先日、７月２１日、僕は３０歳になった。というわ
けで３０歳初の雑文となるわけであるが、この１週
間は仕事上で何ヶ月かに１回の割合でメチャクチャ
忙しくなる時期で、正直いえば、誕生日を祝うとい
うタイミングではなかった。ようやく昨日辺りから、
落ち着いてきたので今こうして雑文を書いている。
さて、こういう時のテーマって案外悩んだりするも
のだ。もちろん、日々流れる音楽をテーマにしたの
がこのGRAD ALL OVERなわけだが、仕事で音の編集
などもしてるので、結局は仕事絡みになってしまう
傾向は否めない。でも、本当はこの雑文にはそうい
うしがらみは、敢えて抜きにしたいというのが、本
音である（実は、仕事絡みで聴いたCDの文章も過去
にあるけどね）。ということで、ボーッと掃除でき
なかった自宅を見渡すと、ウルフルズの『BANZAI』
があったので、久しぶりに聴いてみる事にした。景
気もいい感じだし、これならしばし仕事を忘れられ
そうである。

しかし、ウルフルズで思い出すのが、去年のロック
・イン・ジャパン・フェスティバルである。あの夏
の眩しい太陽のもと、ベテランとしてエンタテイナ
ーとしての存在感をタップリ見せつけてくれたウル
フルズには、前日に観たTHE BOOMと並び、前回のフ
ェスのMVPといってもおかしくないショーだったと
思う。それから１年経ち待望のジョン・Ｂ・チョッ
パー復帰、１５周年（だっけ？）とか色々あったわ
けだが、何か聴いてるといい３０代を送っているな
ぁという気持ちになる。
かれこれ５年くらい前から、３０代について意識す
るようになっていた。やはり、今の仕事に就いたの
がちょうど５年前になるわけで、正直後先の見えな
い職種なので「僕はどのような３０代を迎えている
のだろうか？」という疑問を持っていた。結婚して
いるのだろうか？違う仕事でもしているのだろうか
？つーか、この世にいなかったりして（苦笑）とか
ね。

結局、年数を経て僕はあの頃のままである。もちろ
ん、多少の変化はあった。髪の色や眼鏡のフレーム
など外面上の変化から、ものの考え方、笑い方とか。
でも、結局仕事は全く変わらないし、彼女は変わっ
たけれど結婚とかはしてない。そして、まだこの世
にいたりする。西から東へ世話しなく動き回ってい
るのは、昔からだし、たとえば仕事なども自分の責
任感のもと、キッチリではないにしろやっている。
こういう人格形成というのは、そんなに簡単に変わ
るものではないことが、よーくわかった。

『BANZAI』は、それまでのウルフルズからの一大転
機作として、大ヒットを飛ばした。かくいう僕自身
も『大阪ストラット』あたりから、このバンドに着
目するようになったので、大ヒットの片棒を担いで
いる事になる。このアルバム自体は他にも『暴動チ
ャイル』や『おし愛　へし愛　どつき愛』などの佳
曲から『ガッツだぜ！』『バンザイ〜好きでよかっ
た』などのヒット曲まで、文字どおり珠玉の出来だ
と思う。今、聴いてもこれで売れないと嘘だろう！
？的な説得力があるが、考えてみると、ウルフルズ
は昔からこうなんだよね。そして、これ以降もこの
路線でずーっと、進んできた。俗にいうA.A.P（ア
ホアホパワー）ってやつか。一貫したスタイルでい
つのまにか、１５年選手として独特のポジションを
築いてきた。理由あって脱退したメンバーも戻って
きて、ファンの暖かい声援を浴びながら、今日もこ
のバンドは日本のバンドには、あまり出す事の出来
ない「黒い」うねりを響かせている。

結局、長く続ける事はひどく難儀な事である。ウル
フルズのように、山もあれば、谷もある。でも、き
っとバンドの音なんかと一緒で、生活も長く続ける
事により、ハッキリ見える事もあったりするわけで、
それによって人からの信頼を得たり、新しい笑い声
になったりもする。それが、やめられないからこそ、
僕は生きているわけだ、今日もこの場所で。そう考
えると長く続けることもまたロックなわけで、それ
もまた捨てたもんじゃないなと思う、３０歳初の雑
文でした。