(184) 6月のパワーポップ◆◆weezer--maladroit◆◆ |
投稿者:nabes
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しかし、梅雨である。しかも、台風とかが来ようと してたらしいではないか。この何週間かは、日本全 国異様にハッキリしないお天気なんであろう。うち も思いきって模様替えしたり、布団をタオルケット にしてみたりと、夏仕様にしてみたのはいいんだけ れど、あまりにも寒い日とかあると、果たして時期 が早かったのではないだろうか?と疑問にかられる 時もある。そうかと思うと、とっても暑くなったり しやがって。僕は夜の仕事をしているので、仕事が 終わるのは当たり前の話だが、次の日である。つま り、前の日寒かったからといって暖かめの格好(と いっても、気持ちね)をしていいったら、次の日は カンカン照りの陽気だったりする。まぁ、正直イラ イラもしてくる。
そんな折に歯医者に通わなければならなくなった。 これもまた正直、億劫なもんである。別に遠いわけ ではないんだけれど、傘とか差して、わざわざ行か なくてはないらないという行為に辟易する。服は、 それでも塗れてしまうし、でも行かないと歯は痛い し。そんなモヤモヤした季節にはちょっとパワフル なものでも聴こうかなと思い、weezerの『マラドロ ワ』をコンポに差し込んだ。がしかし、イマイチ勢 いがつかない。
おやおや?これはどういうことだ。やはり6月とい うのは音楽を聴くという行為さえもアンニュイにし てしまう何かでもあるのだろうか。だとしたら、き っと6月にはリリースするもんではないなぁなどと、 変な事を考えてしまったが、もしかしたら、これは 6月のせいではなく、『マラドロワ』のせいだった りしないか?と思い、旧譜新譜を織りまぜて、とっ かえひっかえで聴く僕ではあるが、このアルバムを じっくりと聴いてみる事にした。
『マラドロワ』は、weezerの現段階での最新アルバ ムである。その前々作である『ピンカートン』がセ ールス的に落ち込み、『THE GREEN ALBUM』で復活 するまでに、膨大な時間を要したリヴァースくんが、 今度は湯水のように作品を産み落としていき、セル フ・プロデュースという形で出された作品が『マラ ドロワ』である。以前のような泣き虫くん的キャラ を払拭して、
「下がってな、ベイビー。オレは一匹狼」 (アメリカン・ジゴロ訳詞) 「だから僕は方向を変えて、違う見方を することを学ぶ」 (デス・アンド・デストラクション訳詞)
みたいな感じで非常に強く逞しくなっている詞や、 重いリフの曲が目立つ。まぁ、何もそこまでと思う くらい、極端なシフト・チェンジなわけで、その一 方でそんな極端なチェンジを誰よりも自覚している リヴァースくんは自分のことを「マラドロワ」(= 不器用な)と評する。そんな周りの見えている感じ がとてもクレバーだったりするわけだが、どうも、 未だシックリこない感じがある。やっぱり、そんな リヴァースくんは、見たくないというのが、僕の偽 らざる本音なのかもしれない。
がしかし、考えてる。つまりは、これはやはり6月 に聴くものとして正しいのではないだろうか?とい うことを。キーワードはギャップであろうか。暑く なる前、そして未だ肌寒い天気と僕の御機嫌のギャ ップ。いつまでも泣き虫じゃいられない、でも未だ にリスナーは泣き虫で内省的で、胸がキュンとしち ゃうくらいのパワー・ポップを求めていることのギ ャップ。これが何ともうまいブレンドを見せて、じ っくり聴いているのではなく、実は病み付きになっ ていたのであるかのような錯角を覚えた。やはり、 僕の中ではナンバーワン洋楽バンドである。たまに は、そんなヘヴィー・ローテーションも良しとする か。そして、夏には絶対、1stを聴こうではないか。 少しだけ、そんな梅雨の季節が好きになった6月の ある日であった。
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2003年06月23日 (月) 17時12分 |
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