久しぶりに彼女と別々の日曜日を過ごした。二人と
も週６で働いているので、日曜くらいはゆっくり、
二人でいよう、と決めていたが、お互い特別な用事
があるわけでもなく、単純に丸一日会わないという
のは初めてではないだろうか。何となく出来なかっ
たことをしたくなるのが人情というものである。
ちょうどいい機会だったので『８MILE』でも観にい
こうかなと思ったので、仕事場で少しだけ仮眠を取
り、出かける事にした。外は梅雨に入り、何となく
スッキリしない感じであるが、そんなことはノー問
題。自分の思うままのペースで動いてみることにし
た。自分の本能のままに。

まぁ、とりあえず軽くコーヒーでも飲むとしよう。
近くの「サンマルク・カフェ」にでかけた。もしか
したら地方の人には馴染みがないかもしれないけど、
ここの「チョコクロ」が大好きである。ただのチョ
コレートの入ったクロワッサンなんだけど、焼き立
てを提供するので、チョコが溶けてて美味しい。こ
この「サンマルク・カフェ」の座席はソファになっ
ていて、座り心地も満点である。そこで、軽く飯で
も食ってから行動するとしよう。おっと、その前に
そこで少し長居をしてもいいように本でも買ってお
こう。本屋で迷いに迷って「別冊宝島」のプロレス
関連の本を買った。このくらいライトで、自分の趣
味に忠実な方が、かえって僕の場合は読みごたえも
あって、オツなもんである。

しばし、熟読しながらパンを食い、カフェラテも飲
み終わり、さぁ行動開始だ。いつもなら電車を使っ
て移動するとこだが、ここは一発歩いて動こう。そ
ういや、仕事以外でホント運動なんてしてない。た
かが、歩くといえど、２０分以上はかかるだろうか、
いい運動になるってもんだ。外はまぁ、暑くも無い
し、寒くも無い。お散歩がてら人物観察も交え、歩
いていこう。いつもと違う道を通るのも一興。思え
ば、この辺の道も詳しくなったもんだ。お、そうい
やしばらくi-podを聴いてないな。久しぶりにi-pod
の再生を押してみた。YUKIちゃんの『恋人よ』がい
い気分でかかる。レゲエのリズムにYUKIちゃんのロ
リータボイスが心地よく、ちょっと長い道中もヘッ
チャラである。あっという間にみなとみらいのワー
ルド・ポーターズまで着いた。

あいにくマトリックスの関係もあれど、映画館はひ
どく並んでいて、予定を変更、買い物でもすること
にしよう。そういや、服とかも買ってない。僕は帽
子が大好きなのだが、帽子も買ってないな。よし、
今日は帽子を買う事にしよう。吟味に吟味を重ねた
末に、青の帽子を一つ。それと、そういや座布団が
不足しているので座布団を２つ。そして、和風の照
明を買って帰ってきた。よし、部屋の模様替えでも
してみようか、そんな心意気である。

ということで今回は、YUKIちゃんの『恋人よ』でい
こうかと思ったが、それは少し前にアルバムごと書
いているので、違うものをと考えた。ゆったりした、
自分のペースで過ごすにちようび、誰にも邪魔され
ない空間、しばし、彼女の事も忘れちゃうくらいの
至福の時間。それを表すアルバムって何だろうなぁ、
帰りの電車で考えて、家に帰った瞬間、あるCDをコ
ンポに入れた。少し前にレンタル屋で中古で売って
いて、すぐには聴かなかったものの、いつか聴くで
あろうと確信していた。
こんな空間にはorange pekoeの『organic plastic
music』がピッタリである。

アコースティックとオーケストラとジャズとボサノ
バとが混じりあったある意味ノンジャンルの音楽。
そこにはちょっとした懐かしさがあり、『恋人よ』
よりも少し速めのテンポながら、少し目をつむって
聴きたくなる。帰ったら模様替えをしようと思った
が、なんかどうでもよくなってきた。よく考えたら、
音楽もこんなにゆっくり聴いてなかったかもしれな
い。部屋をたゆたう五線譜の波が見えてくるようで
ある。気がついたら眠ってしまっていた。部屋の模
様替えも全くするのも忘れて、起きたら「ガキの使
い〜」がやっていた。まあ、これはこれでいいか。
部屋にはこのアルバムの『やわらかな夜』が流れて
いた。

「やわらかな夜　月明かりが浮かぶ
　ミルクティーを飲みながら
　やわらかな夜　待ち焦がれている」
　　　　　　　　　　　　　　　　（やわらかな夜）

急に彼女にメールを送りたくなった。彼女からの返
信は「寝過ぎだよ」と返ってきた。まぁ、いいか。
久しぶりに完全にリラックスした日曜日だった。