どんなに商売上手といわれようが
自身のソロのコンサートでビート
ルズ・オンパレードだとしても、
僕はポールの曲って好きである。
確かに先頃亡くなったジョージの
曲も好きだし、勿論ジョンの曲も
すげー好き。でもポールの曲には
普遍の調べに溢れてる。いつ、い
かなる時でも聴けるような、そん
な「いい曲」の連続である。

かつて東京にいた頃、とっても贔
屓にしてたバーが高田馬場にあっ
た。といっても、行ってた頃は、
昼からやっていて、喫茶店の風情
だったが、その後、時間を遅くし
ていき今はバーとして営業してい
る。僕は当時つきあっていた彼女
に紹介され、そこに通い詰めた。
その頃、そこはビートルズの曲を
流し、おいしいマフィンを食べさ
せてくれ、貧乏だった僕は（あ、
今でもだけど）そこで、コーヒー
を２杯くらい飲みながら、だらだ
らと何時間もい続けた。

時は経ちその彼女とも別れる事に
なり、その彼女の為に就職した仕
事に働き続けながら、終わった後
は直々飲みにいっていた。ちょう
どその店もバーに様変わりをする
頃で、夜７時くらいから営業を始
めいていたので、ちょうど仕事の
終わる頃に寄ると、まだ客が僕一
人だった事が多かった。そこで、
若かったので、その彼女を思い出
してはしんみりしていた時に、マ
スターが、かけてくれたCDはいつ
もポールのライブだった。特に、
『BAND ON THE RUN』『LIVE AND L
ET DIE』そして果てしなく続く『
HEY JUDE』。かつて彼女の誕生日
にこの曲を必死で弾き語りで覚え
た僕にとって、思い出の曲を知っ
てるマスターが「俺も好きだから」
という理由で『HEY JUDE』をかけ
てくれた。この曲の優しいとこが
好きだった。そして『LIVE AND L
ET DIE』のドラマティックな構成
がビートルズというと、ジョンと
いう僕のイメージを覆し超一流の
シンガーソングライター・ポール
の印象をクローズアップさせた曲
としてとても好きである。

その後、仕事も変わり、なかなか
疎遠になった事もあって、このポ
ールの『ALL THE BEST』を中古で
購入した。アレンジは確かに少し
色褪せて古臭く聴こえる時もある。
でも、流れるメロディは永久不変、
悲しいようで優しくてドラマティ
ック。あの頃の青臭くて、苦笑し
てしまう思い出も鮮やかに蘇る。
でも、それもあったからこそ、今
に繋がり、今の自分はそういう事
もあって、こんな大人になった。
そんな過程の淡い思い出の一枚な
のでした。