皆さんは無条件に「あっち」側にいける
曲ってありますか？まぁ、「あっち」の
定義は人それぞれとしましょう。何とな
くの感覚でいいんです。「あっち」側。
きっと、それは日頃あくせく動いている
自分とはまるで正反対の想像だにしない
世界としましょう。何もかもを忘れる事
のできる平穏な世界。実際にはそれでも
忘れるわけなどないのでしょうが、それ
でも人は癒しなり気分転換なり色んな方
法で、「あっち」側を求めます。確かに
「こっち」側は楽しい事も多いけど、楽
しくない事の方が多いのかもしれないし
ね。

僕には例えば邦楽でいえば、ブルーハー
ツ、ハイロウズといった絶対的な存在は
確かにいますが、いうても日本語の重み
というものは日本人が一番知ってます。
なので無条件に「あっち」側にいけるか
というと必ずしもそうではないかもしれ
ません。だとしたら、ジュディマリ位に
抜けている方が邦楽的には僕は推すかも
しれません。

その点、洋楽というのは下手に語学に長
けていなければ、そして意味を問わなけ
れば「あっち」側にいきやすい音楽なの
かもしれません。そして言葉がミニマル
であればミニマルである程、その率は高
くなっていくでしょう。そういった観点
でいくと断然、僕の中ではUNDERWORLDの
『BORN SLIPPY』がピカイチといえる楽曲
でしょう。

トレインスポッテイングの主題歌として
有名な曲ですが、最近は車のCMにも使わ
れてもいるので、御存知の事も多いと思
われるでしょう。ゆったりした音の波、
響き渡るミニマルな言葉。心臓を高揚さ
せるファンファーレのようなビート。果
てしなく続くこのパーティーは音のシル
クロードを越えて、人の起源にまで追求
して、そして宇宙へと旅立てせてくれる
壮大な物語のような11分です。（ロング
バージョンの話ね）
そこにはもちろん、パーティーならでは
の快楽、歓喜というものも存在するけど
この曲で感じるのはあくまでストイック
に音から地球を、そして宇宙を脇目も振
らずに追求、邁進する頑な決意を感じる。

となると、やっぱあれですかね。ただた
だ、楽しくとはいうてもやっぱ努力が必
要なんでしょうかね。ただの「楽しい」
は確かに自分は楽しいかもしれないです。
ただ、他人から見たらその光景は案外、
不快に見えるかもしれません。自分も、
そして他人も、そう全体を楽しくさせる
には「楽しくいこう！」という頑な決意
そして、そこに至るまでの禁欲的な姿勢
が結局のところ必要なんでしょう。そう
すると、この曲のように一過性ではなく
何年も時を経てもアンセム（祝歌）とし
て人の心に生き続けるのでしょう。

最初に書いた「あっち」側。全てを忘れ
る事の出来る世界。それは日々動く我々
なら誰しでも行ける世界です。目一杯の
「あっち」側に行く為に、さぁ今日もガ
ンバって働くとしましょう。そして息を
つくのも忘れる位頑張ったら、またこの
CDをかけるとしましょう。「再生」のス
イッチを押せば、ほら、すぐに「あっち」
側にいけますよ。