(229) 古き良き新しき◆◆BEASTIE BOYS--TO THE 5 BOROUGHS◆◆ |
投稿者:nabes
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まぁ、とにかくオッタマゲタ。一気に体内の温度 がグッとあがった。最近、少し停滞しているなぁ と感じる人は、是非ビースティー・ボーイズの新 しいアルバムである『TO THE 5 BOROUGHS』を聴 くといい。冒頭の15秒で3度は温度が上昇、と っても高揚した気分に陥るであろう。 いや、陥るなんて言ってはいけない。マジでヤバ い。とにかく、無茶苦茶カッコイイんである。
しかし、久しぶりのビースティーズである。何せ 前作『HELLO NASTY』から数えること約5年余り。 つまりは、21世紀になって初、ということでは ないだろうか?寝かせに寝かせ過ぎだよ。そして およそ5年の歳月を経て作られた快心の一打は、 まだ、彼等がビースティー・「ボーイズ」だった 頃に心を焦がした珠玉のオールド・スクールのヒ ップ・ホップだった。
ただ、前作『HELLO NASTY』の頃から回帰への方 向はだいぶ、固まっていたといってよいだろう。 その方向性に来るべき宇宙世紀の浮遊感をミック スさせたのが前作だとするのなら、今作はズバリ 地に足のついた地球の音楽といっていい。いや、 地球というよりは彼等が住んできたニューヨーク の音楽だな。ビースティーズを長年聴いてきた人 からいわせれば、やっと戻ってきたのねというよ うな雰囲気を携えている。
それには、やはり9・11など充電中に起こった 世界的な大事件、これは避けては通れないであろ う。要は彼等も宇宙に飛んでいる場合じゃなくな ってしまったのだろう。一旦、地上に着陸して周 りを見渡すと一面の瓦礫の山に覆われた我が故郷、 ニューヨークへの彼等なりの鎮魂歌のようにも聴 こえてくる。軽快でアッパーな3人のラップ、途 切れることのないスクラッチ、必要最低限に近い リズム、一言にあの頃の音楽をとはいうものの、 悪ガキから中年になった彼等には、その作業とい うのは結構大変なのでは?と思う。しかし、彼等 は見事にビースティー・ボーイズを復活させた。 元気な流行発信都市ニューヨークの、その中でも ひときわクールな悪ガキに。これで、彼等はまた 一つ、自分らの歴史を塗り替えたといってもいい だろう。
しかし、ただ回帰させただけだとしたら、それは ただの懐メロになってしまっていただろう。「あ あ、あの頃カッコよかったビースティーズもねぇ …」なんて失笑の対象になっていたかもしれない。 それに終わらなかったのは、やはり自分らが愛し てきたニューヨークの偉大なる復活を願うという、 明確なコンセプトに他ならない。ただのパーティ ーではなく、強い信念を持った復活祭。そこに花 を添える古き良き黎明のヒップ・ホップ。そうい う、情勢も踏まえての作品なだけに、そこにその 頃の音から、更に一皮剥けた新しき音へと変質し ている。
この夏には久しぶりに来日する悪ガキども。観に 行く人は是非、確認してきてほしい。更に大きく なり、強い音を携えた古き良き、新しいビーステ ィー・ボーイズの誕生を。きっと、ライブだった ら5度は体温が上昇しちゃうかもよ。
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2004年06月26日 (土) 18時20分 |
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