大体、僕は給料が出るとCDを買いに出かける。まぁ
まとまったお金もあるし、１ヶ月もすると欲しいCD
などは山のようにある。その中で厳選して、何枚か
（大抵、４〜５枚かな）を購入して、自分のタイミ
ングに合ったときに聴く事にしている。ちなみに、
先月は５枚買ったのだが、意外に３枚はまだ聴いて
無い事に気がついた。これは僕の中では異例のこと
だった。さきほども言ったように、自分のタイミン
グで〜と言ったが、大概は購入して１週間ほどがそ
の旬である。そりゃ、そうだ。欲しくて買ったのだ
から、聴いてみたいと思うのは人間の本能なわけで、
きわめて自分の物欲に従順にしているつもりだが、
その先月買ったCDは不思議とその旬を逃してしまっ
た。ちなみに、列挙していくと、氣志團、ノラ・ジ
ョーンズ（この２つは最近書いたので、御記憶の方
もいるかと思います）リル・キム、ジェニファー・
ロペスの新譜、そして、今回のテーマであるYUKIち
ゃんの『COMMUNE』である。

しかし、何でだろうな。確かに買った直後は仕事で
大忙しだった。その忙しさと春の麗らかな気候にや
られて眠る事に従事してしまったので、寝るか仕事
してるか、どっちかだったように思える。４月の頭
に仕事もある程度はカタがつき、聴こうかなと一瞬
思ったのだが、まだタイミングじゃないと判断した
のか、億劫だったのか、それは聴く事がなかった。
でも、何となくはわかってた。その聴いてないCDの
音調を予測していたからだろう。リル・キムは御存
知の通り、ヒップ・ホップ。ジェニファー・ロペス
はR&Bで前作、前々作よりも力が抜けた感じに仕上
がってるとか、そしてYUKIちゃんにしても然りであ
る。要はすべて、ゆったりテンポの作品なんだろう
なという予測である。ならば、そんな作品は自分の
中で本当にゆったりした時間に聴きたくなり、眠り
と仕事の狭間の僅かな隙間である時こそ、その時！
と思い、こんな時期になってしまった。そして、そ
の時は日曜日の少し早起きしてしまった時間に訪れ
たのである。

しかし、現在産休中のYUKIちゃんであるが（まだ産
まれてないのかな？）この娘の回路は相変わらずポ
ップでファンシーで少しキチガイじみたところがあ
って好きである。まずは、完全にジャケの勝ちであ
る。遠目で見ると沢山のYUKIちゃんが連続写真で走
り回ったり跳ねてみたり、転んでみたり、そして歩
いてみたりとしているように見えるがよーく見ると
最初以外は全て違う人（笑）よく、まぁここまで集
めたもんだ。しかもジャケット＆裏ジャケがショー
トバージョンだとしたら、歌詞カードはフル・バー
ジョン。跳ね回り転び、そしえて林檎をかじり、雨
が降ったので家に帰り、お婆ちゃんの死を看取り日
が暮れるのと同時にジャケと同型異色の服（ピンク
から黒）に着替え、また歩き出すという壮大なスト
ーリーが描かれている。前作『PRISMIC』でも思っ
たが、この人のジャケは色々なことを考えさせられ
る。ハッキリいってこのジャケだけでも買う価値は
あると思う。早くも今年のベスト・ジャケ賞受賞で
ある。

そして、アルバムの構成も一風変わっていて、前半
はラウドなチューンから中盤にシングルカットして
いる曲を集め後半のゆったりしたメロディ重視の構
成。前作そしてジュディマリ時代から知っている人
には、もしかしたら軽い肩透かしを喰らった気分だ
が、この作品こそ、ソロYUKIちゃんの新しいスター
トを切る信念に満ち溢れている。ジャンルを超越し
て、ひたすら自分の信じた良いメロディに囲まれて
歩き出す。そこには悲しみや、怒りもあるかもしれ
ないけど、それさえ信じていればヘッチャラ。また
歩いていける。そんな柔らかいならも強ささえ感じ
る。これってやはり母の強さなのかな、だとしたら、
母ってやっぱ偉大だよな。

実はこれを書いている前の日に心が荒んでしまいそ
うな思いをしてしまった。そして、そこに妥協して
いくことへの疲れもドッと出てしまった。外は小雨
混じりで、いまいちスッキリしないグジュグジュし
た感じだった。僕は男性だから出産はしないけど、
これくらいの強さに溢れていたら心も折れたりしな
いだろう。１歳しか違わないけど、やはりYUKIちゃ
んって、理想の人間のタイプなんだよなぁ。人生は
続く、もっと柔らかくそして強く生きていきたい。
１ヶ月聴かずに寝かせた甲斐があった。