久しぶりのシングルである。まぁ、正直な話、シン
グルの方が簡単かもしれない。何といっても標的が
１曲なわけだから、ウダウダ蘊蓄をたれるにはもっ
てこいかもしれない。がしかし、あくまでGRAD ALL
OVERは日常に流れる音楽への雑文なので、アルバム
を中心に書いている。あと、大概シングルはレンタ
ルしてi-tunesなり、MDなりにダビングしてしまう
ので、自分のものという意識はどちらかというと希
薄である。そんな中、CDを頂いた。これなら自分の
だという意識が生まれる。ただ、何で頂いたかはイ
マイチ不明なのだが。その方曰くあくまでお詫びと
いうことなのだが。全く忘れてた事だし、忘れてた
ということはそこまで僕も気にしていないというの
が事実で、実はもらうに忍びない感じなのが本音な
のだが、貰えるものは何でも貰うという自分のポリ
シーに基づいて、ありがたく頂いてここに雑文化し
てみようと思う。『世界に一つだけの花』。御存知
スーパーグループ、ＳＭＡＰのミリオン・ヒットで
ある。

こと何ごとにも完璧な仕事をするＳＭＡＰとして、
音楽という側面でも見事な楽曲を提供しているわけ
だが、やはり最近はバラエティなりＴＶの方に目が
いきがちでよくよく考えてみたら久しぶりのヒット
である。がしかし、クレジットを見ると作詞・作曲
・編曲／槇原敬之、ありそうでなかった納得の人選
であり、槇原敬之自身としては久しぶりの表舞台と
いった趣がある。欲を言えば、槇原個人のヒットと
いうのが理想だが、こういうワン・クッションって
案外大事なのかもしれない。そういえば、スガシカ
オだって『夜空ノムコウ』からのワン・クッション
から一気に表舞台の階段を昇っていった。だとした
ら、次に繰り出される槇原敬之の普遍的名曲、これ
に期待したい。

話をＳＭＡＰに戻そう。実はこのCDを頂くまで、こ
の曲を聴いた事がなかった。夜働いてる関係もある
が、すっかり、こういったヒット・チャート関連に
は縁遠くなったなぁと思ったが、聴いてみて「おや
？」と思うものがあった。これを感じているのはも
しかしたら僕だけではないかもしれないけど、現在
のＳＭＡＰぽくないよね？というか、昔のＳＭＡＰ
つーか、何か典型的なジャニーズ事務所っぽい聴き
ざわりを感じた。ＳＭＡＰというより、V6とか、嵐
とかその辺が歌っているのを聴いた方がシックリく
るというか。これを今のＳＭＡＰが果たして歌う必
要があったのだろうか？チト疑問に思うことがある。
がしかし、色々考えると今のＳＭＡＰがこの歌を歌
うのには、大いに意義があるようにも思える。そし
て、この歌を歌うのは日本で唯一ＳＭＡＰという国
民的グループが歌うにふさわしい。

どういうことかというと、日本全体への警告なのか
もしれないなということ。話が幾分デカクなりすぎ
たので、芸能界に話を狭めると、イマイチ無個性で
誰がどの番組に出てても、誰の番組なのかもわから
ない、不透明なバラエティ番組。一つ、何かムーブ
メントができると、やれカバーだ、コーラスグルー
プだ、メロコアだ、と右へならえの音楽ビジネス。
つまり全体が可も無く、不可も無くといった感じで
流れていってしまっている現実をＴＶ、音楽で天下
を収めているＳＭＡＰが歌う事でチクリと風刺して
いるようにも思える。実際作者の槇原敬之だって、
最初は『どんなときも』あたりで、その頃に嫌とい
う程流れてた「頑張れソング」のその他大勢だった
ものの、キャリアを積むことによってオンリーワン
のマッキーソングを確率させてきた。ＳＭＡＰも最
初はジャニーズ事務所の中の一つのグループという
括られ方をされてきたが、今では５人が５人とも全
くカラーの違った活躍をしてきて、そしてその集合
体としてのＳＭＡＰは無敵の説得力をもつまでにな
った。

結局、一人一人が個性を持って生きるっていうのは
難しい話だ、あまりアクが強くても叩かれるし、な
らば無難に収まれば、誰にも迷惑をかけないかもし
れない。でも、それじゃ何も新しいものは生まれな
い。極論かもしれないが、生き長らえているだけで
ある。神輿の乗る人、担ぐ人、そして神輿を作る人、
細かくいえば、もっと色々な役割というもの、これ
をお互いの役割を尊重して、自分の役割を全うする、
そしたら立派な神輿はかくも祭りの主役になる。つ
まり、オンリーワンというものの、要はもっと人は
仲良くなれるという「one for all, all for one」
の精神がこの歌には溢れてる。

そう、人はもっともっと仲良くなれる。２１世紀の
指針となるべく名曲だと思う。やはり、ＳＭＡＰが
歌うのが大正解なのだ。