある。
だって、どう考えてもエンドロールのナンバーでチャ
リエンの３人が演奏している曲『Tangerine Speedo』
はCAVIARという男のバンドの曲なんだけど、何かあの
３人が演奏しているような錯覚に陥るんだもの（特に
ドリューね）。

僕は映画の定義として「大衆娯楽」である。というの
がある。つまりは楽しくなくては映画じゃないみたい
なところがあるので、大幅に笑えたり泣けたりしなき
ゃ心には響かない。そういう意味では、『チャーリー
ズ・エンジェル』を２０世紀最後の映画として腹が抱
えんほど大笑いして締めくくれたのは、よい思い出で
ある。それを演出してくれた大味な曲達は、今のとこ
ろ、商業サントラとしては最高峰に入る作品なので、
拝借した人が言い出してこない限りは、愛聴していよ
うと思う。