とても不思議な事なんだが、前の彼女も
その前の彼女も『TRUE ROMANCE』という
映画が一番好きな映画だった。その時は
ああ、結構有名な映画なのかな、とも思
ったが、そうでもないらしい。でも、そ
のお陰で、すっかり僕もこの映画が好き
になった。というより、もともと好きだ
ったのが助長されたといった方がいいか
もしれない。

知っている人も多いかもしれませんが、
あらすじを。ソニー千葉とエルビスをこ
よなく愛する主人公の誕生日に娼婦をプ
レゼントされるが、一夜にしてその娼婦
と恋に落ちる。んで、一緒に逃げようと
いうことで、その娼婦を雇う奴を銃で殺
し荷物を持ってくるのだが、そこには荷
物ではなく、大量の麻薬が。じゃ、これ
を売ったら一気に大金が入って、どこへ
でも逃げられる。ということでハリウッ
ドに買い手を探しに逃げるのだが、そこ
にはマフィアの手が・・そこで最後は警
察とマフィアと主人公達とがドンパチや
らかすっていう、この説明だけだと、や
たらドタバタしてる映画です。

タランティーノの原作で、ラストシーン
は原作と違うらしいけど、かなり楽しめ
る。出演も割と豪華で、主人公はクリス
チャン・スレーター、パトリシア・アル
クィート。脇をデニス・ホッパー、ゲイ
リー・オールドマン、ヴァン・キルマー
クリストファー・ウォーケン、んで更に
脇で売れる前のブラピなんかも出てたり
している。

この映画の凄く好きなとこは主人公達が
凄く愛し合っちゃってるとこ。彼女を紹
介するために、長年音信不通にしてた父
親に会いにいってみたり、友達に電話し
てる途中にファックしてみたり。時に無
邪気に、時に必死に愛しみ守ろうとする
姿がなんか凄くいい。そんな二人に翻弄
されながら、見守る父親であり、友達で
あり。そんな人情的なものもありで、何
度観ても、同じとこで泣き、そして同じ
とこで微笑んでしまう。

そして、そのサントラは昨今のサントラ
と違い、物語に忠実な曲の挿入がされて
いる。ジャンルは古き良きロックンロー
ルあり、甘いバラードあり、鼓動を高ま
らせるハウス・ビートあり、バラバラな
んだけどわかりやすく、「この曲はこの
シーンだ」と一発でわかりやすい。まぁ
それくらい起伏に富んだ物語なんだろう
な、きっと。そんなわかりやすい曲群を
ジャケットには「VERY COOL MUSIC」と
書いてある、そう、このサントラは凄い
クールなんだ。色んな意味で。

その中で特にグッとくるのが１曲目と１
１曲目のこの映画の音楽を担当している
HANS ZIMMERという人の木琴の調べだろう
か。１曲目はメイン・テーマというべき
懐かしく優しい、暖かい音が伝わってく
るが、１１曲目に関しては途中で銃撃戦
のダイナミックさ、そして主人公が死ん
でしまったの？っていう悲しい響き、も
はや交響曲のようなドラマチックな調べ
である（結局は死なないけど）。

前の、前の彼女とつき合っている頃から
通算すると何回観てるだろう。７〜８回
は観てるかな。別れて一人でいる時も観
ているからなぁ。DVDプレーヤーも買った
ので、ソフトもきっと買ってしまうだろ
う。きっと生涯で最も観る映画になるだ
ろう。できれば、次に好きになる人も、
この映画を好きでいてほしい。たとえ、
観た事がなくても見せたら気に入っても
らえるような人がいい。それくらい愛に
生きちゃってる、この映画の二人を見る
と何度も羨ましがっちゃう僕がいる。
そんな理想の「愛し愛されて生きる」姿
の決定版なのである。